【書評:1983冊目】OODA式リーダーシップ(アーロン・ズー)

【変化に対応できるリーダーの原理原則】
事業開発プロデューサー/アーロン・ズー氏が、『OODA式リーダーシップ』と題して、変化が激しいビジネス環境に適したOODA式マネジメントの基本知識を解説する一冊。

■書籍の紹介文

「正策」と「奇策」。
リーダーシップに必要なのはどちらだとおもいますか?

 

本書は、OODAのフレームワークをうまく使いこなせないのは経験と権限の不足にあると提起し、日本のビジネス環境で使いこなすコツを解説する一冊。

 

リーダーシップには、「正策」も「奇策」も必要である。
本書の結論です。

 

そのうえで、「正策」に役立つのがPDCA、「奇策」に役立つのがOODA(ウーダ)。
なにかと比較される2つのフレームワークは、そもそも役割がまったく異なると説きます。

 

■PDCA(目的:業務改善)
・計画(Plan)
・実行(Do)
・評価(Check)
・改善(Action)

 

■OODA(目的:意思決定)
・観察(Observe)
・判断(Orient)
・決定(Decide)
・行動(Act)

 

日本ではPDCAが、これでもかと浸透しています。
しかし、プロセスの流れを見ても分かるとおり、PDCAは「計画(Plan)」がないとプロセスは動き出せません。

 

「これで大丈夫か?」と”計画”を煮詰めているうちにも、ビジネス環境は刻々と変化していきます。
要するに、変化が激しくなる一方のビジネス環境では、あまりにも非効率なのです。

 

対して、OODAは「観察(Observe)」からプロセスが動き出します。
ビジネス環境を”観察”することで、変化にいち早く気づくことができ、変化のなかにあるビジネスチャンスを効率的に掴むことができるわけです。

 

ただし、「観察(Observe)」→「判断(Orient)」には経験値が必要です。
ビジネス環境のどこに目付けするか、変化をどうやって見抜くか、変化による影響をどう読むか。

 

アスリートや職人と同じように、上達には鍛錬が必要になります。
さらに、OODAのプロセスには、日本人が苦手な要素が存在します。

 

そう、「決定(Decide)」です。
しかしも、「観察」→「判断」が上達したうえでの「決定」になります。

 

年功序列や前例主義にどっぷり浸かっている日本社会では、この「決定」は高い壁です。
日々のニュースをみても、「ズレている」と感じる政策や判決が多いのも、そのためかもしれません。

 

しかしながら、経験値が必要ということは、経験を積みさえすれば上達は必ずできるということ。
この上達に必要なことを、日本のビジネス環境に適した形にまとめ上げたのが本書です。

 

業務改善(PDCA)で生き残れてきた”主力事業”は、前年比を維持するのも大変です。
つぎの稼ぎ頭となるべき”新規事業”の育成は、すべての企業において危急の課題です。

 

この”新規事業”の育成に威力を発揮するフレームワークこそ、『OODA』なのです。
チャレンジのGoサインを出す「意思決定」がOODAの役割だからです。

 

個人でも組織でも、迅速な対応が求められる今。
戦うためにも、守るためにも、OODAは必要です。

 

◆課題はOODAで解決せよ!

OODA式リーダーシップ
アーロン・ズー 秀和システム 2023-3-10
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■【要約】15個の抜粋ポイント

マネージャーは複雑さに対応し、リーダーは変化に対応する。
それが「マネジメント」と「リーダーシップ」の概念だ。

 

①オーセンティック・リーダーシップ(Authentic Leadership):本質的な土台である積極的なリーダー
②サーバント・リーダーシップ(Servant Leadership):部下を支援する謙虚なリーダー
③トランスフォーマティブ・リーダーシップ(Transformative Leadership):変えられるものを変えていく変容をもたらすリーダー
④クロスボーダー・リーダーシップ(Cross-Border Leadership):文化、人、価値観などの違いを理解し、壁を越えられるリーダー
そして、これらの四つをすべて持ち合わせることで、積極性を発揮しながら、一方で弱さも認め、自分自身もチーム全体も変えることができる「最高のリーダー」、アサーティブ・リーダー(Assertive Leader)が完成する。
これこそが、スタンフォード大学とコロンビア大学の心理研究チームが科学的に導き出した究極の先導者の在り方だ。

 

リスペクトを持って接する雰囲気を作るためには、次の五つの要素が必要だ。
(1)意義を共有する
(2)与える人になる
(3)メンバーの強みを見つける
(4)フィードバック上手になる
(5)成果を明確にする

 

●OODAとPDCAの決定的な三つの違い
①目指すべき結果を想定していない
②評価のプロセスがない
③そもそもの役割が違う

 

安定した既存事業はPDCAを回して、緻密なマネジメントをおこなう「正策」を主力とし、変化が激しい新規事業はOODAを高速回転させ、勝機を見抜くリーダーシップを発揮する「奇策」に集中することだ。

 

OODAは、実際に「決定(Decide)」が「判断(Orient)」に暗黙的に統制されているが、決定というプロセスがあることで、責任を明確化しているとも言える。

 

いずれにせよ「欺き、迷わせ、驚かせる」、これは戦争であってもビジネスであっても、弱者が強者に勝つための秘訣であり、その意思決定プロセスであるOODAの暗黙的な「決定(Decide)」は、迅速であればあるほど効果があるのだ。

 

「イノベーション」は何もないところから突然、生まれてくるのではない。
異なる「知」を組み合わせることで起こる。

 

結局のところ「信頼」は、同じ目的の中で、お互いが説得し、理解し、共有することで築かれるのだ。

 

「同じ目的を持つこと」でしか信頼関係は強くならない

 

「すべての経営者(リーダー)は、奇策を生み出せるクリエイターであるべき」

 

日本のような変化が激しい社会において、ミドル層の経験の価値は小さくなりつつある。
それよりも社内政治の面で、若手をバックアップするほうが重要であり、その動き次第で企業そのものの存続にも関わる大きな要因にもなりえる。

 

経営層は「課題を解決するための経営判断」はおこなうが、実際に「何が課題なのかを判断する」のは、ミドル層の仕事なのだ。
この「問題を課題として経営層に認識してもらうためのプロセス(提案、根回し、協力者探しなど)」を「イシュー・セリング(Issue Selling)」と呼ぶ。

 

●把握しておきたいトップと社風の特徴
・ボトムアップへの期待
・トップの変革意欲
・社内の変革気運
・直近の変革実績

 

●生き残れる企業が持つ四つの特徴
①「誰にでも理解できるシンプルな事業であること」
②「サービスやプロダクトの参入障壁が高いこと」
③「歴史に裏づけされたブランド価値が高いこと」
④「経営者がお金を効率的に使えて優秀であること」

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1983-1】仕事をする(させる)際、「意義の共有」を徹底する

【1983-2】知識や技術、人脈といったリソースは惜しみなく与える

【1983-3】過度な精神論を押しつけてくる人間との関係は断ち切る

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】OODA式リーダーシップ
【著者名】アーロン・ズー
出版社秀和システム
【出版日】2023/3/10
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー組織改革働き方
【頁 数】216ページ
【目 次】
第一章 科学的に考えるリーダーシップの定義
第二章 軍事戦略から紐解く「戦略」の要素
第三章 ビジネスにおけるOODAの存在意義
第四章 日本でOODAを活かすための変革とは

 

▼さっそくこの本を読む

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アーロン・ズーさん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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