【書評:1806冊目】非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術(齋藤太郎)

【情熱を燃やした先に解決策はある】
クリエイティブディレクター・齋藤太郎氏が、『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』と題して、ビジネスの課題をクリエイティブに解決する技術と手法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

目の前の課題を解決するとき。
あなたはどれだけ”情熱”をそそいでいますか?

 

本書は、広告やマーケティングにとどまらない、ビジネスの課題をクリエイティブディレクターのスキルを活用して解決するための技術と手法を指南する一冊。

 

ビジネスにおける課題解決には、3つのステップがあります。
①課題の”本質”を見つける
②解決策の”仮説”を立てる
③解決策をもって”解決”に繋げる

 

これ自体は、よく見聞きするものであり、目新しいものではありません。
クリエイターでなくても、ビジネスパーソンならだれもがおこなっていることです。

 

では、クリエイターと呼ばれる人たちと、一般のビジネスパーソン(非クリエイター)を分けるものはなんなのか。
この一端を知ることができる、よい機会となる書籍です。

 

著者は、『自分の考えで仕事をする』ことをポイントにしています。
つまり、課題解決に向けて、自分なりの意思を持ち、自分なりの思いを込め、目指すべきものに向かって知恵を絞るということです。

 

こう聞くと、「それだってみんながやっていることだ!」と反論したくなるかもしれません。
わたしもそういう感情を覚えました。

 

しかし、読み込んでいくとあることに気づきます。
それは、1件の課題解決に傾けている”情熱”というか”覚悟”の差です。

 

一般のビジネスパーソンと違い、クリエイターはクライアントから認められなければ、つぎのチャンスは訪れません。
言い換えれば、常に”背水の陣”で課題解決にあたっているといえます。

 

もちろん、一般のビジネスパーソンも気持ちは同じでしょう。
ですが、万が一、目指す成果を得られなかったとしても、すぐに仕事を失うことはほぼありません。

 

この違いが、クリエイターと非クリエイターを分けているように感じます。
両者を隔てている”違い”のところにあるスキルや手法とはなにか、きちんと吸収できる内容が書かれています。

 

変化のスピードが加速する現代社会。
いかに早く課題に気づき、いかに適切に解決できるかは、死活問題です。

 

これは会社組織にもいえますし、一人ひとりの個人にもいえることです。
であるならば、”違い”を埋めておくことは、取り組むべき”課題”になります。

 

自分の仕事への「志」や「情熱」を見つめ直すためにも。
著者の熱に触れ、みずからが熱に浮かされるのもよい経験となるとおもいます。

 

◆仕事に気持ちを込める。

非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
齋藤太郎 東洋経済新報社 2022-1-28
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■【要約】15個の抜粋ポイント

クリエイティブには「表現のクリエイティブ」以外に「ビジネスのクリエイティブ」も存在するというのが、私の考え方です。

 

新しい工夫をしたり、既存の思い込みを排除したり、物事を俯瞰で見たり、もうひと工夫を加えて何か変えられることがあるのではないかと考える。
ちょっと違う角度から、アイデアを紡ぎ出す。
「ビジネスのクリエイティブ」とは、そういうところで使うクリエイティブのことです。

 

(課題の発見の前に)「クライアント」や「クライアントの周辺」についてよく知っておく、ということです。
クライアント企業の業界の状況やビジネスモデル、収益構造について、基本を理解し、最新の情報をアップデートしておく必要があります。

 

現場にしかわからない現実やリアリティはもちろんいろいろとありますが、常に物事を全体像で捉える意識を持つこと。
いろいろな方向や、俯瞰から見ることにより一部のバイアスに左右されない視点を持つことを心がける必要があります。

 

私が用意している、とっておきのキラークエスチョンは、これです。
「この商品で世の中はどう変わりますか?」
この質問で、狭くなった視野を大きく広げることができた例は少なくありません。
「うまくいったときの世の中は、どうなっていますか?」
「この商品が当たり前になったとき、5年後はどうなっていますか?」
という質問も効果的です。

 

俯瞰でものを見る「鳥の眼」。
近づいて見る「虫の眼」。
流れを見る「魚の眼」。
この3つの見方を繰り返していくことで、課題の本質に近づいていけると考えています。

 

解決策の仮説を考える上では、対象となる人たちのライフスタイルを当事者になりきって自分の中に憑依させて思考していくことがとても大事です。

 

課題に対する解決策の仮説を考える際には、誰の気持ちを動かすことができれば成功なのか、ターゲットを絞る必要があります。

 

課題の解決策を考えるときに、ぜひやってほしいことがあります。
それは、あらためてその商品やサービスの存在意義や価値を定義することです。
これを私たちは「タグラインをつける」と呼んでいます。
(略)
誰にとって、何が魅力なのかが、パッと見て理解できるもの。
つまり「一言で言えば、それって何?」ということです。

 

タグラインが「製品のことを一言で表す」ワードなら、コンセプトワードは「プロジェクトのことを一言で表す」ワードです。
これがしっかりできていないと、最終的なアウトプットがターゲットに刺さるものにならなかったり、「ちょっと違うな」となってしまう可能性が高いのです。
コンセプトワードがあることで、チームが共通認識を持つようになり、その先のクリエイティブ作業に無駄が生じにくくなり、加速します。

 

しがらみや不純な理由に負けずに、「決める勇気」「捨てる勇気」を常に持ち続ける必要があるのです。

 

まずは、図を描くこと。
これは、チーム内でミーティングをしたり、クライアントと一緒に考えていくときにも有効です。

 

「たとえる」力を普段から意識して鍛えることは、課題の発見や解決に、大きく役立つと思います。

 

私ごときのような者がギブすることで喜んでもらえて、それでなんらかののきっかけや、その先の成長や成功が生まれるというのは、ギブ冥利に尽きるというものです。

 

どこかに自分の責任があると考えるのは、当事者意識の裏返しでもあります。
自分がいるからこれができる。
自分がいるから世の中がハッピーになる。
そんなふうに思えるかどうか。
こうした当事者意識を持つかどうかで、仕事は圧倒的に変わります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1806-1】「ひと言で表す力」を鍛える

【1806-2】「図を描く力」を鍛える

【1806-3】「たとえる力」を鍛える

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
【著者名】齋藤太郎著者情報
出版社東洋経済新報社
【出版日】2022/1/28
オススメ度★★★★☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード問題解決マインド思考
【頁 数】286ページ
【目 次】
序章 クリエイティブ進化論
第1章 課題の本質を見つける
第2章 仮説を立てる
第3章 解決策につなげる
第4章 クリエイティブな課題解決力を高める技術
第5章 クリエイティブな課題解決力を高めるマインド

 

この本が、あなたを変える!

非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
齋藤太郎 東洋経済新報社 2022-1-28
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齋藤太郎さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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