【「なんとなく」の罠にハマるな!】
戦史・紛争史研究家/山崎雅弘氏が、『この国の同調圧力』と題して、なぜ日本社会にこれほど同調圧力が蔓延るのかを考察しながら、同調圧力から自由になるヒントを伝授する一冊。
■書籍の紹介文
なんとなく、みんなの意見に合わせた。
そんな経験をしたことはありませんか?
本書は、同調圧力の構造を読み解きつつ、なぜ日本社会では同調圧力が強いのかを考察しながら、見えざる力=同調圧力から自由になるヒントを伝授する一冊。
『赤信号、みんなで渡れば怖くない』
読み進めるうちに、子どものときに遊ぶ半分で口にしていたこの言葉を思い出しました。
まさに、同調圧力というものをよく表している表現です。
と同時に、こうやって自分も無意識のうちに、日本社会における同調圧力を身につけさせられていたのかと怖くなりました。
自由と秩序維持。
常に、社会はこの間でバランスをとろうと蠢き続けています。
そして、後者における強力な武器こそ、同調圧力です。
「皆と同じ選択するのが当たり前」「ひとり違う選択とか空気読めない奴」といった”プレッシャー”によって、意図するかどうかに関係なく、統一的な行動に均されるわけです。
もちろん、同調圧力に乗っかってしまうのが楽な場合、優位な場合も多々あります。
問題は、同調圧力の存在をきちんと認識し、主体的に乗るか乗らないのかの判断を下せるかどうかです。
同調圧力の恐ろしいところは、その「沼」にハマるほど、同調圧力の存在にさえ気づかなくなってしまうところです。
「なんでそんな異常な状態に?」と首を傾げたくなる企業の組織的不祥事などが、まさにいい例です。
同調圧力に侵されると、異常なことを異常だと気づかなくなる。
仮に気づいても、保身のために声を上げられなくなってしまうのです。
そうした状態が、社会全体に蔓延するとどうなるのか。
著者の専門でもある、そう、戦争や紛争といった破滅的な悲劇へとつながるリスクを飛躍的に高めてしまうのです。
そうならないためには、一人ひとりの心構えが重要になります。
先ほども述べたように、『同調圧力の存在をきちんと認識し、主体的に乗るか乗らないのかの判断を下せる』状態に自分をしておくということです。
そのためにも、同調圧力のメカニズムを理解しておくことが先決です。
そのうえで、自分はどうありたいかを整理し、乗る乗らないを主体的に判断する経験を積んでいくのです。
信じられないような事件・不祥事が次々に起こる昨今。
読んでおくべきだと、強く感じる一冊です。
◆読み応えある一冊。
この国の同調圧力
山崎雅弘 SBクリエイティブ 2023-7-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント
現代の日本人が同調圧力の問題を考える時、まず頭に思い浮かべるのは、次の言葉ではないでしょうか。
ーーーおまえ、空気読めよ。ーーー
一見もっともらしいステレオタイプの同調圧力で、人々の思考から自由を取り上げる事例は、今でも社会のあちこちで目にすることができます。
日本では、女性の権利保障や社会進出の機会が今なお諸外国に比べて少ないですが、その背景には、男尊女卑の時代に作られた「女らしさ」というステレオタイプと、それに従うことを暗黙のうちに女性に強いる、日本社会の同調圧力があると言えます。
日本でとりわけ同調圧力が強いように感じられるとしたら、それは社会の中で「個人」を尊重しようという風潮と、一人一人の国民や市民の内面における「自分は個人だという意識」が、諸外国に比べて少ないからではないか。
だから、同調圧力への「抵抗力」も諸外国の人より弱くて、それに負けてしまう人が多いのではないか。
私はこんな風に考えます。
思考が「個人」として自立していれば、それを圧迫する同調圧力の存在を自覚できますが、思考を国策と一体化してしまえば、周囲の環境と自分の間で何の摩擦も圧迫も生じなくなるので、そこに同調圧力が存在することすら知覚できなくなります。
他のみんなもそうしているから、自分もそうする。
そんなの当たり前だろう。
それの何が悪いのか?
そう問い返されて、あなたは反論できますか?
本人には「悪気」がなくても、なんとなく同調圧力に従う人は、結果として、その行動によって「積極的に同調圧力をかける人間」の力を強めています。
「積極的に同調圧力をかける人間」の影響力は、「その同調圧力に従う人間の数」によって大きく変動するからです。
みんなで同じ行動をとることが悪いわけではありませんが、多数派がそれをしているからという理由で、それを望まない少数派にも同調を強要するような「空気」が存在する場面では、安易な同調は「同調しない人」への圧力になり得ます。
集団や共同体の秩序や調和を守るため、という大義名分で行われる「同調しない者への攻撃」は、それを行う人間にとっては「正しい行い」ですが、あくまで「主観的な正義」であり、全体の状況を俯瞰的あるいは客観的に見る視点を欠いています。
実際は上の者による強制であっても、拒否できない「空気」をあらかじめ作って逃げ道をふさいだ上で、相手に「志願する意思」を問い、形式的に志願させて「強制ではない」形にする。
これは、同調圧力の最も悪質な使われ方の一つだと言えます。
おかしいことを目にしても「おかしい」と言わないという集団内の「空気」に自分も染まって迎合することも、同調圧力への服従に他なりません。
今日、明日という短いスパンで考えるなら、同調圧力に従うことが「保身」になることが多いのは確かです。
けれども、国などの集団の指導者が、その地位に相応しい能力を持たない状況下においては、指導者の下す決定に無条件で協力するという同調圧力に集団の全員が従うことは、保身どころか、自分や家族、そして国全体に破滅的な事態と不幸をもたらすこともあるのです。
同調圧力の問題を考える時、避けて通れないのは「自由と秩序維持のバランス」という別の問題について、自分がどう思っているかを改めて確認することです。
同調圧力の深い「沼」にどっぷりはまり込んで心の身動きがとれなくなる前に、自分は本当は何が好きで何が嫌いなのか、本当はどんな環境を心地いいと思うかを考えて選ぶ「精神の自由」を、心の中にしっかりと確保しておくことをお勧めします。
仕方なく従うというよりは「今回は従ってやる」という風に、自分の主体的な判断でそうするのだと考えれば、少しずつ意識の中で「別の選択肢もある」と思えるようになります。
それを続けることで、いずれは「今回は従わない」という選択もできるようになるはずです。
大事なのは、どこかに正解があるという依存的な考え方に捉われず、自分で考えて、自分に合ったバランスを見つけることだと思います。
本当の個人主義とは、自分が個人として集団内で尊重されるのと同時に、自分もまた、自分以外のすべての人を個人として尊重する考え方です。
■【実践】3個の行動ポイント
【2038-1】何事も、主体的に選択することを常に意識する
【2038-2】「なんとなく」の気持ちで同調しない
【2038-3】自分の判断で相手が追い詰められないか、判断する間を持つ
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】この国の同調圧力
【著者名】山崎雅弘 ・ 著者情報
【出版社】SBクリエイティブ
【出版日】2023/7/6
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】考える力を身につけたいときに
【キーワード】考える、教養、社会
【頁 数】264ページ
【目 次】
第一章 同調圧力
第二章 誰が何のために、同調圧力を生み出しているのか
第三章 安心感を得るために自分を「集団や組織」に埋没させる罠
第四章 間違った道に進んでも集団が方向転換できない恐ろしさ
第五章 集団や共同体の「みんな」と衝突せずに、心身の自由を取り戻すために
▼さっそくこの本を読む
この国の同調圧力
山崎雅弘 SBクリエイティブ 2023-7-6
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山崎雅弘さん、素敵な一冊をありがとうございました!
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