【書評:2014冊目】ロジカルシンキングと問題解決の実践講座(吉澤準特)

【考え方がわかると、考えるのが楽しくなる!】
外資系コンサルタント・吉澤準特氏が、『ロジカルシンキングと問題解決の実践講座』と題して、解説とケーススタディを組み合わせ、仕事で負けない思考法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

ロジカルシンキング。
わくわくしますか?げんなりしますか?

 

本書は、「整理」と「問題解決」に焦点を絞って鍛える、知識の理解とケーススタディを組み合わせた、ロジカルシンキングの勉強法を指南する一冊。

 

なんのために、ロジカルシンキングを鍛えるのでしょうか。
それは、筋道を立てて情報をわかりやすく「整理」するためです。

 

さらに、困っている状況を「問題解決」するためです。
この2つは、まさに”仕事”そのものです。

 

顧客/社会が抱える問題点を洗い出して「整理」し、どうすれば「問題解決」できるかを考える。
その道具だからこそ、ロジカルシンキングの重要性はこれだけ叫ばれるのです。

 

したがって、本書でも「整理」と「問題解決」にググッとフォーカスして解説していきます。
なんといっても特徴的なのが、充実したケーススタディです。

 

フレームワークだけを学んでも意味がありません。
フレームワークを実践できてこそ、ロジカルシンキングは力を発揮します。

 

この実践のイメージ、使い方を学ぶのに、本書のケーススタディはとても考えられてつくられています。
ゆえに、学びの深さをしっかり実感できる構成になっています。

 

また、読む人のスキルレベルによって、それぞれの気づきが得られることでしょう。
デスクに常備し、くり返し使いたいと思わせてくれる完成度の高さをヒシヒシと感じます。

 

考え方がわかると、考えるのが楽しくなる。
そんな、ロジカルシンキング本来の魅力に溢れています。

 

今、わたし達のまわりは解決すべき問題が山積しています。
ロジカルシンキングを鍛えて、みんなで問題解決していきましょう!

 

◆これは良書!

ロジカルシンキングと問題解決の実践講座
吉澤準特 ソーテック社 2023-6-1
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■【要約】15個の抜粋ポイント

MECE(ミーシー)とは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略称であり、ダブりがなく(Mutually Exclusive)、モレがない(Collectively Exhaustive)ように整理する考え方です。
MECEはモレとダブりの有無を4象限で整理すると、それぞれの要素を理解しやすくなります。

 

論理的に対象を整理することがうまい人は、軸の選び方に秀でています。
たとえば、腕時計の市場を「高い⇔安い」と「女性向け⇔男性向け」に分類しても大した気づきは得られませんが、「クラシック⇔モダン」と「ドレッシー⇔スポーティ」で分類すると、ブランド戦略を意識することができます。

 

フェルミ推定とは、よく分かっていない対象の規模を推測するときに用いる思考技術です。
企業の採用選考過程で用いられることも多く、「日本中のマンホールの数はいくつか?」など、数字を推測する力を評価する際に活躍します。
・所有ベース:長期利用の消費財に適する
・存在ベース:長期設置の設備・備品に適する
・需要ベース:日常的な消費財に適する
・供給ベース:店舗型サービスに適する
の4パターンに分類でき、それぞれ答えを導き出すアプローチ(式)が異なります。

 

●整理する手順(MECE/ベン図)
手順1:最も大きな要素を特定する
手順2:各要素の関係提示
手順3:重複する要素の分解
手順4:重複要素をすべて明示
手順5:数字と見た目のチェック

 

●整理する手順(2軸思考)
手順1:整理する軸の洗い出し
手順2:2軸の決定
手順3:傾向を軸で明示

 

ピラミッドストラクチャーとは、キーメッセージ/根拠/データを階層構造で整理し、論理の整合性を確かめるためのものです。
分析対象の問題に対して、最初にやることは問題テーマを設定することです。

 

問題解決は2つのフェーズに大別できます。
最初に「問題分析」で真因を特定し、次に「課題解決」で目標を実現する計画を立案します。

 

●問題解決の6つのステップ
・問題発見:問題分析
・課題抽出:問題分析
・真因特定:問題分析/課題解決
・施策立案:課題解決
・優先順位づけ:課題解決
・ロードマップ策定:課題解決

 

問題分析フローで可視化した課題と真因をもとに、網羅的に施策を立案しましょう。
そのためには、そもそも課題と真因が網羅的に列挙されていることが必要です。
網羅的に課題・真因・施策を扱うには、ECRS(イクルス)/SCAMPER(スキャンパー)を利用します。
どちらも作業の効率化や品質向上の余地を見つけるのに役立ちますが、SCAMPERはさらに新しい価値を見つけるのに有効です。
【ECRS】
・E:Eliminate(排除)
・C:Combine(結合・分離)
・R:Rearrange(入れ替え)
・S:Simplify(単純化)
【SCAMPER】
・S:Substitute(代用)
・C:Combine(結合・分離)
・A:Adapt(適応)
・M:Modify(修正)
・P:Put to other users(転用)
・E:Eliminate(排除)
・R:Rearrange(入れ替え)

 

マネジメントを巻き込む大きな選択はできるだけ早い時期から洗い出して、その判断を仰ぎましょうということです。
特に、何かの仕様を決めるようなケースなら、関係者を最初に洗い出して、それぞれに対するメリット・デメリットをちゃんと可視化しましょう。

 

たとえ自分が有利な立場にいたとしても、成功を相手に委ねるような振る舞いは避け、自ら成功を追う姿勢であり続けることの重要さです。
チャレンジする攻めの姿勢は大事ですが、味方が離れていく理由をつくらないよう、攻めと守りのバランスを意識しましょう。

 

サービスを提供する側の視点でやりたいことを考えるのではなく、サービスを利用する側の視点で求められていることを考える必要性です。
相手の立場で物事を考えることを忘れないようにしましょう。

 

FABE(フェイブ)とは、ストーリーを通じて相手からの合意を得るやり方です。
最初に状況の背景を踏まえた特徴、次に競合と比べた際の利点、相手にとっての利益、最後にそれを裏付ける証拠を続けて示します。
・F:Feature(特徴)
・A:Advantage(利点)
・B:Benefit(利益)
・E:Evidence(証拠)

 

BEAF(ビーフ)とは、相手が得られるメリットを最初に示すことで興味を持たせ続けるやり方です。
最初に相手にとっての利益、次にそれを裏付ける具体的な証拠、競合と比べての利点、最後にそれらの背景にあたる特徴を示します。
・B:Benefit(利益)
・E:Evidence(証拠)
・A:Advantage(利点)
・F:Feature(特徴)

 

DESC(デスク)は、状況説明を最初に示し、続けてそれに対する意見を説明、さらに取り得る選択肢を並べて、最後に選択した結果の説明と判断の促しをするという4パート構成です。
(略)
DESCの伝え方は、相手に大事な判断をしてもらうような、慎重を要する提案・説得で効果的です。
・D:Describe(状況説明)
・E:Express(意見)
・S:Specify(選択提示)
・C:Consequence(結論)

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2014-1】問題解決に取り組む際は、巻き込む範囲を早めに見極める

【2014-2】成果を欲するあまり、味方が離れるような振る舞いをしない

【2014-3】相手の立場で物事を考える

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】ロジカルシンキングと問題解決の実践講座
【著者名】吉澤準特著者情報
出版社ソーテック社
【出版日】2023/6/1
オススメ度★★★★★
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード思考問題解決交渉術
【頁 数】240ページ
【目 次】
第1部 ロジカルシンキングで「整理」をする
第2部 ロジカルシンキングで「問題解決」をする
第3部 ロジカルシンキングで「仕事の最適化」をする

 

▼さっそくこの本を読む

ロジカルシンキングと問題解決の実践講座
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吉澤準特さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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