【自分を知り相手を知ることで関係性は見える!】
産業・組織心理学者/山浦一保氏が、『武器としての組織心理学』と題して、組織を動かす見えない影響力と人間の心理を巧みに利用したリーダーシップを解説する一冊。
■書籍の紹介文
職場だけだし・・・。
そんなふうに我慢していることはありませんか?
本書は、組織を動かす見えない5つの影響力を明かしながら、それによって人間の心理がどう動くのかを巧みに利用したリーダーシップを解説する一冊。
職場(仕事)は、人生でもっとも多くの時間を過ごす場所。
そういっても過言ではないほど、大きなウエイトを占めます。
ゆえに、人間関係などの悩みを「職場だけだし・・・」と我慢してしまうと。
精神的、肉体的に、大きなダメージを受けることになってしまいます。
とはいえ、職場は”組織”です。
「自分一人だけじゃ何も変えられない」「妥協するほうが楽だ」と思ってしまう気持ちも当然です。
ダメージを受けるのは分かっているから、回避できるならしたいさ!
でも、組織を相手に自分ひとりで戦うなんて無理!余計に苦しくなるだけだ!
こんなジレンマに悩まされ続けている人に、読んでほしい一冊です。
パチッと一瞬で悩みが消えることはありませんが、「これなら戦えるかも」と、タイトル通り”武器”を手にした気分になります。
著者は、見えない5つの影響力によって組織は動くと指摘します。
・妬み
・温度差
・不満
・権力
・信用
これらの影響力に晒されたとき。
どのような反応を示すかは、それぞれの人の性質や心理によって左右されると説きます。
妬みを、ドロドロの嫉妬(恨み)にしてしまう人もいれば、自分だって負けない!と活力に変換してしまう人もいます。
スター選手をかき集めたチームが、惨めな成績に終わり空中分解することもよく目にします。
影響力に晒されたときに、人の心理はどう反応するのか。
ここが、最新の研究によって明らかになってきたと著者は明かします。
つまり、自分をよく観察し、職場の人をよく観察する。
それによって、この影響を受けたときにはこういう反応をする可能性が高い、といったようにある程度は分析できるようになったのです。
組織をマネジメントするリーダー向けの書籍ではあります。
ですが、立場に関係なく、新鮮な視点の学びが多いと感じられる内容です。
優しかった先輩が、リーダーになってからものすごく怖くなった。
チーム発足当初は頼もしかった部下が、最近なにかと問題を起こすようになった。
人が集まる”組織”には、人間関係の悩みや嘆きは尽きません。
そこへ主体的にメスを入れられるようになる”武器”を、身につけてみませんか。
◆新たな学び。
武器としての組織心理学
山浦一保 ダイヤモンド社 2021-9-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント
妬みは人と関わらなければ、感じなくて済む心の痛みや乱れですが、私たちが社会で生きて、組織に所属し活動する以上、人間関係を避けることができません。
妬みには、実は、プラスに作用する心理的な機能が備わっていることが実証され、その仕組みが明らかになりつつあります。
相手と競い合う心理や、切磋琢磨の状態がその典型です。
妬みを持つ人ほど、実は「あの人に負けないように、少しでも追いつけるように」と自分のパフォーマンスを高めようとしているかもしれないのです。
妬まれる人も戦略的に行動しています。
妬まれることの脅威から逃れようとして、3種類の行動をとります。
「隠す」「避ける」「妬む相手と手を組む」です。
組織心理学の世界では、上司と部下の関係を「資源の交換」という視点から、ひもといています。
ここで言う「資源」には、物質的な資源と、心理・社会的な資源をともに含みます。
メンバー一人ひとりの意志の強さに頼らず、チームのパフォーマンスを上げるためには、「メンバー同士が刺激し合う関係性」をいかにつくるかが重要になってきます。
あいさつの機能については、当たり前すぎて多くが語られていないように思いますが、組織を安定させる3つの重要な機能があります。
(1)コミュニケーション開始の機能
(2)友好さの証を示す機能
(3)関係性を確かめる機能
パフォーマンスの高さに直接的に影響していたのは、独自情報の共有でした。
情報がオープンになることで醸成される協力的な風土の中では、自分が持つ独自情報をみんなと共有しようと思いやすくなります。
そうなれば、多くのメンバーが独自情報に接する機会が増えるので、結果的にパフォーマンスが押し上げられることになるのです。
会社は不満の宝庫です。
不満のほとんどは、自分が抱いていた期待と現実のズレによって生じます。
●不満をパフォーマンスに変える4つの環境戦略
(1)仕事の成果に基づく評価
(2)明確な役割を与える
(3)心理的安全性
(4)上司と部下の「仕事の志向性」を合わせる
他者からほめられることは、お金をもらったときと同じく、喜びをもたらしていたということです。
人が権力を持つと、もともとのパーソナリティに沿ってその権力を用いようとすると言われています。
権力への欲求が強い人は利己的に、反対に慈悲深い性格の人は自分の権力を利他的な対応に使うのです。
発言・議論が意味を持って上司に聞き届けられるのは、自分のためであることに加えて、仲間や同じ境遇にある人(の苦しみの排除)のためにもなることが意識されているときなのです。
●謝罪を成功させる6つの要素
(1)素早く謝罪する
(2)言い訳をしない
(3)弱い立場を受け入れる
(4)相手の立場に立つ
(5)変化を約束する
(6)贈り物で”償い”のシグナルを送る
私たちは、自分の面子にこだわりすぎて、本当に大切なものや言葉を見失わないようにしなければなりません。
相手や職場をどう感じどう捉えるか、そして俯瞰することができるかどうかは能力です。
その能力いかんによって、協力的な行動をとるか破壊的な行動をとるかが規定される可能性があります。
これは生まれ持った才能ではなく能力ですから、育てることができます。
■【実践】3個の行動ポイント
【1935-1】自分のことをよく観察する
【1935-2】職場の人のことをよく観察する
【1935-3】「職場だけだし」などと、自分の感情を偽らない
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】武器としての組織心理学
【著者名】山浦一保 ・ 著者情報
【出版社】ダイヤモンド社
【出版日】2021/9/15
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】明日のリーダー力を磨きたいときに
【キーワード】リーダー、心理学、人間関係
【頁 数】240ページ
【目 次】
第1章 妬みを中和し、モチベーションを引き出せ
第2章 「チームの温度差」を埋めよ
第3章 「隠れた不満」を見つけ、有益化せよ
第4章 権力と賢く付き合え
第5章 「失った信用」を取り戻せ
この本で、あなたは変わる!
武器としての組織心理学
山浦一保 ダイヤモンド社 2021-9-15
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山浦一保さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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