【書評:1709冊目】無理ゲー社会(橘玲)

【「自分らしく」が「生きづらさ」を育てる】
作家・橘玲氏が、『無理ゲー社会』と題して、社会が豊かになるほど人生の難易度はあがっていくと説きながら、理不尽(無理ゲー)な社会の構造を解き明かしていく一冊。

■書籍の紹介文

自分らしく生きる。
あなたはどれだけ実現できていますか?

 

本書は、「自分らしく生きる社会」の追求がもたらす残酷な姿を解き明かしながら、その世界をどう生きていくか考えるキッカケを提示する一冊。

 

自分がやりたいことはある程度やれているとおもう。
ただ、なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えながら日々生活している。

 

このような感覚をもっている人は多いでしょう。
そして、このモヤモヤ感は若い人ほど強いのではないでしょうか。

 

本書を読むと、モヤモヤ感という軽い言葉では済まされない。
そんな現在社会の”残酷さ””絶望さ”が明らかになっていきます。

 

『無理ゲー』とは、「社会的・経済的に成功し、評判と性愛を獲得する」という困難なゲーム。
しかも、あなたはたったひとりで攻略することが求められています。

 

では、なぜこのような『無理ゲー』を攻略しないといけないのか。
それは、わたし達が追い求める社会の”ルール”だからだと著者は云います。

 

昨日よりも今日、今日よりも明日。
より良い生活を求める”健全な欲求”の先に生まれるのが、残酷で絶望感さえ覚える世界。

 

この現実を突きつけられて、暗澹たる気分で本を閉じることになります。
ですが、それでもわたし達は生きていかなければなりません。

 

逃げずに考えて、見つけるしかないのです。
自分が納得できる、自分にとっての最適解を。

 

ひとりの力で、社会を急に変えることはできません。
しかし、社会をどう捉えるかは自分で変えることができます。

 

◆残酷な世界に折り合いを。

無理ゲー社会
橘玲 小学館 2021-7-29
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■【要約】15個の抜粋ポイント

リベラル化の潮流で「自分らしく生きられる」世界が実現すると、必然的に、次の3つの変化が起きる。
これらは相互に作用しあい、その影響は増幅されていく。
①世界が複雑になる
②中間共同体が解体する
③自己責任が強調される

 

わたしたちは「自由な人生」を求め、いつのまにか「自分らしく生きる」という呪いに囚われてしまったのだ。

 

ヒトは徹底的に社会的な動物で、自分を集団と一体化させると同時に、集団のなかで自分を目立たせるというきわめて複雑なゲームをしている。
ここから生まれるのが、「社会的なアイデンティティ」と「個人的なアイデンティティ」だ。

 

多様性が受け入れられる社会では、マイノリティの社会的アイデンティティと個人的アイデンティティが大きく断絶することはなくなっていく(はずだ)。
これは素晴らしいことだが、逆にいうと、多様性が認められるようになればなるほど、探すべき「自分」は消失していく。
これが、「自分さがし」が陳腐化していった利用だろう。

 

メリトクラシーはイギリスの社会学者マイケル・ヤングの造語で、1958年の著作”Rise of the Meritocracy(メリトクラシーの興隆)”ではじめて使われた。
じつはヤングはこの本で、メリットを(I+E=M)と明快に定義している。
Iは知能(Intelligence)、Eは努力(Effort)で、メリット(M)は「知能に努力を加えたもの」なのだ。

 

メリットが社会環境で決まるなら、国家は教育に多大な投資をして、国民すべてが大きなメリットをもてるようにすればいい。
だがこの教育立国論は「メリットの専制」を引き起こしただけで、現在社会の混乱は理想がすでに潰えたことを示している。

 

知能による選別を否定すると、その空白を、性格(頑張っているか、いないか)による選別が埋めることになる。
テストの点数で序列化されるのと、性格(人間性)を否定されることの、どちらがより残酷だろうか。

 

現実が変えられないのなら、自分の認知を変えればいいのだ。

 

資本主義のレバレッジシステム(夢をかなえるタイムマシン)は、総体としては人類にとてつもない恩恵をもたらした。
それを”邪悪”なものとして否定するのは、控えめにいってもバカげている。

 

日本の若者たちのとてつもなく大きな不安は、ひと言でいうなら、「高齢者に押しつぶされてしまう」だ。
皮肉なことに、日本社会を覆う閉塞感は、日本人が人類史上、未曾有の長寿と健康(幸福)を実現した結果なのだ。

 

日本社会にとって高齢者批判は最大のタブーなので、現実を直視せずにこの理不尽な事態を説明するにはなにか別の「犯人」が必要だ。
このようにして「格差」や「貧困」あるいは「資本主義」への批判が声高に語られるのだ。

 

効果的な貧困対策は、生活保護から母子家庭を切り離し、シングルマザー向けの適切な生活・就労支援をすることだろう。
これで貧困に苦しむ母親や子どもたちが救われるだけでなく、生活保護受給者が納税者に変わって社会全体も利益を得られる。

 

リベラル化の本質は「自分らしく生きたい」なのだから、より効率的にその夢を実現する制度がメカニカル・デザインできれば(AIによる統治など)、ひとびとがデモクラシーを捨て去る日がきても不思議はない。

 

お金は分配できるが、評判を分配することはできない。

 

これからの10年でどこまで進むのかはわからないが、テクノロジーの加速をさらに「加速」させることで、いずれは全人類が「ひとつ」になる究極のユートピアが実現する。
ーーそこには悲しみも苦しみもなく、(たぶん)よろこびもないだろうが。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1709-1】自分で決断する経験を積む

【1709-2】自分に関わる社会制度を調べる

【1709-3】社会に関する不平・不満を書き出す

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】無理ゲー社会
【著者名】橘玲
出版社小学館
【出版日】2021/7/29
オススメ度★★★★☆
こんな時に生き方に迷ったときに
キーワード社会教養生き方
【頁 数】 288ページ
【目 次】
1 『君の名は。』と特攻
2 「自分さがし」という新たな世界宗教
3 メリトクラシーのディストピア
4 遺伝ガチャで人生が決まるのか?
5 絶望から陰謀が生まれるとき
6 「神」になった「非モテ」のテロリスト
7 「資本主義」は夢を実現するシステム
8 「よりよい世界」をつくる方法
エピローグ 「評判格差社会」という無理ゲー

 

この本が、あなたを変える!

無理ゲー社会
橘玲 小学館 2021-7-29
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橘玲さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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