【書評:1945冊目】メタバース×ビジネス革命(西田宗千佳)

【現実世界とネットをつなぐグラデーション】
ITジャーナリスト・西田宗千佳氏が、『メタバース×ビジネス革命』と題して、これまでのビジネス事例を確認しながら、これからのメタバースの行く末を考察する一冊。

■書籍の紹介文

メタバース。
どんなイメージをお持ちですか?

 

本書は、メタバースに関するこれまでのビジネス事例を紐解きながら、課題と可能性を中心に、これからのメタバースの行く末を考察する一冊。

 

『毎日、誰もが使う要素をいかに提供できるか。』
メタバースがこれから発展するかどうかの分岐点は、ここに尽きる。

 

この、著者の考察がとても印象に残ります。
ビジネスを考えるうえでも、非常に重要な視点だとおもいます。

 

メタバースとは、そもそもなんなのか。
世の中やビジネスにどう影響し、どのような変化をもたらすのか。

 

こうした疑問に対して、いま述べられることを端的かつ客観的にまとめあげています。
論点が整理されており、読みやすい構成からは完成度の高さを感じます。

 

メタバースは、まだまだ黎明期。
これから、さまざまな方向に伸びたり縮んだりしながら”最適な形”へと進化をしていきます。

 

ひとつ言えることは、流行り廃りのあるコンテンツやアプリではないということ。
したがって、概念であったり大きな流れであったりは決して消えることはありません。

 

であるならば、早いうちから積極的に関わっていくことが有意になります。
ビジネスであれば、まさに先行者利益です。

 

自分はガラケーで十分といくら言っていても、スマホがあたりまえとなっていったのと同じ。
メタバースなんて、と思っていても、それがあたりまえに生活の一部になる時代が早晩訪れます。

 

だからこそ、本書はとても有用だと感じます。
これまでの流れと、これから花開くための課題、そして行く末までが、この一冊に。

 

◆いま押さえておきたい一冊。

メタバース×ビジネス革命
西田宗千佳 SBクリエイティブ 2022-12-8
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■【要約】15個の抜粋ポイント

メタバースビジネスにおける1つの核となるのが「バーチャルリアリティ(VR)」だ。
シンプルに言えば、人間の視覚・聴覚などを騙して、自分に感じられる周囲の世界を「別のもの」へと置き換える技術の総称だ。

 

メタバースとはなにか?
実は、言葉自体に正確な定義はない。
あえて言えば「ネットの中に新しい生活圏ができること」、というところに落ち着く。
対話やショッピング、コンサート、会議などのコンテンツが注目されるが、今あるものは「メタバースの概念の一部を実現した初期のサービス」と言っていい。
それらは「生活の一部」に過ぎない。
相互につながり、ネットに生活空間が拡大されて初めて「理想的なメタバース」になる。
VRなどの技術は、インターネットにおける「ウェブブラウザー」や「メールソフト」のようなもので、メタバースを構築するためのツールやプラットフォームと考えていい。
現状は、その技術も進歩中、というところだ。

 

通信とセンサーの技術が必須になる。

 

国土のオープンデータ化・デジタルツイン化は、観光などの要素にももちろん使える一方、最も大きなインパクトがあるのは自動車の「自動運転」かもしれない。

 

ゲームとメタバースは外観的に似ている部分もあり、実際、技術的にも近い。
そのため、メタバース的な要素を持つサービスはゲームの延長線上として作られることが多い。
要はゲームがメタバースの入り口になっているのだ。
最終的なメタバースそのものではないが、「原初的メタバース」として機能しているわけだ。

 

ヒットゲームにはそれぞれファンがいる。
ファンの持つ「コミュニティ」の力は大きく、コミュニティの支持を受けたプラットフォームが大きな収益を得られる、という関係にある。

 

●バーチャルなイベントの”3つの利点”
(1)場所を問わない
(2)時間を問わない
(3)来場者の様子をトラック(追跡)できる

 

メタバースにしろVRにしろ、最大の課題は「毎日使う理由が希薄である」点にある。
次の段階にブレイクするには、まずこの課題をクリアーする必要があり、そのためにも、ビジネスで毎日使う路線を開拓していくことは、必須であり急務であるとも言える。

 

自分から遠い場所に関わる技術では、主にネットワーク技術が課題になる。
一方、自分に近い場所に関しては、いわゆるHMDやARグラスを作るための技術から、人間の五感とコンピュータをつなぐための技術など、多彩なテクノロジーがかかわってくる。
別の言い方をすれば、「自分の周囲5cm」のための技術の方が未開拓であり、ここから大きく変化する領域である・・・と考えていいだろう。

 

VR/AR機器はなぜまだ普及していないのか?
答えは簡単で「理想的なデバイスがまだ出来上がっていないから」である。
課題の中でも、おそらくもっとも解決が難しいのは「移動のジレンマ」だ。

 

VRは自分の感覚を騙すことで、目の前の現実を、コンピュータ内で生成されたものに置き換えて体験する技術の総称である。
だから、騙す対象は視覚に限定する必要はない。

 

ネットだからといってどこでも現実と同じようなコミュニケーションを通信で行えるわけではない。
むしろ「通信を使うなら、あらゆる領域で遅延がつきもの」と考えていい。

 

メタバースのような人工の空間を増やしていくには、空間がある程度低コストに作れる必要がある。
ゲームなどでは、多くの部分を人間が精緻に作って世界観を演出しており、それが魅力にもなっている。
メタバースでも同じことが重要なのだが、すべてを人間が手作りするのは無理があるので、「人間とAIの共同作業」によってリアルな世界を構築していくことが必須になっていくのだ。

 

ネットで「ハコモノビジネス」は成立しない。

 

メタバースとは、ネットの向こうにある別の世界ではなく、自分の目の前からネットまでをつないでいる、グラデーションのような存在だ。
そう考えると、今の課題を1つ1つクリアーしていった先に、生活の一部をメタバースで過ごす時代があってもいいのではないだろうか。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1945-1】メタバースをうたうサービスを利用してみる

【1945-2】メタバースの動向を積極的に追う

【1945-3】メタバース関連企業をリサーチする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】メタバース×ビジネス革命
【著者名】西田宗千佳著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2022/12/8
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の仕事力を磨きたいときに
キーワード社会ビジネスモデルサイエンス
【頁 数】248ページ
【目 次】
第1章 可能性が広がりつつあるメタバース
第2章 デジタルツインとメタバース
第3章 ゲームから始まる「原初的メタバース」
第4章 教育やビジネスに広がるメタバース
第5章 「自分の周囲5m」のジレンマ
第6章 視覚以外にも広がるVR
第7章 ネットの向こうを「身近」にするために
第8章 メタバースを前提とした社会構造に必要なもの
第9章 それでもメタバースはやってくる

 

この本で、あなたは変わる!

メタバース×ビジネス革命
西田宗千佳 SBクリエイティブ 2022-12-8
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西田宗千佳さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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