【書評:2032冊目】共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑(吉田幸弘)

【その言葉、部下の表情を曇らせていませんか?】
コミュニケーションデザイナー・吉田幸弘氏が、『共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑』と題して、部下を輝かせ共感されるリーダーが実践する伝え方を指南する一冊。

■書籍の紹介文

信頼するリーダー。
あなたはどんなリーダーの姿を思い浮かべますか?

 

本書は、リーダーにとって「適切な言葉」を使うことがいかに重要かを説きながら、言い換え例を軸に、共感されるリーダーになるための伝え方のコツを指南する一冊。

 

部下が輝き、雰囲気も明るく、成果も上げているチーム。
その中心には必ず、部下からの信頼を集めるリーダーが存在します。

 

これは、リーダーを担う人にとっても、皆が目指す”理想のリーダー像”と言えるでしょう。
ただ、実際のところは、理想と現実のギャップに苦しむリーダーがたくさんいます。

 

ではどうすれば、ギャップを埋めて部下から信頼されるリーダーになれるのか。
著者は、「部下からいかに共感されるかが大きなポイント」だと説きます。

 

リーダーの役割は、部下の能力を引き出し、チームをまとめ、設定した目標を達成することです。
この役割を全うするためには、部下とのコミュニケーションがとても重要になります。

 

「悪い報告でも臆せずにしてくれる」
「悩みの相談を気兼ねなくしてくれる」
「浮かんだアイデアを積極的に提案してくれる」
「1から10まで指示せずとも主体的に仕事をしてくれる」

 

これらを実現するのも、日頃からのリーダーのコミュニケーション次第。
コミュニケーションを通じて、リーダーがこうした環境づくりをしなければならないのです。

 

そして、コミュニケーションをとるときに最も大切なこと。
それが、「どんな言葉(表現)を用いて声かけをするか」ということです。

 

もちろん、”仕事だから”リーダーの言葉を部下は聞くでしょう。
しかし、言葉が「適切な言葉」でなければ、部下は言葉に共感しませんし、あなたを信頼もしません。

 

要するに、いかに「適切な言葉」をかけられるかが、共感され信頼されるリーダーにつながるのです。
リーダーの言葉が変わるだけで、部下の行動は見違えるほど好転するのです。

 

本書では、「NG声かけ」と「OK声かけ」の言い換え例を比較しながら、「適切な言葉」の感覚を養っていきます。
さらに、なぜその言葉が「適切な言葉」になるかの解説を通して、リーダーの心構えも説いていきます。

 

例題はどれも「経験ある・・・」と思うものばかりです。
ぜひ、本書を使い込み、部下に共感され、信頼されるリーダーになってください。

 

◆言葉、大切です。

共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑
吉田幸弘 ぱる出版 2023-6-24
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す

■【要約】15個の抜粋ポイント

【×】もっとゆとりを持って仕事を進めたほうがいい
【○】空白時間を必ず作っておくといいよ
何度も注意しても部下が変わってくれないのは、抽象的な言い方になっていて、具体的にどう動いたらいいかがわからない場合もあります。
リーダーは部下よりも経験を多く積んでいることがほとんどです。
その言い方で動けるかどうか検証してみましょう。

 

【×】私もこんな失敗よくしたよ
【○】私も数多くの失敗をして、その後に活かしたよ
この言い方は悪くはないのですが、できればもう一工夫あるといいでしょう。
ここでは「失敗経験+失敗を克服した経験」を伝えましょう。
実はこの「失敗を克服した経験」を伝えると、部下からの相談が増えてきます。
リーダーに相談してみれば何かヒントを得られるかもしれないと、部下が思うようになるからです。

 

【×】みんなが文句言ってたよ
【○】前に頼んでいたところのほうがいいって意見が一部で出ているね
このようにネガティブなフィードバックをするケースでは、「みんな」と主語を大きくしないことです。
「前に頼んでいたところのほうがいいって意見が一部で出ているね」というように、「一部で」と伝えるようにしましょう。

 

【×】まあ、1日しか違わないし、頼むぞ
【○】間違っていて申し訳ない
リーダーだって人間。
間違うこともあるでしょう。
大事なのは間違った場合、認めて謝ることができるかどうかです。
謝ることができるリーダーは信頼されます。

 

【×】今週中
【○】今週の金曜日の朝9時まで
「今週中」に限らず、日本語には形容詞・副詞などを中心に曖昧なワードが多いものです。
ですから、何かを頼むときは、複数の解釈をされないかに注意する必要があります。

 

【×】手伝ってもらえるかな
【○】助けてもらえるかな
協力してほしいときは、切迫感を出すようにしましょう。

 

【×】吉岡!
【○】吉岡さん
私はリーダーの方に、すべての部下に対して「さん付け」にするよう伝えています。
このことによるメリットは2つあります。
(1)イライラした際にハラスメントになるような暴言を幾分抑えられること
(2)全員をさん付けで呼ぶと平等性が保てること

 

【×】やるしかないだろ
【○】そう感じたか
何かをお願いした際に反発してくる部下はいるものです。
そのとき、反発に対してすぐに抑え込もうとしてはいけません。
(略)
反発する部下にとっては、相手が受け止めてくれているかどうかが重要なポイントです。
まずは相手の意見を受け止めるようにしましょう。

 

【×】そんなのありえないでしょ
【○】面白い視点だね
否定から入ってしまうと提案のハードルを上げるだけです。
これは企画の提案に限らず、報告や相談のシーンでも同じです。
最初から否定されてしまうとダメージが大きいものです。

 

【×】今日の服装、いつもと違う雰囲気だね
【○】そのペンの緑、きれいですね。どこで買ったのですか
褒めるのは「体に触れていないもの」にしましょう。
また、仮に部下が異性の場合は、男女ともに使うものがいいでしょう。

 

【×】何で報告にこないんだよ
【○】報告しづらかったか
リーダーは悪い報告をしやすい雰囲気をつくるよう心がけましょう。

 

【×】メールは2時間以内に返すように
【○】メールは何時間以内に返せばいいと思う?
自分で決めてもらうことが大事です。
人は言行不一致を嫌うので、自分で決めたことは守ろうとします。
だからこそ最終的には宣言してもらうように導くのです。

 

【×】責任を他の人に押しつけるな
【○】我々で変えられるものはないだろうか
他責は自身の成長を阻害するという悪い面もあります。
自分を成長させるためにも他責はやめるように伝えましょう。
そのうえで「我々で変えられるものはないだろうか」と問いかけをしてみましょう。

 

【×】そんなの常識だろ
【○】そう思うんだね。理由を聞かせてもらっていいかな
この歩み寄りにより部下は「この人は対話をしてくれる」と信頼するようになるのです。

 

【×】結果を出してから言おう
【○】どんどんアイデア出して!助かるよ
確かに結果を出すことは重要です。
しかし実は、この結果を出している人だけが意見を言える状態は、マイナス面もあります。
意見を言える人が一定の人に限られ、内容が偏ってしまいがちだということです。
経験がない人の意見が参考になる場合は結構あります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2032-1】伝える際、相手が心理的に安心するかを意識して言葉を選ぶ

【2032-2】依頼する際、解釈が複数生まれるような曖昧な表現をしない

【2032-3】自分がされて不快な言動を、自らが行わないように律する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑
【著者名】吉田幸弘著者情報
出版社ぱる出版
【出版日】2023/6/24
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワード話し方リーダー指導力
【頁 数】176ページ
【目 次】
第1章 励ます・助言するときの声かけ
第2章 人間関係を良好にする伝え方・雑談術
第3章 仕事を頼むときの言い方
第4章 こんな反応だった、どうする?
第5章 ポジティブなフィードバックの仕方
第6章 ネガティブなフィードバックの仕方
第7章 部下別の対応方法

 

▼さっそくこの本を読む

共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑
吉田幸弘 ぱる出版 2023-6-24
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す

吉田幸弘さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

ページ上部へ戻る