【知肉にしてこそ、読むは成立する】
ジャーナリスト・佐々木俊尚氏が、『読む力 最新スキル大全』と題して、いまこそ「読む力」が決定的に重要な時代だと提起し、著者が実践する「読む力」のノウハウを解説する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
ほしい情報は適切に収集できている。
あなたは自信をもっていえますか?
本書は、情報が氾濫する時代だからこそ「読む力」が決定的に重要だと提起し、最終的に自分の”知肉”にするために、著者が実践している「読む力」のノウハウを解説する一冊。
「情報収集?いつも見ているニュースアプリやSNSに流れている情報を見ることでしょ?」
このように反応された人ほど、衝撃を受けること必至です。
情報を集める、いや、情報に触れる意味を根本的に考え直すよい機会となるでしょう。
「知識」や「視点」を身につけ、最終的に自分の”知肉”にするまでの流れはまさに圧巻です。
・自分にとって必要な情報はなにか
・必要な情報が得られるメディアはどこか
・得た情報を選別するフィルターをどうするか
・ふるいにかけた情報をどう知肉とするか
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など。
これらを考えることすべてが、「読む力」に含まれます。
つまり、この「読む力」を発揮できてはじめて、情報を収集したといえるのです。
さらにいえば、”知肉”にできてこそ「読む」は成立する、のです。
「悪質な情報」も含めて情報が氾濫している実感があるからこそ、「読む力」の必要性をひしひしと感じます。
とはいえ、著者が示すレベルまで「読む力」を引き上げるのは並大抵なことではありません。
それでも、わたし達は引き上げなければいけないのです。
なぜなら、「悪質な情報」に乱されている暇などないからです。
「悪質な情報」を除去し、「良質な情報」だけを集め、それを読み解き、そこから見える世界を見つめていくために時間を使っていくのです。
人が騙されて悔しがるのをみて笑う。
誹謗中傷して人が苦しむのをみて笑う。
こんなことのために流布された情報に触れることを想像すればわかりますよね。
「そんなバカバカしい情報には構ってられない!」と。
これからの時代を生きるための基礎教養として。
本書を参考に「読む力」を構築していきましょう。
◆熱量がハンパない一冊!
読む力 最新スキル大全
佐々木俊尚 東洋経済新報社 2022-1-28
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■【要約】15個の抜粋ポイント
●知的生産に必須の「5つの大前提」
1)まずメディアを「4つのタイプ」に分類する
2)「アウトライン→視点→全体像」という順番の流れをつくる
3)「読むこと」の大きな目的は「多様な視点」を獲得すること
4)読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にするのが最終目標
5)「集中力がない」のが現代人。「散漫力」を逆活用する
●「偏りが強いメディア」を見抜く7つのポイント
①出来事の構図を単純にしすぎて、しかも断言していないか
②誰かを「悪者」にしたてて、対立を煽っていないか
③「要注意ワード」が含まれていないか
④匿名の証言やコメントが多すぎないか、ニュースソースが不明ではないか
⑤「明らかな陰謀論」が書かれていないか
⑥「わたしだけが知っている真実」を根拠にしていないか
⑦「正しさ」「正解」に過剰に頼っていないか
「人間関係のためのSNS」と「情報収集のためのSNS」を分けてしまうのである。
「どのサイトを見るのか」を自分であらかじめ選択しておくことが、「偏りのない視点」を獲得するためには大事なポイントなのである。
自分の専門知識がない分野の記事が出たとき、その記事の妥当性を評価するための基準がある。
①その記事について、ツイッターでどうコメントされているか
②それらのコメントは、専門的見地からのものかどうか
③それらのコメント投稿者のプロフィールはどうか
④それらのコメント投稿者は乱暴な言葉づかいをしていないか
⑤これらの基準をクリアした専門家はフォローし、リストに入れる
わたしはこの5つの段階を踏む「ツイッター追跡メソッド」を考案し、つねに実践している。
情報を集めるというのは、ただ情報を収集することではない。
その情報が持っている意味や価値観を、自分の中に蓄積していくことである。
本を読むのはどこまでいっても「自分のため」であり、自分の頭脳にさまざまな教養や豊かな情感や考える力を蓄積していくためである。
わたしは電子書籍を熱烈におすすめしたい。
なぜならメリットがたくさんあるからだ。
それらのメリットを9つ提示しよう。
①手軽にどこにいても買える
②試し読みできる
③あるテーマの全体像をさっと得られる
④文章を検索できる
⑤文章をコピペできる
⑥リンクを張れる
⑦大きな文字で読める
⑧分厚い本でも読み進めるハードルが低い
⑨本棚が不要で、場所をとらず、端末をなくしても大丈夫
いい本屋さんというのは、このような「本棚の文脈」を大事にしている店のことなのだ。
どうすれば読んだものが「知肉」になるのだろうか。
答えは簡単だ。
それは、「知識や情報の保存」のやり方次第なのである。
ポイントは、情報の保存先を2つに分けることだ。
「頭の中に保存するもの」と「脳の外側であるコンピューターへ保存するもの」を区別するのである。
だんだんと溜まり、山になった「概念」をつなげていくと、自分なりの「世界観」をスケッチできるようになる。
「世界観」ができれば、それを「知肉」へと育てることができるのだ。
大事なのは、そういう流れをつくることを、つねに意識することである。
・「情報」の置かれているところは乱雑でもかまわない
・「概念」と「概念」を結びつける頭の中は、きれいでまっさらにする
この二刀流である。
個人におけるクラウド化の本当の意味とは、雑務や面倒な処理をすべて外部化し、人間が本来取り組むべきことにのみ専心できるようにすることなのである。
「自分のインターバル(集中を持続できる時間)のマックス」も把握しておくことが大切だ。
もう一つのポイントとして、インターバルは「いちばん重いタスク」に合わせるということである。
「集中力を高めよう」と必死になるのではなく、集中力のなさを受け入れ、「最低限の努力」だけで集中できるインターバルを少しずつ確保するのである。
■【実践】3個の行動ポイント
【1808-1】人間関係用と情報収集用でSNSを分ける
【1808-2】閲覧するサイトをあらかじめ選択する
【1808-3】クーリエ・ジャパンを購読する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】読む力 最新スキル大全
【著者名】佐々木俊尚 ・ 著者情報
【出版社】東洋経済新報社
【出版日】2022/1/28
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】読む力を身につけたいときに
【キーワード】情報整理、インプット、読書術
【頁 数】383ページ
【目 次】
序章 まずは現代の知的生産に必須の「5つの大前提」を知る
第1章 まず「落とし穴」を見極め、「読むべきもの」を選別する
第2章 ネットは「何を」見ればいいのか
第3章 SNSをどう使いこなすか
第4章 選んだ記事をどう読み、どう整理・保存するか。情報整理の方法
第5章 本は「何を」「どう」読めばいいか
第6章 知識や情報を活用するカギは「2つの保存」を使い分けることだ
第7章 脳をクリアな状態にする「二刀流」のすすめ
第8章 散漫力を活用し「最適なインターバル」で仕事を回す! 「マルチタスクワーキング」の秘訣
この本が、あなたを変える!
読む力 最新スキル大全
佐々木俊尚 東洋経済新報社 2022-1-28
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佐々木俊尚さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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