【書評:767冊目】「決め方」の経済学(坂井豊貴)

【多数決は万能か?】
慶應義塾大学教授・坂井豊貴氏が、『「決め方」の経済学』と題して、経済学の視点で多数決の致命的な欠陥を明らかにしながら、どんな「決め方」をすれば、民意を最大化できるのか考察する一冊。

■書籍の紹介文

何かを決定するときに自然に用いる多数決。
果たして、この決め方は有効なのでしょうか?

 

本書は、経済学からみると多数決という決め方には致命的な欠陥があると提起し、みんなの意見を最大限に反映させる決め方を考察する一冊。

 

総得票数がトップだったのはA党なのに、議席を一番獲得したのはB党。
選挙などでたびたび起こることです。

 

一番票を集めたものに決定する。
極めてシンプルな決定方法である多数決で、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

 

多くの人は、多数決が一番公平であるとおもっています。
しかし、経済学の視点から多数決をみると、致命的な欠陥があると著者は指摘します。

 

決選投票付き多数決・ボルダルール・コンドルセルール・是認投票など。
さまざまな決め方をケーススタディしながら、「決め方」への教養を深めることができます。

 

そして、どのように決めれば、人々の民意とのズレが一番少なくなるのか。
「決め方の本質」に迫っていきます。

 

とりあえず多数決で決める。
そんな選択をしなくなる一冊です。

 

◆もっともらしく、決めない。

「決め方」の経済学
坂井豊貴 ダイヤモンド社 2016-7-1
売上ランキング(公開時):6,189
Amazon Kindle 楽天

■【要約】15個の抜粋ポイント

「決め方」は決定的に重要である。
それしだいで結果はまるで変わる。

 

勝つためには広い層からの着実な加点が必要なのだ。
この意味でボルダルールは「フォー・オール」の民主主義と相性がよい。

 

クリントンは、プッシュにもペローにも、ペアごとの多数決で勝つ。
そしてこのときのクリントンのように、ほかのあらゆる選択肢とのペアごとの多数決で勝つ選択肢をペア勝者という。

 

ボルダルールは、有権者の意思をよりよく反映する手続きとして優れているが、そのことは、起こる結果が善悪の観点から優れていることを意味しない。
そこは有権者の意思しだいである。

 

私たちが目指すべきなのは、というか目指せるのは、実在としての民意を探し当てることではなく、まともな決め方を用いることだ。
ときにその決め方が選んだ選択肢は、誰もが民意と呼びたくなるような強いメッセージを発する、かもしれない。

 

ボルダルールはほかのスコアリングルールと比較すると、有権者の意思をよりよく反映する。

 

人々の意思をどう集約するか。
決め方の研究者バリンスキとララキが提案するのは、各選択肢について、有権者の評価の「真ん中」を、集団としての評価とする方式だ。
これをマジョリティー・ジャッジメントという。

 

判断の独立性条件が満たされることは、陪審定理を成立させるために、死活的に重要だ。
満たされない例としてわかりやすいのは、陪審員たちのなかにボスがいて、皆がそのボスの判断に従うとき。
これは陪審員が実質的に1人しかいないのと同じだ。

 

陪審定理で多数決を正当化できるための条件をまとめておこう。
(1)多数決で決める対象に、皆に共通の目標がある。
(2)有権者の判断が正しい確率Pは、0.5より高い。
(3)有権者は各自で判断する。ボスに従ったり、空気に流されたり、「勝ち馬」に乗ろうとしない。

 

多数決を使うためには、そもそも多数決で決めてよいことを限っておくのが賢明だ。

 

9人の意見のなかの真ん中の選択肢を、中位選択肢と呼ぼう。
(略)
中位選択肢には2つの卓越した性質がある。
ペア勝者であること、極端なことを言っても結果を変えられないことだ。

 

一直線に並んだ選択肢に対しては、中位選択肢を選ぶ決め方、中位ルールを用いるのがよい。
これだと誰も極端なことを言って結果を都合よく変えられないし、さらにはペア勝者を選べる。
ペア勝者はその性質上、実に「多数意見」な選択肢である。
さらには「真ん中」なので、皆で妥協し折り合いを付けた点と理解しやすい。
納得感を与えやすいのではないか。

 

自律した個人による決定であれどもそれが本人の不利益になるなら介入をよしとする、という考えをパターナリズム(温情主義)という。

 

両者の内心が互いの自由を侵害するとき、その内心を実際のアクションとすることよりも、自由の領域を平等に保護することを優先させる。

 

いつか日本の多数決選挙はまともな方式へと変わるのだろうか?

 

■【実践】3個の行動ポイント

【767-1】多数決は万能ではないと心得る

【767-2】相手が「決め方」を提示したらその方法を分析する

【767-3】自分の欲しい結果を望める「決め方」を効果的に使えないか考える

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】「決め方」の経済学
【著者名】坂井豊貴
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2016/7/1
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード社会教養問題解決
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1部 決め方を変えると結果が変わる
第2部 三択以上の投票で優れている決め方は何か
第3部 二択投票で多数決を正しく使いこなす
第4部 多数の意見を尊重すべきでないとき

 

この本が、あなたを変える!

「決め方」の経済学
坂井豊貴 ダイヤモンド社 2016-7-1
売上ランキング(公開時):6,189
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坂井豊貴さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

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【書評:767冊目】「決め方」の経済学(坂井豊貴)
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