【書評:1969冊目】必ずできる、もっとできる。(大八木弘明)

【変えるではなく、まずは自ら変わる】
駒澤大学陸上競技部監督・大八木弘明氏が、『必ずできる、もっとできる。』と題して、勝利から遠のいた常勝軍団を復活させるために何を変えたのか、進化した指導論を指南する一冊。

■書籍の紹介文

変えようかどうしようか・・・。
そんなふうに悩んでいることはありませんか。

 

本書は、勝てなくなった常勝軍団を復活させるために指導者として何を変えたのか、心の葛藤や転機をふり返りながら、名将の集大成となる”指導論”を指南する一冊。

 

うまくいっていたことが、うまくいかなくなった。
このとき、多くのリーダー/指導者は、”やり方”を変えようとするか、固執しようとするかに分かれます。

 

しかし、リーダー/指導者が本当にやるべきことがあると著者は説きます。
それは、『(リーダー/指導者が)まずは自らが変わる』ということです。

 

部下を変える→組織を変える、ではありません。
リーダーが変わる→(その変化に触れ)部下が変わる→組織が変わる、なのです。

 

といえ、言うは易く行うは難しです。
頭で理解しても、なかなか実践できないと苦悩される方も多いでしょう。

 

著者も同じです。
本書のなかでも、苦悩や葛藤にもがき苦しみ、そこから乗り越えるまでの心情がストレートに表現されています。

 

特に、「以前は省いていたが、今は絶対必要」といった表現をするところが随所に出てきます。
この”変化”の箇所にこそ、多くのヒントが隠されているように感じます。

 

過去の栄光から離れ、いかに現在の栄光へつながる進化にたどり着いたのか。
リーダーや指導者として、「どうすれば…」と苦悩している人にとって、とても示唆に富む内容です。

 

箱根駅伝名物とも言われた、あの”掛け声”。
その声に隠された葛藤、苦悩、進化を知れる貴重な一冊。

 

『必ずできる、もっとできる』。
2023年3月をもって勇退される名将の集大成をぜひ。

 

◆心に沁みる指導論。

必ずできる、もっとできる。
大八木弘明 青春出版社 2023-1-30
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■【要約】15個の抜粋ポイント

2008年の箱根駅伝で勝った後、2021年に再度の優勝を手にするまで実に13年かかった。
そこまでの間、なぜ勝てなかったのかを改めて考え直してみたとき、まず「心におごりが生まれたから」という理由が思い浮かぶ。

 

箱根駅伝は4連覇を含め、5回の優勝を遂げていた。
そこに向けた選手の育て方、勝ち方はもうある程度はわかっているという自負があるうえに、エリート選手が加わる。
「これまでと同じやり方でいけば結果はついてくるはず」というおごりが、心に生まれてしまった。
これが大きな落とし穴になった。

 

指導とは情熱と信頼関係によって成り立つもの。
コミュニケーションを取らず、一部分だけを見て叱っても、人は育たない。
「なぜ走れないのか」、「どこに問題があったのか」、「どう改善すればいいのか」。
私の視点を伝え、選手と一緒に考え、次の行動を促す。
それをしないのはやはり「行動力の欠如」である。

 

いざ、自分の考えを変え、指導を変えていこうとしたときに、助けられた言葉がある。
それは「情熱に勝る能力なし」というもので、自己啓発の雑誌に書かれていた見出しだった。

 

少しでもおかしいと思ったらその原因を探り、対処する。
指導とは観察から始まるといっても決して言いすぎではないだろう。

 

「伝統だから」という理由で続けるのは一番やってはいけないこと

 

積み重ねをしていくことで、諦めない心が養われると考えている。
同時にここでも「おまえならできるぞ、やれる」の言葉を私は積極的に使う。
粘り切る気持ちと走力は別物。
その気持ちがあれば目標に必ず手が届くはずだ、と背中を後押しするようにしている。

 

なぜこの練習をするのか。
どんな狙いがあるのか。
その結果、選手にどうなってほしいのかを切々と説明する。
これも以前であれば省いていた部分ではあるが、この説明は今は絶対に必要だと思う。
選手が心から納得しない限り、心にわだかまりが残るからである。
そんな状態で練習をしても効果は期待できない。

 

準備不足とは意識の低さに他ならない。
これは陸上競技に限らず、すべてのことで言えるのではないかと思う。

 

熱意を持って誘う。
目標への具体的な道筋を示す。
さらに目標の先にまでイメージを広げてあげる。
それが選手勧誘で最も重要なことだ。

 

チーム作りをするうえでずっと大切にしていることは「意識の高い組織にしたい」という点である。

 

何事も同じだと思うが、意識も低いほうに流れるのは簡単で、そうなると元に戻すのは非常に難しくなる。
現状に満足せず、高い目標を持つこと。
それが高い意識を生み出す第一歩だ。
それを皆で共有するためには「当たり前の基準が高いチームにする」ことが何より大切である。

 

常に高い目標を設定し、追い続けることができるか。
これは競技とはまったく異なる能力だ。
成長する喜びを与えると同時に、さらに広い世界を目指す向上心を抱かせなければならない。
上には上がいることを教え、そこにたどり着ければ、もっと大きな達成感を得られる、と私は言い続けている。

 

指導者たるもの、思考と行動は常に同時進行でなければならない。
それが正しいか、他の選択肢はないのかを行動しながら決めていくようにした。
他にいい手があると判断すれば、変えていけばいいのだ。

 

人生に失敗はなく、そこには成功と成長があるだけなのだ。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1969-1】準備不足は意識の低さと捉えて、準備に妥協しない

【1969-2】目標は、実現できるギリギリの高さに設定する

【1969-3】『人生に失敗はなく成功と成長があるだけだ』という言葉を大切にする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】必ずできる、もっとできる。
【著者名】大八木弘明
出版社青春出版社
【出版日】2023/1/30
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー指導力組織改革
【頁 数】208ページ
【目 次】
第1章 栄光から遠のく
第2章 監督自身が変わる
第3章 指導を変えていく
第4章 人作り・組織作り
第5章 指導者の務めとは

 

▼さっそくこの本を読む

必ずできる、もっとできる。
大八木弘明 青春出版社 2023-1-30
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大八木弘明さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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