【書評:2002冊目】超訳「五輪書」 強運に選ばれる人になる(大浦敬子)

【鍛錬を重ねて、心の”空(くう)”の境地へ】
医師・経営者/大浦敬子氏が、『超訳「五輪書」 強運に選ばれる人になる』と題して、宮本武蔵の『五輪書』の教えを紐解きながら、経営者が勝つための極意を指南する一冊。

■書籍の紹介文

『五輪書』。
あなたは読んだことがありますか?

 

本書は、剣豪・宮本武蔵の書物『五輪書』の教えを紐解きながら、人生をかけて”鍛錬”し続けたい、強運の極意から勝ち続ける極意までを指南する一冊。

 

宮本武蔵が開祖である、二刀を用いる剣術「二天一流」。
その後を継ぐ野田派二天一流第19代師範 大浦辰男氏を父に持つのが、著者です。

 

そんな稀有なバックボーンを持つ著者が、根元ともいえる『五輪書』を超訳する書籍。
これだけでも、興味をそそられます。

 

宮本武蔵といえば、佐々木小次郎との巌流島の決闘が有名ですね。
その武蔵が、鍛錬の人生の末にたどり着いた境地を、死の直前、書に認めたのが『五輪書』です。

 

『五輪書』をひと言でいえば、「勝ち方の普遍的原則」が書かれています。
「勝ち方」であり、「何があっても負けない」ための原理・原則がまとめられています。

 

”五輪”とは、「五大(ごだい)」という仏教の思想から来ています。
五大とは、地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)の5つの要素です。

 

ゆえに、『五輪書』もひとつひとつの要素ごとに計5巻で書き上げられています。
兵法、鍛錬、戦術・心理戦、他流の研究、精神的境地と伝授していきます。

 

剣豪の兵法とは、すなわち、勝つことのみです。
なぜなら、負けることイコール死なわけですから、絶対に勝たなければいけません。

 

勝ち続けるためには何が必要か、ひたすら考え続けた武蔵の人生。
それは自然と”道”となり、やがて、研ぎ澄まされた”境地”に至ります。

 

そこに記された言葉は、現代のリーダー達に通ずるものばかりです。
リーダーとして個人として、「勝ち続ける」ための極意は習得したいところです。

 

著者自身も経営者の立場にあるため、要諦を押さえた内容はとても実用的。
『五輪書』の入り口に最適な一冊です。

 

◆鍛錬、なお鍛錬。

超訳「五輪書」 強運に選ばれる人になる
大浦敬子 海辺の出版社 2023-5-1
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■【要約】15個の抜粋ポイント

『五輪書』は、ひと言でいうと、宮本武蔵が「稽古」と「吟味(考えろ、改善しろ)」について語った書です。
29歳の佐々木小次郎との決闘を最後に、それから50歳まで鍛錬を重ね、ついに二天一流を極めた、と書いてあります。

 

宮本武蔵も「人を斬って勝つ」という事にこだわり続け、毎日毎日、自分を鍛え続けました。
『五輪書』の中に、もっとも有名な武蔵の言葉があります。
「千日(せんじつ)の稽古を鍛(たん)となし、万日(まんじつ)の稽古を錬(れん)となす」
これが「鍛錬」です。

 

『五輪書』は、仏教でいう「五大(ごだい)」の思想に基づいて書かれました。
(略)
五大とは、宇宙(あらゆる世界)を構成しているとする地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)の5つの要素のことを指します。

 

『五輪書』を読み解くにあたって、この「五大」の思想の本来の意味に、武蔵が兵法の道の何を投影していたのかということを感じながら読んでいけると、より深い理解を得られるように思います。

 

『五輪書』の第一巻である『地の巻』は、武蔵自身の来歴を記した序文と共に、「兵法の道」について書かれています。

 

●強運経営道「3つの原則」
一.すべての仕事は同じ原理で動いている
一.それを当てはめれば、事の性質・大きさは関係なく、すべてうまくいく
一.成功には徹底した努力、終わりなき追求、つまり「鍛錬」が必要

 

●強運経営道「生きかた九ヶ条」
1.ずるくなるな
2.鍛錬し続けろ
3.何にでも興味を持て
4.ハイスペックな人材とつきあえ
5.儲けすぎるな
6.美学を持て
7.目に見えぬ力を使え
8.細心の注意を払え
9.意味のないことはするな

 

『水の巻』は、道を極めるための鍛錬の具体的な方法について書かれています。
冒頭の一文は
「兵法二天一流の心、水を手本として、有利な方法を行うことを「水の巻」として、太刀筋をこの書に書きあらわす」
とあります。

 

強運経営道における「水の巻」を、私は「五つのととのえ」と読み替えました。
一.心をととのえる
二.姿勢をととのえる
三.目線をととのえる
四.動きをととのえる
五.環境をととのえる

 

380年前の武蔵の教えすら、水のように、時代に合わせて形を変えるというわけです。
でも、なぜそんなことができるかといえば、そこに「原理」「原則」の土台がしっかりあるからです。
どんなに形を変えようが、真髄が変わることはありません。
改めて「地」の上に「水」があるということを、感じてください。

 

『火の巻』は、武蔵がこれまで自己の鍛錬に励んできたことを、戦の現場でどう実践して勝っていくかについて書かれています。
戦を火にたとえ「火の巻」とした、と武蔵は言っています。

 

●強運経営道「三位一体活用必勝法」
一.場を使え
二.顧客の心を使え
三.自分の心を使え

 

『五輪書』第4巻にあたる「風の巻」は、武蔵が地の巻であらかじめ宣言していたとおり、他の流派との違いについて書かれています。

 

「空(くう)とは善であり、悪ではない。知識とは実存、利益も実存、方法論も実存である。だからこそ、心は「空(くう)」でありたい」
『五輪書』をこの言葉で結んだ武蔵の心に、清々しさが広がっているように、感じられます。

 

強運に選ばれる人になるとは、起こったすべての出来事を強運に変えてみせる人です。
すべてをよきことに変え、人生の続く限り、思いっきり実存を生きて。
そしていつの日か、武蔵のみた「空」、武蔵のいる「空」に、たどり着くことができますように。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2002-1】『生きかた九ヶ条』を毎日唱える

【2002-2】「木を見て、森を見ず」にならないように自戒する

【2002-3】勝つために何が必要かを考え続ける

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】超訳「五輪書」 強運に選ばれる人になる
【著者名】大浦敬子著者情報
出版社海辺の出版社
【出版日】2023/5/1
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー組織改革哲学
【頁 数】222ページ
【目 次】
第1章 宮本武蔵ってどんな人?
第2章 『五輪書』ってどんな本?
第3章 地の巻 『強運経営道』三つの原則
第4章 水の巻 五つの『ととのえ』で鍛錬する
第5章 火の巻 『強運経営道』三位一体活用必勝法
第6章 風の巻 『強運経営道』他社を研究し、自社を磨く
第7章 空の巻 『強運経営道』目に見えぬものを信じる

 

▼さっそくこの本を読む

超訳「五輪書」 強運に選ばれる人になる
大浦敬子 海辺の出版社 2023-5-1
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大浦敬子さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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