【書評:1600冊目】トヨトミの逆襲(梶山三郎)

【巨象は時代に取り残されるのか…】
覆面作家・梶山三郎氏が、『トヨトミの逆襲』と題して、”CASE”を震源とする大変革期で苦境に苛まれるトヨトミ自動車が、難局をどう乗り越えようとするかを描く企業小説。

■書籍の紹介文

これからの自動車業界。
どのような企業が生き残るとおもいますか?

 

本書は、「大変革期を迎えた自動車業界で、日本を代表する巨大自動車企業は生き残れるのか?」の疑問に、フィクションでは片づけられない内幕のリアリティを持った企業小説で迫った一冊。

 

いま、自動車業界は”CASE”をキーワードに大変革期を迎えています。
C=Connected:コネクテッド(IoT)
A=Autonomous:自動運転
S=Shared:ライドシェア
E=Electric:電気自動車

 

そして、この変革期の主役は、既存の自動車企業ではなくGAFAに代表される巨大IT企業になる。
結果、既存の自動車業界の生態系で生きる企業は存亡の危機を迎える。

 

これが、昨今の自動車業界ニュースの大きな流れです。
その中で、風下に立たされ苦境に苛まれる巨大自動車企業はどう乗り越えようとしているのか。

 

◎創業家一族の社長の葛藤
◎社内の権力闘争
◎下請け企業の反目
◎異業種との主導権争い

 

表のニュースでは決して知ることのない、内部で激しく揺れ動く感情をそれぞれの立場でスリリングに描いていきます。
フィクションでは片づけられない内幕のリアリティさを合わさり、読者をグイグイと惹きつけるおもしろさに溢れる内容です。

 

日本を代表する巨大自動車企業(つまり、トヨタ自動車)。
この巨象は、このまま時代に取り残されてしまうのか、それとも、再び世界を驚かせる衝撃を与える存在になるのか。

 

「99%実話」と噂されるほどの衝撃的な中身。
楽しみながらも結末をしっかり見て、自分なりの考えをまとめてみてください。

 

下手な経済番組を見るよりも、多くの学びと気づきを得られます。
社会人として読んでおくべき一冊だと感じます。

 

◆作中の登場人物名や組織名もおもしろい!

トヨトミの逆襲
梶山三郎 小学館 2019-11-27
売上ランキング(公開時):287
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■【要約】15個の抜粋ポイント

年間一〇〇〇億円を超えるトヨトミの莫大な広告費は、砂漠で干上がった旅人に差し出された一杯の水に等しい。
新聞社も出版社もテレビ局も、一流どころはすべてひれ伏して群がり、その恩恵を受けている。
うかつな記事を書いてへそを曲げられれば、経営を直撃する一大事なのだ。

 

最後にものを言うのは血であり、豊臣家の家系。
それがトヨトミ自動車という会社だった。
莫大な発行済み株式のわずか二パーセントしか保有していないにもかかわらず、トヨトミ・グループに豊臣家一族は君臨しつづける。
世界一巨大な同族企業。
いまさら変えようといっても、無理な相談だ。

 

自動車業界には今、CASE、つまり
C=Connected:コネクテッド
A=Autonomous:自動運転
S=Shared:ライドシェア
E=Electric:電気自動車
と呼ばれる四つの技術の大波が押し寄せている。
その震源地はシリコンバレー。

 

トヨトミは何だかんだといって情に厚い会社である。
苛烈なコストカットを下請けに強いるのは有名な話だが、業績が悪化してもサプライヤーを切ることはしないし、サプライヤーが必死の思いで部品一個二〇円のコストカットに成功したらあえて一〇円高く買い上げる”度量”も見せる。

 

事業を世界で展開するグローバル企業の場合、経営陣のスピーチには専属のスピーチライターが付くことも多い。
その発言によって株価が上下し、業務提携その他に多大な影響を及ぼすのだから、当然といえば当然である。

 

生き残るためにはカネを貯め込むのではなく、むしろ将来に備えて使わなければならない。

 

アメリカでのビジネスがこのままで済むとは思えない。
もとより自動車産業というものは、莫大な額の運転資金を注ぎ込み、一円の為替変動で数百億からの利益が吹っ飛ぶ商売である。
ひとつの決断ミスが引き起こす窮地の重大さに、身震いを禁じえない。

 

サプライヤーからの不満の声についてメディアに問われれば、「そんなこと、どこの誰が言ったんですか?」と問い返した。
実名を出して不満を表明できる人間などいないことを見越しての発言だ。

 

資金面だけではなく、グループの生産性でも、トヨトミはその規模ゆえの問題を抱えていた。
現に、ガソリンエンジン車の変速機を製造するあるサプライヤーが、新製品をトヨトミに売り込んだところ断られたため、別の自動車メーカーに持ち込んだ。
その変速機が評判となったためにトヨトミ側担当者がサプライヤーに苦情を言ったところ、「昔売りに行ったけどいらないって言ったじゃないですか」と返されてすごすご引き下がるという”珍事件”も起きている。

 

業界の競争はまだどこも決め手に欠きます。
たしかにトヨトミは遅れましたが、ギブアップするには早すぎます。
それこそ自動車王国アメリカに挑んで追いつき、追い越したトヨトミの精神に反する。

 

トヨトミだけでは世界の競合に太刀打ちできない時代がやってきていることは、肌で感じている。
世界屈指の経営体力を誇るトヨトミですら、開発にかけられるカネはシリコンバレーのIT企業の半分程度である。
組織の効率化。
シナジーの低い提携の解消。
少しでも開発費に資金が回るよう、できることはやっている。
しかし、まだ足りない。
仲間がほしい。
カネと技術があり、志をともにしてくれる仲間が。
こちらから秋波を送っていると思われてもかまわない。
大企業のプライドに固執していては、トヨトミは数年のうちに叩き潰される。

 

「トヨトミは米中貿易戦争の間で板ばさみになるのを避けるために、双方にパイプを持つ宋に頼った。宋にとっては欲しかった自動車の開発ノウハウが向こうから転がり込んできたわけだから、渡りに船です。トヨトミにとっては輸入自動車への追加関税というカードを持っているアメリカの機嫌を損ねずに中国市場に出るために、双方に人脈を持つ宋は欠かせなかった」

 

目に見える結果が欲しかった。
EVでなくてもいい。
自動運転でもカーシェアでもコネクテッドでもかまわない。
先端技術分野で実績がないと「トヨトミは遅れた会社」というイメージが定着してしまう。
ブランドの失墜は売り上げが減少するよりも性質(たち)が悪い。
売り上げは一年で戻すことができるが、一度地に落ちたブランドを元に戻すのには十年かかる。
それだけは絶対に避けねばならない。

 

どんな価値を提示するにしても、それには企業の枠を超えた団結が必要だと私は思うのです。

 

今や安全保障と産業は一体です。
国家の意向で経済が動く時代と言ってもいい。
こんなときの企業に必要なのは社長としての実務ではない。
いかに国家中枢と切り結び、トヨトミに有利なビジネスのルール作りをするかだ。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1600-1】CASEに関するニュースを収集する

【1600-2】異なる業界の人との人脈を築く

【1600-3】自分が守るべきものは何かを書き出す

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】トヨトミの逆襲
【著者名】梶山三郎
出版社小学館
【出版日】2019/11/27
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワード小説リーダー組織改革
【頁 数】285ページ
【目 次】
序章 朝回り
第1章 対立
第2章 不信
第3章 生きるか死ぬか
第4章 訪問者
第5章 大老の危機感
第6章 反乱
第7章 屈辱
第8章 元社長、かく語りき
第9章 失踪
第10章 暴挙か英断か
終章 夜討ち

 

この本が、あなたを変える!

トヨトミの逆襲
梶山三郎 小学館 2019-11-27
売上ランキング(公開時):287
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梶山三郎さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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