【書評:1982冊目】人生後半の戦略書(アーサー・C・ブルックス)

【落ち込みはじめたら、飛び移れ!】
ハーバード大学教授/アーサー・C・ブルックス氏が、『人生後半の戦略書』と題して、人生前半の成功体験から抜け出し、別のルールに支配された人生後半の生き方を指南する一冊。

■書籍の紹介文

あなたの人生の現在地。
登り坂の途中ですか?下り坂の途中ですか?

 

本書は、人生は前半と後半で異なるルールによって支配されていると提起し、前半から後半へうまく飛び移り、人生後半も幸福に包まれていく生き方を指南する一冊。

 

人生前半を支配するルール:流動性知能
人生後半を支配するルール:結晶性知能

 

そのうえで、ルールが変更された時期を、いかに感じ取ればいいのか。
感じ取ったら、いかにスムーズに人生後半の新たなルールに自分を適応させればいいのか。

 

ここを丁寧に説いていきます。
キャリアの曲がり角を意識している人など、生き方や働き方のヒントを求める方には気づきの多い内容になっています。

 

人生において変化は避けられません。
しかし、変化が苦しいものになることは避けることができます。

 

そのためには、変化を感じ取り、変化を認めることがとても大事です。
自分はまだまだ大丈夫だ、もっとやれる、などと目を背けてしまうと、苦難の壁はどんどん高くなってしまいます。

 

ただ、頭で分かっていても、変化や衰えを認める”勇気”は出しにくいもの。
そんなモヤモヤした背中を優しく押してくれるような空気感もあり、読書の挫折を防いでくれます。

 

人生後半は下り坂でしかない。
もしあなたがそう思っているなら、人生後半のルールの世界をまだ見えていない可能性が大きいです。

 

自分はできる人間だと自己崇拝する先に、幸福はありません。
年齢を重ねたからこそできる、幸福になれる生き方があります。

 

◆ヒントの多い良書。

人生後半の戦略書
アーサー・C・ブルックス SBクリエイティブ 2023-2-28
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■【要約】15個の抜粋ポイント

平均すると、「クリエイティブな職」のキャリアは、およそ経験20年目にピークを迎えるため、おおかた35歳から50歳の間に落ち込みはじめます。

 

現状の成功を維持しようとすれば、仕事依存などの依存症的な行動パターンに陥り、不健全なほどそれにのめり込み、配偶者や子どもや友人との深いつながりを犠牲にしてしまいます。
ランニングマシンから転げ落ちる頃には、抱き起こしてほこりを払ってくれる人は、一人も残っていないのです。

 

●今すぐ始めるべき”3つのこと”
(1)人間関係を深めること
(2)精神性を探究すること
(3)弱みを受け入れること

 

幸福になることより特別になることを選ぶ人は、依存症に陥っているのです。

 

自己モノ化をすると、自尊心も人生の満足感も低下します。
女性たちが行う身体的な自己モノ化に限って言えば、自己モノ化をすると自分の体を恥じて自己肯定感が下がり、そのせいで人生の満足感も低下することが、研究で明らかになっています。
(略)
当然ながら、こうした問題はすべて、ソーシャルメディアによって悪化します。
ソーシャルメディアは、自己モノ化をかつてないほど容易にしています。

 

削ること、つまり世俗的な欲を管理することを開始しなくてはいけません。
それも、今すぐに、です。

 

現実と向き合うとは、死の恐怖にーー文字どおりの意味でも、職業的な死という意味でもーー打ち克つということです。

 

思い出に残るような貴重な行事で残りの時間を数えると、時間の貴重さが急に具体的に感じられます。
時間をもっと賢く使うようになります。
「毎日を、人生最後の一日だと思って生きよう」というのと同じ考え方です。

 

あなたの本当に欲しいものを手に入れ、第2の曲線に移る心構えを身につけるには、人間関係を構築し、愛の精神に基づいて知恵を共有する必要があります。
そのためには、内発的目標へと移行するしかありません。
でも、新しい目標を、それも人生が後半に差しかかってから持つことなどできるのでしょうか?
絶対にできます。
ただ内発的な価値観をもっと包み隠さずに口にする必要があります。

 

流動性知能曲線が落ち込みはじめたら、「今やるべきことは抵抗することではない」「抵抗しても、満たされない執着が倍増し、苛立ちが募るだけだ」というサインです。
結晶性知能を高め、知恵を生かし、知恵を他者と分かち合うべきときが来たということです。

 

精神の修養は、健康増進と同じくらい重要な自己改善です。
その時間をなんとしても確保するために、瞑想、祈り、読書、実践を予定に入れてください。
それも、毎日の予定に入れるのです。

 

落ち込みを経てもなお「力を増し」、強さを増して進むには、自分の弱さ、つまり喪失や落ち込みが、自他への恵みとなることを認識することが大事です。

 

弱さを受け入れる気になれないなら、まずは、「弱くない」ふりをやめればどれだけ心が安らぐか、想像してみてください。
偽りがなく、無防備で、等身大であることを恐れないあなたに、他者が惹かれる様子を思い浮かべてください。

 

自由になるには飛ばなくてはいけないと分かっていても、飛ぶのは怖い。
それでも飛べば、つかの間の過渡期を経て、あなたは生まれ変わるのです。

 

本書で覚えておくべき教訓を一つだけ挙げるとすれば、幸福はすべて愛から生まれるということです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1982-1】毎日を人生最後の一日だと思って生きる

【1982-2】瞑想する時間を毎日の予定に組み入れる

【1982-3】「弱くない」ふりをやめる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】人生後半の戦略書
【著者名】アーサー・C・ブルックス
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/2/28
オススメ度★★★★☆
こんな時に生き方に迷ったときに
キーワード生き方40代自己対話
【頁 数】320ページ
【目 次】
第1章 キャリアの下降と向き合う
第2章 第2の曲線を知る
第3章 成功依存症から抜け出す
第4章 欲や執着を削る
第5章 死の現実を見つめる
第6章 ポプラの森を育てる
第7章 林住期(ヴァーナプラスタ)に入る
第8章 弱さを強さに変える
第9章 引き潮に糸を垂らす

 

▼さっそくこの本を読む

人生後半の戦略書
アーサー・C・ブルックス SBクリエイティブ 2023-2-28
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アーサー・C・ブルックスさん、素敵な一冊をありがとうございました!

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