【書評:1914冊目】進化論マーケティング(鈴木祐)

【ヒトが持つ8つの本能をつかむかが勝負!】
サイエンスライター・鈴木祐氏が、『進化論マーケティング』と題して、人間の欲望を徹底的に捉え直すのが最大の特徴である、進化論マーケティングの実践方法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

商売の売上、もしくは、会社の自分への評価。
それは、あなたの満足のいくものですか?

 

本書は、『ヒトは8つの本能を持つ』と提起し、ダーウィンの進化論に根差した、本能からくる欲望に沿って徹底的にカスタマイズする「進化論マーケティング」の手法を解説する一冊。

 

・人間の欲望を生み出す本能の数→8個
・本能を見極める手法の数→2個
・本能を掘り起こす問いの数→7個
・カスタマイズメニューの数→62個

 

これらを、ひとつ一つ習得することで「進化論マーケティング」を実践できるようになります。
数から想像できるとおり、相応の覚悟と努力が必要です。

 

わたしたちが生まれながらにして持つ”本能”を掘り下げて、消費者の欲望を分析する力。
言い換えれば、『ヒトの本能を理解する能力』の習得を目指すわけです。

 

”本能”からくる欲望を相手にするわけですから、小手先の知識だけでは話になりません。
知識の吸収以上に、それこそ本能的に身体が動くくらい、徹底的に身体へ覚え込ませるアスリートのようなトレーニングが必要となります。

 

そのために、本書では5つのワークが用意されています。
どれも、習得および習得後の実践に役立つワークです。

 

「たった5つだけ?」とおもった方もいるかもしれません。
安心してください。

 

どのワークも、脳に汗をかき、頭から湯気が出るくらいタフなものばかりです。
さながら、最上級のフィットネストレーニングのメニューを揃えたといった印象です。

 

著者も「1つのワークに1〜3ヶ月をかけて取り組む方も珍しくない」と語るほどです。
つまり、習得は相当にタフだが、習得したときに得られる力も並外れたものになるということです。

 

混沌とし、競争は激しくなる一方の現代社会。
いかに、ユーザーの心に深く潜り、商品の魅力を磨き上げ、顧客に貢献し、自らの収入を上げるか。

 

すべてのプレーヤーが、日々腐心し、必死にもがいています。
「進化論マーケティング」は、そんなプレーヤー達にまたとない新しい武器となるでしょう。

 

どんなに時代が変わろうとも、ヒトの”本能”は易々と変わるものではありません。
だからこそ、ダーウィンの進化論に根差したマーケティング手法は効果絶大なのです。

 

くり返しますが、習得までの道のりは相当にタフです。
覚悟を持って、はじめてください。

 

◆高難易度だが、ワクワクする内容。

進化論マーケティング
鈴木祐 すばる舎 2022-8-4
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■【要約】15個の抜粋ポイント

データによれば、私たちの幸福感を左右する要素は、仲間からの称賛や尊敬といった対人関係にまつわるものがほとんどで、自己実現がトップに来るような事実は認められませんでした。
この点でも、マズローのモデルには疑問符がつくようです。

 

ヒトの欲望がどのような場面で発動し、どのように駆動するのかがわからなければ、商売は成り立ちません。
モノを売る行為とは、すなわち「私たちの欲望はどこから来たのか?」を知ることにほかならないからです。

 

私たちが商品を買う理由の奥を探り、人類が持つ”究極のモチベーション”を探ることこそが、進化論的なアプローチの最重要ポイントとなります。

 

●人類の欲望を生み出す8つの本能
①安らぐ:心身の危険から離れて不安や恐怖から逃れたい本能
②進める:明確なゴールを設定し、それをクリアしたい本能
③決する:自分の行動や目標を自分で決めて実行した本能
④有する:生存に役立つ物や情報を蓄積したい本能
⑤属する:特定のグループやコミュニティに入りたい本能
⑥高める:特定の集団のなかでより上の地位につきたい本能
⑦伝える:周囲の人間に自分の特性をアピールしたい本能
⑧物語る:自分の人生に大きな意味を感じたい本能

 

商品の成功は決して偶然の産物ではなく、共感力を使うことで、ヒットの可能性は確実に高まるというわけです。
データ分析やアルゴリズムの重要性に変わりはないものの、本当に商品を売りたいなら、数字の裏側に隠れた”95%の無意識”を見なければならないとも言えるでしょう。

 

没入アプローチは、次のステップで進みます。
(1)ユーザーの属性を明確にする
(2)できるだけその人に近い暮らしをする

 

「共感マップ」は、特定の人物をイメージしながら、その人の思考と感情について考えるテクニックで、没入アプローチよりも手軽に実践できます。

 

「問い」が重要なのは、そもそも人類の脳が、質問によって世界を理解するように設計されているからです。

 

●SEIQ(イノベーションに欠かせない7つの本質的な質問)
1.私の商品を新たな視点で見ることは可能だろうか?
2.私の商品を新しい方法で使うことはできるか?
3.私の商品が機能する時間や場所を変えることはできるだろうか?
4.私の商品に何かを新たに結びつけることができるだろうか?
5.私の商品のデザインや性能を変えることはできないだろうか?
6.私の商品に”新しさ”を感じるものを加えられないだろうか?
7.私の商品のまったく違う価値を想像できないだろうか?

 

日常的な”問い”の繰り返しは、やがてあなたの脳をアイデア製造機に変えてくれるはずです。

 

「安心を感じたい」という本能は、人間にとって最も基本的なものです。
「安らぐ本能」が活性化した消費者は、いまの生活をさらに安全にするだけでなく、日常の不安や不満からの脱却を求めていることが多く、このようなユーザーに訴えかけるには、いかにユーザーに信頼感を与えられるかが鍵となります。

 

「伝える本能」が活性化したユーザーは、「とにかく良い物を持ちたい」「自分のセンスや地位を証明したい」というモチベーションが大きくなるため、この本能に訴えるには、あなたの商品が「伝える本能」に訴えかけられるかどうかを判断する必要があります。

 

「物語る本能」が活性化した消費者は、「自分の行動に意義を感じたい」や「謎を解き明かしたい」といった気持ちが強くなります。

 

「ユーザーはどの欲望システムが活性化しているのか?」
「その本能に訴える仕組みや改善案とはいかなるものか?」
このような質問をもとに本能ダッシュボードを更新するたび、あなたは確実に”ユーザーが持つ真の欲望”に近づくはずです。

 

●進化論マーケティングの4つの注意点
①「表面的な欲望は無視してよい」とは考えない
②消費者の本能を1つに決めつけない
③自分を基準に他者の本能を判定しない
④ユーザーを操ろうとしない

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1914-1】購買するとき、自分の欲望はどこから来ているかを分析する

【1914-2】SEIQの問いを、自分の仕事の商品にくり返し投げかける

【1914-3】自分の基準で、相手を一方的に判断しない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】進化論マーケティング
【著者名】鈴木祐著者情報
出版社すばる舎
【出版日】2022/8/4
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のマーケティング力を磨きたいときに
キーワードアイデア稼ぐ力発想力
【頁 数】278ページ
【目 次】
Prologue ヒトの欲望を科学する、たった1つの考え方
Stage1 人類の欲望を生み出す8つの本能
Stage2 “刺さる本能”を見極める2つの手法
Stage3 “刺さる本能”の種類を増やす7つの問い
Stage4 ユーザー体験をデザインする62の技法
Epilogue 本能ダッシュボードで、行動を起こす

 

この本で、あなたは変わる!

進化論マーケティング
鈴木祐 すばる舎 2022-8-4
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鈴木祐さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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