【書評:1464冊目】未来の地図帳(河合雅司)

【47都道府県だったと、教科書で知る時代がくる?】
人口減少対策総合研究所理事長であるジャーナリスト・河合雅司氏が、『未来の地図帳』と題して、20年後の日本の姿を、地図帳の上にあきらかにしていく一冊。

■書籍の紹介文

20年後の生活風景。
どんな光景が広がっているとおもいますか?

 

本書は、20年後、未来の日本人が日本列島のどこに住んでいるかを予測しながら、これからの日本社会が乗り越えるべき問題をあきらかにする一冊。

 

2017年に当ブログで紹介した「未来の年表」につづくシリーズ最新刊。
今回も、かなりショッキングな”未来の日本”が浮かびあがっています。

 

『地図帳』のタイトルどおり、より身近に感じられる内容になっています。
地域ごと、すなわち、自分の住んでいる地域の”20年後”を知ることができるからです。

 

ちなみに、わたしは神奈川県の横浜市に住んでいます。
「大都市だし東京圏にも含まれているし、今後も安泰だろう」と大雑把におもっていました。

 

しかし、本書の中に浮かびあがった”未来の横浜”は・・・。
見事なまでに、暗澹たる気持ちにさせていただきました。。。

 

ただし、ただ不安を煽るために著者も書いたわけではありません。
現実となる可能性の高い”未来の日本”から目を背けず、よりよい社会に向けてやるべきことを考えるために書かれています。

 

くり返しますが、自分の生活圏の未来の姿がイメージできます。
つまり、自分事として”未来の日本”を考えることができるのです。

 

知って終わり、知って傍観者で終わらない。
このリアルな「地図帳」は、なにかしなければという衝動をかき立ててくれます。

 

◆未来の日本の地図帳がココに。

未来の地図帳
河合雅司 講談社 2019-6-19
売上ランキング(公開時):77
Amazon Kindle 楽天

■【要約】15個の抜粋ポイント

いま問われているのは、日本全体として人口が減少してしまうことへの対策であり、人口減少スピードが速い地域の人々の暮らしをどう機能させていくか、その具体的手法を示すことである。

 

地域差が拡大していく要因は2つある。
1つは地域内の出生数が減ることである。
もう1つは若者の大都市への流出だ。

 

人口減少日本の中において、東京圏を全く違う歩みを辿る「外国」と位置づけ、非東京圏の各エリアは人口が減っても成り立つ仕組みへ転換することで、共存する道を探っていくほうが現実的だろう。

 

外国人住民の多さが大阪市の人口拡大を下支えしている姿が浮かび上がる。

 

札幌市は道内の市町村から若者を中心に人口を引き寄せ、もともとの札幌市の住民が進学や就職を機会に東京圏などに流出する「ところてん式」になっている

 

●名古屋市の2つの懸念材料
(1)2027年に予定されているリニア中央新幹線の開業
(2)高齢社会に不向きな広すぎる道路

 

福岡市は、九州各地の政令指定都市や県庁所在地からも人口を吸い寄せ、まるで吸収合併を始めようとしているかのように膨張を続けているのである。

 

横浜市の場合、同じく大規模な政令指定都市である大阪、名古屋の両市を比べてみても、独自の様相を呈している。
人口こそ日本で最も多いが、政令指定都市でありながら東京圏に内包されており、市民の意識は東京都心部に向かいがちだ。
横浜市の中心市街地が、本当の意味での「都市としての中心」にはなっていない。
しかも県内に川崎市、相模原市という政令指定都市も存在するため、周辺エリアから一方的に人を集めるという形でもない。

 

中心市街地への人口集中や県内偏在の拡大も、今後の日本列島上で起こる大きな特徴といえよう。

 

2025年になると、団塊世代が多く住む東京23区でも高齢化が進む。
練馬と足立の両区では75歳以上の割合が15.4%となる。
65歳以上の割合では練馬区の25.5%をはじめ、足立区25.4%、葛飾区24.9%、杉並区と北区が24.2%となるなど、5区に1区は「住民の4人に1人が高齢者」という”オールド東京”の様相を呈するようになる。

 

日本全体で高齢化率が最高になるのは2065年の38.4%だが、2035年時点で福生市(40.8%)や青梅市(38.7%)などは同水準の値を示す。
これらのエリアでは、「2065年の日本全体の高齢社会の風景」を30年も早く見ることができるのである。

 

2035年時点でも2015年の人口水準を上回っている政令指定都市は川崎市、さいたま市、福岡市だけとなる。

 

2035年頃になると、地方選挙への立候補者が足りないといった市町村が相次ぐだろう。
(略)
審判を受けないまま全員の無投票当選が決まるのでは、行政のチェック機能が弱り、民主主義の崩壊にもつながる。

 

●令和時代に求められる5つの視点
①拠点という「王国」を作る
②基礎自治体の単位を都道府県とする
③働くことに対する価値観を見直す
④「在宅医療・介護」から転換する
⑤東京圏そのものを「特区」とする

 

この国が「ドット型国家」に生まれ変わったとき、私が繰り返し主張してきた「戦略的に縮む」という成長戦略は完成するだろう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1464-1】居住地域の人口動態を調べてみる

【1464-2】20年後、今の生活圏で苦労なく生活できるかイメージしてみる

【1464-3】トライアル&エラーの「遊び」を常に心がける

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】未来の地図帳
【著者名】河合雅司
出版社講談社
【出版日】2019/6/19
オススメ度★★★★☆
こんな時に社会貢献を考えるきっかけに
キーワード教養社会問題解決
【頁 数】272ページ
【目 次】
第1部 現在の人口減少地図
第2部 未来の日本ランキング
第3部 それぞれの「王国」の作りかた

 

この本が、あなたを変える!

未来の地図帳
河合雅司 講談社 2019-6-19
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河合雅司さん、素敵な一冊をありがとうございます\(^o^)/

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