【書評:2083冊目】相談する力(山中哲男)

【相談とは物事を前に進めるスキルである】
トイトマ代表取締役・山中哲男氏が、『相談する力』と題して、相談は仕事をするうえで修得すべき重要な”スキル”であると提起し、身につけるための方法論を解説する一冊。

■書籍の紹介文

人に相談すること。
あなたは得意ですか?苦手ですか?

 

本書は、『相談=物事を前に進めるための”スキル”』だと提起し、相談を構成する要素やプロセスを詳しく解説しながら、相談する力を身につける方法論を解説する一冊。

 

相談は苦手・・・、という人が多数派だとおもいます。
では、なぜ苦手意識を持ってしまうのでしょうか。

 

それは、「どうやってやればいいのか」というやり方をきちんと学んでいないからです。
にも関わらず、「相談なんてできて当たり前、仕事以前の話」という社会の空気感に負けてしまい、聞くに聞けずに苦手意識だけが大きくなってしまうのです。

 

仕事における相談とイメージすると、報連相が浮かびます。
しかし、報連相は報告・連絡・相談の頭文字です。

 

そう、報告は報告、連絡は連絡であり、相談はまったくの別モノです。
報告と連絡がきちんとできるから相談できている、とはなりません。

 

当たり前のことを書いていますが、意外と誤解というか混同している人が多いように感じます。
ゆえに、上司や同僚、関係者との間にコミュニケーションミスを起こしてしまうのです。

 

これは非常にもったいないことですよね。
学びさえすれば防げるのに、学ばないことで要らぬ信用低下を招いてしまうわけですから。

 

そこで学びたいのが、本書です。
『相談=物事を前に進めるための”スキル”』だと提起し、スキルなのだから体系的に身につけることができると説く書籍です。

 

相談を構成する要素や相談のプロセスごとに、要点をわかりやすく解説。
まさに「相談する力を学ぶための教科書」といった完成度を感じる一冊になっています。

 

日常の相談で、自分がどこで躓き”変な空気”になってしまっているのかを知ることができます。
もちろん、躓いてしまったときにどう対処すればいいのかもしっかり学べます。

 

相談がうまくいったときは、目の前がパーッと開けたような爽快感をおぼえます。
この爽快感を当たり前に感じられる自分となるためにも、ぜひこの機会に学んでみてください。

 

技術を体系的に学び、実践で経験値を増やす。
苦手な相談も、これで確実に克服できます。

 

◆学びやすい良書。

相談する力
山中哲男 海士の風 2024-1-24
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■【要約】15個の抜粋ポイント

相談とは、自分一人の限界を突破し、仲間の力を借りてやりたいことを実現するビジネススキルです。
新しいことにチャレンジしたり、やりたいことに取り組んだりする過程で、うまくいかずに立ち止まってしまった人にとって、少しでも物事を前へ進めて現状を打破する力となります。

 

●物事を前へ進めるための「5つの要素」
(1)何のためにやるのか
(2)誰のためにやるのか
(3)どんな商品・サービスをつくるのか
(4)顧客との関係をどうつくるのか
(5)実現するうえでどんな制約があるのか

 

●相談で得られる4つのメリット
(1)「思い込み」にツッコミをもらい、思い込みを外すことができる
(2)ネクストアクションが見つかり、行き詰まった状況を打破できる
(3)やりたいことに共感してくれる「応援し合える仲間」が増える
(4)やりたいことや事業の「解像度」が上がる

 

「相談」を何のためにするのか。
その究極の答えがここにあります。
それは、あなたの可能性を最大限に引き出し、高めるため。
だからこそ、「一人で考えて行動する」よりも「みんなで考えて行動する」ことが重要なのです。

 

●3つの相談タイミング
(1)物事が行き詰まらないようにするための「予防相談」
(2)物事が行き詰まってからする「対処相談」
(3)偶然を活かす「種まき相談」

 

私も、自分が「考えてもわからない」状態に陥っていないかを常に意識しています。
そして、思考が飽和したと感じた瞬間、すぐに相談のアポイントを入れます。
相談は遅すぎるよりも早すぎるほうがはるかにいいからです。

 

●一歩を踏み出しやすくなる相談相手4つの分類
(1)気軽に相談できる人
(2)専門性が高い人
(3)多面的に見てくれる人
(4)相談のための相談ができる人

 

「誰に相談するか」を考えるうえで大切なことをお伝えします。
それは、一人の相談相手にこだわらない、ということです。

 

「相談で伝えるべきこと」とは何なのか。
それは、次の3つに集約されます。
・目的:何のためにやるのか。
・原体験:なぜそれを自分がやろうと思ったのか。
・現在地:やりたいことに対して、今自分はどの位置にいるのか。

 

いいところを見せたい気持ちはわかりますが、そこはぐっと抑えて、いいところだけでなく、課題やうまくいっていないことも伝えるようにしましょう。
ポイントは、「可能性と課題」「うまくいったこととうまくいかなかったこと」は必ず両方伝えること、そして事実と目的は「9:1」で伝える、という3点です。

 

相談相手に「なぜ」「どうして」と問いかけてみると、自分では想像もしなかった視点が見えることもあり、その気づきがネクストアクションを見出すことにつながります。
仮に「今」役に立つものではなかったとしても、その意見や情報は、間違いなく将来役立ちます。

 

相談相手の意見や情報を聞いて「こういう可能性もあるのかな」「こんなことはどうなんだろう」という考えが浮かんだら、「たとえば」という枕詞をつけて質問します。
「たとえば」を使うことにより、選択肢を1つに絞り切らないことがポイントです。
「他にも選択肢がある」という前提で一緒に議論するのが狙いです。

 

相談相手から意見や情報を示されても、ネクストアクションが決まらない場合は、その場で無理に意思決定をしようと考えず、なぜ決められないかを深く考えることをおすすめします。
その1つの方法として、5つの要素の中で1つ手前の要素が決まっていないからではないか、と問いかける習慣を持つことは、とても有効です。

 

自然体で相談に臨めば、偶発性は起こりやすい。

 

相談は、一発勝負ではありません。
成功も失敗もない。
相談を重ね、前へ進み続けることが、行き詰まった現状を打破することにつながっていくのです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2083-1】考えてもわからない状態に陥ったと感じたら、すぐに相談する

【2083-2】相談する際は、「目的」「原体験」「現在地」の3点を意識して伝える

【2083-3】一人の相談相手に固執しない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】相談する力
【著者名】山中哲男著者情報
出版社海士の風
【出版日】2024/1/24
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日の仕事力を磨きたいときに
キーワード人間関係問題解決働き方
【頁 数】208ページ
【目 次】
序章 なぜ相談によってやりたいことが実現するのか
1章 なぜ相談するのか
2章 いつ相談するのか
3章 誰に相談するのか
4章 何を伝えるのか
5章 どう聞いて動くか
終章 相談を成功に導く3つの習慣

 

▼さっそくこの本を読む

相談する力
山中哲男 海士の風 2024-1-24
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山中哲男さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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