【書評:2037冊目】伝え方でいつも得するリーダーなぜか損するリーダー(吉田幸弘)

【部下の言動はリーダーの伝え方をうつす鏡】
コミュニケーションデザイナー・吉田幸弘氏が、『伝え方でいつも得するリーダーなぜか損するリーダー』と題して、職場に好循環を生む、リーダーの得する伝え方を指南する一冊。

■書籍の紹介文

「職場の雰囲気が悪い」「部下との関係が悪い」。
リーダーであるあなたは、その原因をどこに求めますか?

 

本書は、【得するリーダー】と【損するリーダー】の伝え方を対比形式で解説しながら、部下が変わり、職場に好循環を生むコミュニケーション法を指南する一冊。

 

リーダーの伝え方ひとつで、部下は化ける可能性を秘めています。
良い面にも悪い面にも、どちらの方向にもです。

 

もし、部下との関係性が悪いと感じているのなら。
それは、リーダーであるあなたのこれまでの伝え方によって、部下を悪いほうへと化けさせている可能性が高いと捉えるべきです。

 

「そんなこと言ったって!」と反論したい気持ちはグッと堪えましょう。
部下を導き、チームをまとめ、結果を出すことが、リーダーであるあなたの責務だからです。

 

本書に出てくる、【損する伝え方】と【得する伝え方】の対比を参考に、日頃の自分の言動を振り返ってみてください。
ちなみに、対比とは次のようなものが目的別に収録されています。

 

【損】「わかる、わかる」と共感する
【得】静かに「あいづち」を打つ

 

【損】「なぜ」(WHY)と聞く
【得】「どこが原因」(WHERE)と聞く

 

【損】「ありがとう」と感謝を述べる
【得】「お客さん喜んでたよ!」と伝える

 

3つほど例として記載させていただきましたが、いかがでしょうか。
表現だけでも、日頃のリーダーシップで思い当たる光景が浮かんでくるとおもいます。

 

自身の言動と著者が【得する伝え方】とする表現が一致していれば、自信を持って継続する。
不一致の表現があれば、解説を読みながら、まずは実地でやってみてください。

 

人と人の関係ですから、一朝一夕ですぐに現状が好転することはありません。
ですが、より良いリーダーになりたいという気持ちから、本記事および本書に興味をお持ちになっているはずです。

 

だからこそ、いい表現ではありませんが、騙されたと思って継続的に取り組んでみることが大事だと感じます。
一定期間継続することで、自分の経験値も増えますし、部下の変化を意識して観察することができるからです。

 

部下を導き、チームをまとめ、結果を出すことが、リーダーであるあなたの責務です。
リーダー失格の烙印を押される前に、変わろうとするリーダーの姿を見せていきましょう!

 

◆要点を汲み取りやすい一冊。

伝え方でいつも得するリーダーなぜか損するリーダー
吉田幸弘 PHP研究所 2023-7-20
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■【要約】15個の抜粋ポイント

より深く理解するには、「つらいな。そう思ったきっかけはなんだったの?」と掘り下げることです。
部下自身に、真因に気づかせることができます。
実は、部下の悩みに寄り添い、理解することに努めれば、その時点で問題の9割は解決しています。

 

どんなに丁寧に伝えても食い違いは起こるものです。
それでも、「リーダーの伝え方に問題はなかったか」と自問してください。
リーダーなら、どんなときも「どうすれば相手が理解しやすいのか」と歩み寄る姿勢を忘れてはいけません。

 

まずは気にかけていることを伝える。
そして、踏み込みすぎない。
今話したくなければ、気が向いたらいつでも話してくださいと伝えましょう。

 

問題解決をするには、まずは問題の原因を広げて考えさせることが大切です。
ミスの要因を考えられるだけ部下に挙げてもらい、その選択肢から狭めていく、という順番を取る必要があります。
そこで、「どこ」(WHERE)を使います。
「どこに原因があるのか、一緒に洗い出してみようか」と声をかけて上げるのです。

 

きつく言い過ぎたことについては謝罪しても、叱ったことを謝罪してはいけません。
叱ったことが無意味になってしまうからです。

 

部下に「いつどの作業から始める?始めるにあたっての障害は何かある?」と聞いてみることです。
新しく挑戦する複雑な仕事も、細かくタスクを分割すれば、ある程度タスクの難易度や作業時間の状況が予想できるものです。
部下にそれを確認させ、予め障害となり得る可能性を取り除いてあげることもできるはずです。

 

そもそも、人は理由・目的のない仕事を嫌がります。
少なくとも、WHAT(仕事の内容)、WHY(なぜその仕事をする必要があるのか・背景)、HOW(進め方・手段)、の3つの情報は必要です。

 

欠点とは、言い換えれば「ブラッシュアップする余地」のことです。
欠点を指摘するより、「磨けばもっとよくなる」と伝えたほうが、モチベーションは高まり、部下の自己効力感は育つのではないでしょうか。

 

部下に正解を求めるのではなく、一緒に正解を目指しましょう。

 

個人だけでなく、「組織全体の利益になる行動」という視点を組み込んでいるのです。
いわば、「大義名分」です。
(略)
できるリーダーは、大義名分を巧みに利用するものです。

 

リーダーにとって部下育成は、業績アップと同じくらい重要で、「部下が育たない」と嘆くのは、「リーダー失格」を自ら宣言するのと同じようなものです。

 

上司にせよ、役員にせよ、日頃から「どんな価値観を大切にしているか?」を意識してください。
このポイントを押さえておけば、時間のロスをすることなく、企画を通過させることができます。

 

ちょっと合わないと感じる人と良好な人間関係を築くために、「相手がいないところで、ほめる」ことを試してみてください。
完全にはわかり合えないまでも、わかり合えるような距離を縮める努力をするのも、リーダーの仕事です。

 

ルールは、メンバーを守る重要なものです。
メンバーの防波堤であるリーダーは、そう認識しておきましょう。

 

リーダーには、部署間の調整力も求められます。
人間関係を、食わず嫌いで距離をつくっていてはなりません。
もし何かあったときに、まったく話したことのない人にお願いすると、ほとんど断られてしまうでしょう。
一方で、人間関係をわずかでも構築しておけば、いざ何かをお願いするときに応じてくれる確率も高まるものです。
同じ社内の人間ですから、時間をかけてでも距離を縮めていきましょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2037-1】伝える前に、「どうすれば相手が理解しやすいのか」を常に自問する

【2037-2】人を責めず、事象に焦点を当てて問題解決にあたる

【2037-3】一緒に働く人がどんな価値観で働いているかを、日頃から観察する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】伝え方でいつも得するリーダーなぜか損するリーダー
【著者名】吉田幸弘著者情報
出版社PHP研究所
【出版日】2023/7/20
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワード話し方人間関係指導力
【頁 数】200ページ
【目 次】
第1章 なんでも言い合える「信頼関係」を築く
第2章 部下に「嫌われない」マネジメント
第3章 自ら考えて動く「部下の育て方」
第4章 上司を味方につける「会話術」
第5章 横のつながりをつくる「巻き込む力」

 

▼さっそくこの本を読む

伝え方でいつも得するリーダーなぜか損するリーダー
吉田幸弘 PHP研究所 2023-7-20
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吉田幸弘さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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