【書評:1792冊目】裏道を行け(橘玲)

【搾取(HACK)されない目を養え!】
作家・橘玲氏が、『裏道を行け』と題して、「自由」「多様化」といった美辞麗句の裏で、搾取する側とされる側の格差は拡大中だと警鐘を鳴らし、考えるべき生存戦略を示す一冊。

■書籍の紹介文

スマホアプリやサブスクサービス・・・。
いままで、あなたはいくらを提供側に支払っていますか?

 

本書は、みずから考えて抗わないかぎり、肥大化する収益装置に吸い込まれる一方だと警鐘を鳴らし、自分で「選択できる」自由を確保するために考えるべき生存戦略を示す一冊。

 

テクノロジーの進化によって、わたし達の生活は便利で豊かになった。
これは疑いようのない事実です。

 

ただ、この事実の裏側には理解しておくべきことが隠れています。
それは、商品やサービスを提供する側も、とてつもない勢いで進化し続けているということです。

 

そして現在、わたし達の「脳の報酬系(快感回路)」は、彼らによって24時間容赦なく刺激され続けています
ほんの一瞬のスキマ時間を埋めるために、一心不乱にスマホをいじる街中の風景を想像すればイメージも湧くでしょう。

 

その行動のほとんどは、5年後、いや、明日の生活にすら、まったく価値を残さないものです。
ただただ、消費させられている、搾取(HACK)させられているだけなのです。

 

怖いのは、搾取によって日に日に生きづらさを感じるようになり、イライラとストレスを溜めていきます。
そして、そんなあなたに用意させるのが、イライラを一瞬だけ忘れさせてくれる”新たなサービス(収益装置)”という絶望的なスパイラルに陥ることです。

 

これでは、搾取する側はますます肥大化し、搾取される側は中毒症状が深刻化する一方です。
抵抗しようにも、脳は快感(幸福感)をおぼえているわけですから、抜け出すのは非常に難しい(ほぼ不可能)のです。

 

もちろん、どう生きるかはひとり一人が決めるべきことです。
ただ、決めるためには「選択肢をもっておく」のが極めて重要です。

 

しかし、搾取されている状態、中毒状態が深刻化するほど、選択肢をどんどん放棄してしまいます。
なぜなら、目の前にぶら下げられた快感装置(収益装置)に飛びつかずにはいられなくなるからです。

 

このことを「きちんと自覚して生きなさい」と語りかけるのが本書。
苦しくても、むやみに飛びつかずにしっかり”選択”して生きる意志を貫いてほしい。

 

「裏道を行け」というタイトルには、こうした想いが込められているように感じます。
そして、それができた人こそが「自由に生きる人」なのだと。

 

”選択”するための一歩は、社会の大きな流れを捉えておくことです。
現時点で押さえておくべき”流れ”が、この本の中には流れています。

 

◆流れを掴み、自ら考える。

裏道を行け
橘玲 講談社 2021-12-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント

婚活サイトのビッグデータの分析では、魅力度が下位80%の男は下位22%の女を奪い合い、上位78%の女は上位20%の男に集まっていた。
その結果、30歳以下のアメリカの男性がセックスレスを報告する割合は、2008年の8%から18年の28%へと3.5倍になったという。
徹底的に自由化された現代の恋愛市場では、少数の成功した男が多くの女に望まれる一方で、多くの男が性愛から排除されてしまうのだ。

 

大学生のパートナー選びを調べると、国を問わず、男女ともに「外見」が圧倒的に重要で、「性格」や「学業成績」などそれ以外の要素はほとんど影響がない。
だが社会人になったあと、モテる要素がなにかはデータがはっきりと示している。
それをひと言でいうなら、「男はカネ」「女は若さ」だ。

 

理想の性愛を実現するには、富を手にしなければならない。
こうしてハックの標的は、「女の脳」から「金融市場」へと変わっていった。

 

金融市場をハックするというのは、経済学やファイナンス理論とは関係なく、株価の変動(値動き)から無リスクで利益を積み上げていける手法を数学的に見つけ出すことなのだ。

 

市場は人間の欲望の反映なのだから、そこにはつねに歪みがある。
それこそが、「合理的な投資家」にとって収益の源泉なのだ。

 

膨大なデータから市場の歪みを発見し、エッジがある(統計的に勝率が上回る)状況で正しく賭け金を積まないかぎり、投資家は手数料コストの分だけ損をしてしまう。
短期トレードでこれを繰り返せば、損失が累積して手持ち資金をすべて失ってしまう。
一般の投資家がこの罠を避ける方法は、「手数料コストをできるかぎり払わない」しかない。
これが、インデックスファンドと長期投資の組み合わせが有利な理由だ。

 

あらゆる生き物は、進化の過程で、心地よいもの(食料や性的対象)に引き寄せられ、不快なもの(捕食者や病原菌)から遠ざかるように「設計」されている。
過食症や性犯罪、さまざまな依存症など、現代社会で問題になっている多くのことは脳の「快感回路」で説明できる。

 

わたしたちはもともと、自分の評判(他者からどう見られているか)にきわめて敏感なように「設計」されている。
フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどは、評判をリアルタイムで可視化するというイノベーションによって脳の報酬系にきわめて強い刺激を与えている。
この効果は、とりわけ思春期の若者たちに顕著に現われるだろう。

 

ギャンブルやゲームだけでなく、SNSや買い物、オンラインポルノに至るまで、脳の報酬系を刺激する行動依存には<ゾーン>がともない、それがセラピーや向精神薬(精神安定剤)として作用し、(依存症のせいで引き起こされた)つらい人生をつかの間、忘れさせてくれる。
いったんこの罠に落ちたら、抜け出すことはきわめて困難か、まったく不可能だ。
これは究極のマーケティング(収益最大化装置)なので、消費者が大人であるか子どもであるかは関係ない。
いまやすべてのビジネスが、あなたの脳の報酬系をハックしようとしのぎを削っているのだ。

 

リアリーもマズローもエスリンのセラピストたちも、まったく同じ理念を共有していた。
・ひとは無限の可能性をもっている。
・人間性は、薬物(リアリー)や技法(マズロー)によって変革できる。
・自己実現した主体によって、世界は理想にむけて”進化”する。

 

自分の能力を拡張して「ニュータイプ」に進化したいというバイオハッカーの夢は、すでに着々と実現しているのだ。

 

いまの自分を超えて「ほんとうの自分」になりたいという「見果てぬ夢」を、わたしたちはあきらめることはできないだろう。
それはいままさに、(一部のひとには)手の届くところまできているのだから。

 

自由とは、会社(給料)や家庭(夫)、国家(福祉)などに依存せずに自分の人生を選択できることだ。
”No Money,No Freedom(お金がなければ自由もない)”というFI(経済的独立)の徹底したリアリズムは大きな影響力をもつようになり、いまや世界中の多くの若者たちが倹約と資産運用によって「自由な人生」を手に入れようとしている。

 

ミニマリストやFIREの運動はフリーエージェント化したBOBOS(クリエイティブ・クラス)に行きつくことがわかる。
いわば「FI(経済的に独立した)ミニマリズム」で、これが21世紀の人生設計の主流になっていくのではないだろうか。

 

いずれにせよ確かなのは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、現実世界とヴァーチャル世界の融合、すなわち「富から評判へ」という巨大なパラダイム転換がさらに加速したことだ。
この「革命」はまだ始まったばかりで、それがわたしたちをどこに連れていくのか、誰も知らない。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1792-1】手数料コストが低いインデックスファンドを調べて、可能な額で長期投資を開始する

【1792-2】「依存しない(依存していないか?)」を常に確認することを怠らない

【1792-3】「FI(経済的に独立した)ミニマリズム」をキーワードに人生設計をしてみる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】裏道を行け
【著者名】橘玲著者情報
出版社講談社
【出版日】2021/12/15
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード社会教養考える
【頁 数】272ページ
【目 次】
PART1 恋愛をHACKせよ
PART2 金融市場をHACKせよ
PART3 脳をHACKせよ
PART4 自分をHACKせよ
PART5 世界をHACKせよ

 

この本が、あなたを変える!

裏道を行け
橘玲 講談社 2021-12-15
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橘玲さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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