【書評:1919冊目】悪魔の傾聴(中村淳彦)

【悪用厳禁!禁断の傾聴テクニックを大公開!】
ノンフィクションライター・中村淳彦氏が、『悪魔の傾聴』と題して、相手は話したくないけど自分は聞きたい、これを可能とする悪魔的聞き上手になる技術を指南する一冊。

■書籍の紹介文

人から話を聞くこと。
どんな悩みを抱えていますか?

 

本書は、良好な人間関係のためには相手を深く知ることだと提起し、知るために必須となる「相手の本音をどんどん引き出す方法」を指南する一冊。

 

人は自分の話を聞いてほしい生き物。
ゆえに、自分の話をじっくり聴いてくれる人が大好きです。

 

とはいえ、他人に話したくないこともたくさんあります。
そして、わたし達が「聞きたい!」と思うものほど、話したくない話題だったりします。

 

つまり、「話したくない話題」を「気持ちよく話してもらう」こと。
これを実現するのが、本書で解禁される「禁断の傾聴テクニック=悪魔の傾聴」です。

 

では、傾聴テクニックを使って気持ちよく話してもらって、なにを目指すのか。
それは、相手からの本音を引き出し切ることで、相手の問題や疑問、現状の答えを相手から導き出すことです。

 

紹介されているテクニックは、「しない」が軸となっています。
・自分の話をしない
・相手の話を否定しない
・自分の意見を言わない
・アドバイスしない

 

聞き出すのに、なぜ「しない」が軸となるのか。
ここをきちんと理解することができれば、「悪魔の傾聴」を自分のものにすることができるでしょう。

 

ノンフィクションライターとして、貧困化する日本の現実を可視化してきた著者。
難しい取材対象から”本音”を聞き出してきた技術は、あなたを夢中にさせること間違いありません。

 

擦り切れるまで読みたい。
そう思える本が、また一冊増えました。

 

◆これはスゴい!

悪魔の傾聴
中村淳彦 飛鳥新社 2022-9-22
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■【要約】15個の抜粋ポイント

人と会話するあらゆる場面で絶対にやってはいけないことがあります。
◎否定する
◎比較する
◎自分の話をする
この3つです。
これは本書の最重要項目なので、いまこの3行を何度も読み返して覚えてほしいです。

 

ピックアップ・クエスチョンとは、すでに相手が発言した単語や主旨を拾い、即時に短い質問を投げかけるテクニックです。
自分が聞きたい・知りたい質問ではなく、相手の語りをもっと進めるための質問を投げるのです。

 

人の語りは、欲望と感情を意識して、聞けば、聞くほど、生き生きとした物語となっていきます。
悪魔の傾聴では、常に聞き手が主導権を握っています。
相手の言葉を注意深く聞きながら、欲望や感情を引きだすことに注力しましょう。
そうすると、どんどん相手の人物像や生活が浮き彫りになってきます。

 

自宅、最寄り駅、行き慣れた繁華街などは、相手のオフの場です。
こちらから相手の日常に入っていくと、会議室とは違う姿を見せる、違う語りをする可能性が高くなります。
相手が語る内容は環境によって変わるからです。

 

現状把握の範囲内ならば、会話の始動はどんな質問でもいいです。
たとえば「いま、なんの仕事をしているのですか?」「いま、誰と暮らしているのですか?」などなど、どんな質問からはじめても結果は同じになります。

 

自分の意見は言わない、否定しない、アドバイスしないーーーそれは相手の信頼に応える最低条件となります。
絶対にやってはいけないことなのです。

 

どんな目的であっても、共通して大切なのは「自分が聞きたいことを聞く」ことです。

 

部下に幸せになってほしい、社会貢献したいなど、立派な思いに聞こえますが、それらもすべて「欲望」に該当します。
欲望の断捨離なしには、悪魔の傾聴の成功はありません。

 

よくコミュニケーションの条件に挙げられる「相手と信頼関係を築く」ことも立派な欲望となります。
結論からいうと、信頼とは相手からされることであって、自分から働きかけることではありません。
即、断捨離するべき危険な意識です。

 

様々な利害、対立が入り混じる人間関係のなかで、聞き手がいることを最優先事項と考えると、言うまでもなく「中間」「中立」「真ん中」が正解となります。

 

事実を語っているだけの相手は、聞き手に意見やアドバイスは求めていません。
いったいどうして?という好奇心をもって、リズムをあわせて相づちを打ち、相手が語りやすい環境整備に徹するべきなのです。

 

相手が語る言葉は「自分の作品」であり、相手にとっても問題解決に導く処方箋と考えましょう。

 

まずやることは、物語をはじめる起点づくりです。
頭のなかにある情報をゼロからイチにします。

 

相手の語りは、序盤に重要な情報が語られるケースがほとんどです。
理由は、聞き手が聞きたいこと、相手が語りたいことは、序盤になるからです。

 

「もしかして」を予測して言葉を引き出す

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1919-1】人の話を聞くとき、自分の意見は言わない

【1919-2】人の話を聞くとき、相手を否定しない

【1919-3】人の話を聞くとき、アドバイスをしない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】悪魔の傾聴
【著者名】中村淳彦著者情報
出版社飛鳥新社
【出版日】2022/9/22
オススメ度★★★★☆
こんな時に聞く力を身につけたいときに
キーワード人間関係交渉術心理学
【頁 数】264ページ
【目 次】
第1部 基礎編:ピックアップ・クエスチョンと雪だるま術
第2部 実践編:悪魔の傾聴を使いこなす
第3部 悪魔になるための心の調整:欲望の断捨離と心のセンタリング
第4部 上級編:人の本音を最後まで聞き切る11のテクニック

 

この本で、あなたは変わる!

悪魔の傾聴
中村淳彦 飛鳥新社 2022-9-22
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中村淳彦さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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