
【国際情勢は、地理から見ていけ!】
ジャーナリスト・池上彰氏が、『20歳の自分に教えたい地政学のきほん』と題して、世界の成り立ちや思惑を地政学から読み解く方法を、初学者にも分かりやすく解説する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
日本のリスクを地政学の視点で説明してください。
あなたはスラスラ答えられますか?
本書は、地政学が理解できると世界の国々の成り立ちや思惑が見えるようになると提起し、初学者でもわかりやすく、地政学の基本を解説する一冊。
地政学とは、2つの学問の組み合わせでできています。
「地理学」と「政治学」です。
地政学を使うことで、その国の国家戦略から国家の性格までが見えてくる。
ゆえに、国際情勢を見るときに、地政学の知識は極めて有用であると説きます。
ただし、地政学には、侵略の口実に使われるなど、悪用されてきた歴史も持つと指摘。
したがって、地政学を学んだ上で、より深く自分で考えることも忘れないでほしいと訴えかけます。
地政学の知識が付いてくると、国際情勢のニュースへの理解が早くなります。
ニュースコメンテーターの眉唾ものの怪しい解説を、鵜呑みにしてしまうこともなくなります。
自分の知識で、仮定ではあるけど状況分析ができるようになる。
それが仕事に関わる可能性があるなら、自発的にさらに詳しく調べるようになる。
このように、地政学を学ぶことで”主体的”に動けるようになるのです。
これは、玉石混交の情報が氾濫する現代社会において、重要な要素になるとおもいます。
なにより、自分で理解できるようになると楽しいです。
真偽不明の情報に惑わされないためにも、地政学リテラシーを高めていきましょう。
◆スラスラ読めます。
20歳の自分に教えたい地政学のきほん
池上彰 SBクリエイティブ 2023-4-29
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■【要約】15個の抜粋ポイント
地政学の「地」は地理のこと、「政」は政治です。
地理と政治が一緒になっている。
つまり、それぞれの国が置かれている地理的な環境から国際情勢や歴史的な出来事を分析する学問、これが地政学です。
●日本の地政学上の特徴
・周囲を海で囲まれた島国
・外国から攻め込まれにくい
・海を通じて他の国と交流しやすい
地理的に海の国と陸地の国は対立する傾向があります。
どういうことかというと、シーパワーの国は海を通じて世界に進出していきますが、力のあるランドパワーの国も勢力を拡大しようと陸路で世界に進出します。
その結果、二つの勢力はいずれどこかでぶつかることになるのです。
東ヨーロッパ諸国が次々にNATOに入っていくということは、ロシアとNATOのディフェンスラインが、それまでよりもずっと東に移るということです。
ロシアとすれば、ディフェンスラインがぐっと自分の方に近づいてきた、というわけです。
ロシアの影響力の及ぶ範囲がどんどん狭くなっている。
自分の国が攻められやすくなっている。
このようにロシアは受け止めました。
ロシアとしては、黒海から外洋に出られるように地中海へ抜けるルートを確保しておきたい。
ウクライナ問題がなぜ(世界的な半導体不足に)関係するかというと、ウクライナは半導体を作るのに必要な希少ガス、レアな種類のガスの産出国で、世界の7割を占めているからです。
韓国にはアメリカ軍が駐留しています。
その韓国が朝鮮半島全域を支配するようになれば、中国はアメリカ軍が駐留している国と直接、国境を接することになります。
(略)
このような事態は何としても避けたいし、避けなければならないというのが中国の本音です。
そのためには、北朝鮮は緩衝地帯として残しておきたい。
北朝鮮に崩壊してもらっては困るのです。
もし日本列島がなかったらどうでしょうか。
中国もロシアも簡単に太平洋に出て行くことができます。
地政学で見たとき、日本は非常に重要な位置にあることがこれでわかるでしょう。
この位置関係をうまく利用しているのがシーパワーの大国であるアメリカです。
「一帯一路」とは、中国とヨーロッパを結ぶ貿易のルートを強化して、ルート沿いの周辺国への影響力も拡大しようという構想です。
「一帯」は陸路、「一路」は航路を意味するので、実現すればランドパワーとシーパワーを併せ持つことになります。
ただし、歴史上、ランドパワーとシーパワーの両方を最大限に持って成功した国は存在しません。
香港に進出したアメリカ企業の数は2019年6月時点で1344社だったのが、2年後の2021年6月には1267社に減りました(出典:JETRO)。
割合にして約6%の減少です。
香港で英国海外市民旅券を持つ人は約300万人いるとされ、香港の人口が約750万人(2019年)ですから人口の約4割に相当します。
イギリスでは、中国が約束違反を強行するならこの人たちに市民権(国籍)を与えてイギリスに迎え入れるべきだという議論が起きました。
さすがにこれは実現しませんでしたが、イギリスは国家安全法の施行で一国二制度が形骸化していくのを見て、2021年に特別ビザの発給を始めました。
これは英国海外市民旅券を持つ人とその家族が5年間イギリスに滞在でき、その後は永住権、さらには市民権の申請も可能になるというものです。
香港を完全なコントロール下に置いた中国は、次のターゲットである台湾統一に向けた動きを強めています。
(略)
中国軍が台湾に攻め込めば、否応無く南西諸島の一部は戦場になるでしょう。
戦後80年近くが経過し、この間、日本は平和を享受してきました。
しかし、技術進歩により武器が飛躍的な発達を遂げた今、海に囲まれた島国といえども決して安全とは言えません。
物資の調達先を多角化する際は、できるだけ自国の脅威となる国やリスクの高い国は避け、同盟国や友好国、あるいはリスクの少ない国のネットワークを活用するのが原則です。
北極海航路が開けることで物流は便利になるかもしれませんが、温暖化は温暖化で何とかしなければいけない問題です。
加えてロシアの問題もあるということで、いろいろと難しいのが現状です。
■【実践】3個の行動ポイント
【2013-1】国際情勢は地政学を通して考える
【2013-2】地政学を通して、日本を説明できるようになる
【2013-3】地政学をより深く学習する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】20歳の自分に教えたい地政学のきほん
【著者名】池上彰 ・ 著者情報
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2023/4/29
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】20代、グローバル、インプット
【頁 数】176ページ
【目 次】
第1章 地政学とは?
第2章 地政学で「ロシアのウクライナ侵攻」を読み解く
第3章 地政学で「アメリカと中国の勢力争い」を読み解く
第4章 中国の香港制圧、地政学的な意味は?
第5章 「日本の安全」を地政学で読み解く
▼さっそくこの本を読む
20歳の自分に教えたい地政学のきほん
池上彰 SBクリエイティブ 2023-4-29
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池上彰さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
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