【書評:2012冊目】生成AI 社会を激変させるAIの創造力(白辺陽)

【早く触れるほど、早く適応できる!】
新サービス探検家・白辺陽氏が、『生成AI 社会を激変させるAIの創造力』と題して、ChatGPTなどで話題の「生成AI」の”現在地”と”未来”を、一般向けに解説する一冊。

■書籍の紹介文

生成AI。
どれくらい関心をお持ちですか?

 

本書は、ChatGPTなどで話題の「生成AI」の概要と現状を解説しながら、社会を激変させる創造力がもたらす”これからの変化”を考察する一冊。

 

「読みやすい」「わかりやすい」。
専門家ではないけど概要と要点は押さえておきたい、そんな要望にピッタリな書籍です。

 

新しい技術が広がってくると、どうしても”不安”が先行してしまいます。
そんなときに有効なのは、「知ること」です。

 

「生成AI」とはなんなのか。
どんなサービスがあり、これからの働き方や生活にどんな変化をもたらすのか。

 

知ることで、自分に起こるであろう変化が見えてきます。
変化が見えてくれば、適応するための準備と対策ができます。

 

ひとつ言えることは、「生成AI」はあくまで道具(ツール)であるということ。
破壊者でもなければ、人間に変わる支配者でもありません。

 

ただ、新しい道具を手にすると、わたし達人間ができる(やる)ことが”変化”します。
今までは自分でやらなければいけなかったことを、「生成AI」に任せられるようになるわけです。

 

でも、あくまで「生成AI」は道具。
どんな作業をさせるかの”指示出し”、出来上がった成果物の”最終的な仕上げ”、これは人間の役割です。

 

著者は、これを『サンドイッチ方式』と命名しています。
前工程:人間(方向性、構図・ストーリー、内容の決定)
中工程:AI(コンテンツの作成)
後工程:人間(出来上がったコンテンツの修正、調整、最終仕上げ)

 

ということは、わたし達のこれからの在り方も見えてきます。
前工程と後工程に関するスキルを、リスキリングしていけばいいのです。

 

新しい道具が増えたから、自分の役割が変わるんだ。
その視点で、「生成AI」の現在地と未来を知り、自分のこれからを考えてみてください。

 

10年、20年と手元に置いておく。
そして、その時がきたら改めて読み返して、答え合わせをしてみたい。

 

そんなふうに思えてくる一冊です。
生成AIってなんだ?と気になる方は、まずは本書から入ってみてください。

 

◆良質な解説書。

生成AI 社会を激変させるAIの創造力
白辺陽 SBクリエイティブ 2023-5-31
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■【要約】15個の抜粋ポイント

生成AIとは、人間が「創造力」によって生み出してきたものー文章、イラスト、音楽などーを生み出すことができるAIを指します。

 

(文章生成AIは、)文章を長くしたり、短くしたり、読みやすくしたり、丁寧にしたり、変幻自在に文章を操ることができるのです。
だからこそ、文章生成AIがビジネスにも実用的に活用できると期待されているのです。

 

技術のオープン化(一般公開)の波は留まるところを知りません。
文章生成AIも画像生成AIも、当初は危険性が高いということで一般公開が控えられていました。
一方で、このようなクローズな仕組みにしていると、限られた超大手企業だけが高性能なAIを使うことが可能となり、その企業に高額の使用料を払える企業も含めて、「金持ちしか使えない」という不公平性が生まれます。
この点に危機感を持ったスタートアップ企業によって、画像生成AIのオープン化が進みました。
この経緯を考えると、動画生成AIについても一般公開される日が近いのかもしれません。

 

本書の執筆作業については、まだ99%が人力です。
Bing AIチャットと対話しながら調べものをする機会は多かったですし、執筆に際してもAIが提示してくれる構成を参考にした部分はありますが、中身については人間のプライド(?)にかけて、自分自身で執筆しています。
しかしながら、筆者のような解説ライターの仕事は、今後急速にAIに代替されそうですね。
1冊の書籍を作るという仕事すら、テーマを設定するだけでAIが実施できるようになるかもしれません。

 

目的(SEO対策)に特化した文章生成AIが発展し、他サイトからのコピーではなくオリジナルの文章として自然な文章を出力できるようになっています。
自動生成した記事でもSEO対策として有効であるため、人間のライターを雇う代わりに、AIに任せるということが現実的になっています。
そういったことができるサービスの一例が、Jasperです。

 

クリエイターの仕事が奪われてしまうのではないかという大きな懸念も生まれています。
これは一面的には事実ですが、別の一面ではクリエイターの作業効率を上げてより生産的な仕事にフォーカスできるということでもあり、業界構造や求められるスキルセットが変わっていくということです。

 

著作権の有無は、作成した画像に対する権利として重要な論点なのですが、現時点では個々の具体的なケースに対する解釈が固まり切っていないという状況です。

 

生成AIを使うと、全く知識がない人でも非常に簡単にフェイクニュースを作れるのです。
(略)
静岡県の水害のフェイク画像は、Stable Diffusion で「flood damage , shizuoka」というキーワードを入れるだけで生成したとのことです。

 

フェイクニュースのような、社会問題になりかねない情報は即刻削除する、マーケティング目的の可能性が高い情報も、自動処理を駆使しながら効率的に対応するといった活動を通して、利用者から信頼される生成AIを運営できる企業が、今後の生成AIの王者になることでしょう。

 

検索エンジンは、いわば図書館の司書のような存在です。
欲しい情報を伝えれば、その情報が載っていそうな本を提案してくれます。
それに対して、生成AIは何でも知っている先生です。
欲しい情報を伝えれば、その答えをピンポイントで教えてくれます。
それに加えて、なぜその答えになるのか詳細を知りたい人のために、根拠となるソースも教えてくれます。

 

従来型の検索エンジンと代わるものとして、個人のデータを総合的に把握した、生成AIの技術を使って回答や対応を行う、アシスタントAIのようなサービスが主流になると予想できます。

 

作品の方向性についてクライアントへのヒアリングを重ね、その思いを理解した上で、AIを自由自在に使いこなして効率的にコンテンツを作成することができれば、その人は非常に重宝されるはずです。

 

教育という観点でも、アシスタントAIは非常に有効です。
いえ、非常にという言葉が野暮ったく感じるくらい、革新的な違いが生まれます。
イメージしやすいように、ここでは「AI家庭教師」と呼ぶことにしましょう。
AI家庭教師は、生徒の学習進度と、得意分野と苦手分野を全て知っています。
その上で、生徒に最適な形で、次に学ぶべきことを教えてくれるのです。

 

人同士のコミュニケーションの重要性が上がるでしょう。
(略)
長引いている会議の論点を整理して段取りをつけるファシリテーションスキル、分かりやすく問題提起できる説明スキル、仕事が上手く行かずに悩んでいる後輩に自ら声をかけて相談相手となる共感スキル、このようなヒューマンスキルに長けた人が、これまで以上に企業で重宝されるようになるのです。
私たちは、このような世界が到来することを見据えて、ヒューマンスキルを中心にリスキリングを図ることが必要になるでしょう。

 

私たちは、これまで以上に情報に対するリテラシーが必要となります。
フェイクニュースや詐欺メールを見破るということはもちろん、生成AIを悪用して作られた信ぴょう性の低い情報についても、作者や掲載場所を含めて総合的に判断することが必要とされるでしょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2012-1】本書を参考に、生成AIサービスを実際に使って体感してみる

【2012-2】人間力(ヒューマンスキル)を磨き続ける

【2012-3】情報に対するリテラシーを学習する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】生成AI 社会を激変させるAIの創造力
【著者名】白辺陽
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/5/31
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日の仕事力を磨きたいときに
キーワードサイエンス考える働き方
【頁 数】312ページ
【目 次】
Chapter1 生成AIの萌芽
Chapter2 次々に登場する実用的なサービス
Chapter3 生成AIがはらむ問題
Chapter4 無限の可能性を予測する
Chapter5 生成AIがもたらす未来

 

▼さっそくこの本を読む

生成AI 社会を激変させるAIの創造力
白辺陽 SBクリエイティブ 2023-5-31
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白辺陽さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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