【聖書の成り立ちがわかると世界が見える!】
ジャーナリスト・池上彰氏が、『聖書がわかれば世界が見える』と題して、国際情勢を見通す教養を養うのに役立つ、いまの世界をつくった「聖書」の概要を解説する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
聖書。
その成り立ちを、どこまで理解していますか?
本書は、混沌とした世界を生き抜くために必要な国際情勢を見通す教養を養うのに役立つ、いまの世界をつくった『聖書』の概要を解説する一冊。
一週間はなぜ7日間なのか。
今年はなぜ2022年なのか。
あなたは、その理由を説明できるでしょうか。
ここで登場するのがキリスト教です。
つまり、どちらの取り決めもキリスト教に由来するものなのです。
このことだけ見ても、いまの世界がどれだけキリスト教、「聖書」の影響を受けているかがわかるでしょう。
ただ、キリスト教徒は世界人口の3割です。
さまざまな文化を柔軟に取り込んでしまう日本にいるとわかりにくいですが、世界人口の7割は非キリスト教徒なのです。
3割の人が信じる宗教観、価値観によって、世界は形作られていく。
そう捉えると、さまざまなところで”歪み”が生じるだろうと容易に想像ができます。
要するに、キリスト教を知る、「聖書」を理解すること。
これが、国際情勢を見通すうえで欠かせない教養になるのです。
とはいえ、影響は受けていても、宗教を身近に考えていないわたし達には取っ掛かりが必要です。
そこで、おすすめなのが本書です。
「聖書」には何が書かれているのか。
どのようにキリスト教が世界に広がり、さまざまな出来事が生まれることになった歴史をわかりやすく解説していきます。
浅すぎず、深すぎず。
前提知識がない人にも、読みやすい作りになっています。
国際情勢や国際問題の裏で、「聖書」がいかに影響を与えているのか。
興味深い内容でもあり、理解するほど背筋が寒くなる一冊でもあります。
◆頭にスーッと入ってくる名解説。
聖書がわかれば世界が見える
池上彰 SBクリエイティブ 2022-10-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント
もともとユダヤ人にとっての『聖書』はひとつだけ。
それが、キリスト教が誕生したことで、キリスト教徒たちは、人間たちがイエスを通じて神と新しい契約を結んだと考え、それまでの『聖書』を「旧約」とし、イエスの言行録などを中心に編纂されたものを「新約」と呼ぶようになったのです。
キリスト教徒にとっては、どちらも大事な経典です。
ユダヤ人という民族は、ユダヤ教を信じる人たちのことです。
ですから、ユダヤ人には白人もいれば黄色人種も黒人もいます。
ユダヤ人の定義とは、「ユダヤ教徒の母親から生まれた」、あるいは「ユダヤ教に改宗した」人のことを指します。
イスラム教においては、神様(アッラー)がユダヤ教徒に『聖書』を与えたが、ユダヤ教徒が神様の言いつけを守っていないので、イエスを通じて新たに『新約聖書』を与えた、という立場です。
その上で、しかしキリスト教徒たちも神様の言いつけを守らなかったので、神様は最後にムハンマドを預言者として、神様の言葉を伝えたという立場です。
つまりイスラム教においては、『旧約聖書』も『新約聖書』も、いずれも信仰の経典ですが、『コーラン』が最も大事な存在ということになるのです。
ユダヤ人にとっての『聖書』は、天地創造から始まり、人間がどのように生まれたのか、かみが人間にどのような戒律を与えたのかを示しています。
これが「律法」です。
その後、そのものでユダヤの王国がどのように建設されていったかを記す歴史書となっています。
キリスト教のイエス・キリストとは姓名ではありません。(略)
イエス・キリストとは「救世主イエス」という意味になります。
イエスが十字架にかけられて殺害された後、紀元一世紀から二世紀にかけて、信者たちによって書かれた文章のうち、後世に「正典」として認められたものだけをまとめたのが『新約聖書』です。
内容は、イエスの言行録です。
イエスがどのようにして誕生し、どのような布教をし、どのように十字架にかけられ、どのように復活したのかが、後世になってまとめられたものです。
キリスト教が始まった当初は、ユダヤ教の一分派に見られていましたが、それが世界に広がるきっかけとなったのは、ローマ帝国の国教になったからです。
ローマ帝国の国教となって発展したキリスト教ですが、やがてローマ帝国が東西に分裂することで、同じく分裂することになってしまいます。
ローマカトリック教会は、ローマ教皇を頂点としたピラミッド構造となっていて、世界中の全教会を統率しています。
それに対して東方正教会は、カトリックの教皇のような全世界の正教徒を統率する仕組みはなく、それぞれの地域の政治権力と結びついて、ロシア正教会、ギリシャ正教会、ルーマニア正教会など独立した存在となります。
双方が和解するのは一九六五年のこと。
互いに相手を「釈免する」ことで合意したのです。
かといって、両者が統一されたわけではありませんが。
西ヨーロッパにキリスト教が広がっていく過程でローマ教皇の権威が確立するきっかけとなったのが「カノッサの屈辱」と呼ばれる事件です。
「十字軍」を「聖戦を戦ったキリスト教徒」というのは、実に一方的な見方なのです。
南欧のカトリック圏の教会に絢爛豪華な建築が多いのは、「教会に寄付をするなど善行を積み重ねれば死後に救済される」と思っている人たちが、教会に莫大な寄付を寄せてくれたからなのです。
一方、プロテスタントにとって大事なことは、一人ひとりが神と向き合って信仰を大切にすること。
であれば、たとえ多額の利益を上げても、教会への寄付は控えめにして、利益は再投資に回します。
結果、北欧のプロテスタント圏の教会は質素な建築物が多いという傾向になっているのです。
プロテスタントのうち、いわゆる「福音派」とされる人たちが半数近くを占めるため、アメリカ全土では福音派が人口の四分の一を占めています。
この福音派が、アメリカの政界に大きな影響力を持っているのです。
■【実践】3個の行動ポイント
【1934-1】ユダヤ教への教養を深める
【1934-2】キリスト教への教養を深める
【1934-3】イスラム教への教養を深める
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】聖書がわかれば世界が見える
【著者名】池上彰
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2022/10/6
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】教養を伸ばしたいときに
【キーワード】教養、宗教、社会
【頁 数】248ページ
【目 次】
第一章 いまさら聞けない『聖書』とは
第二章 『旧約聖書』を読んでみよう
第三章 『新約聖書』を読んでみよう
第四章 世界に広がるキリスト教
第五章 キリスト教の分裂
第六章 ローマ教皇の権威確立
第七章 イスラム世界との対立招く十字軍
第八章 キリスト教の再度の分裂
第九章 福音派が大きな影響力持つ米社会
この本で、あなたは変わる!
聖書がわかれば世界が見える
池上彰 SBクリエイティブ 2022-10-6
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池上彰さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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