【書評:2029冊目】大航海経営術(市川聡)

【東北への恩返しを誓った男の航海記】
中小企業診断士・市川聡氏が、『大航海経営術』と題して、東日本大震災で傷いた東北・福島の力に!と一念発起した男の、山積みの経営課題に苦しむ経営者を支える手法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

あなたが最も大切している価値観。
それはどんなものですか?

 

本書は、阪神淡路大震災で感じた恩を東日本大震災で傷つく東北で返すと誓った、ひとりの中小企業診断士が語る、課題解決の海を邁進する航海記である

 

正直に言って、作り込みが粗く、読みにくさを感じる点が多々ある本です。
ただそれがかえって、想いひとつに福島の地に飛び込み、がむしゃらに奮闘してきた著者の姿をそのまま写しているようでおもしろい。

 

・経営に悩む中小企業経営者
・気軽に相談し合える経営者仲間がほしい経営者
・地方に移住して起業を考えている方
・都会に出るか地方の地元で頑張るか悩んでいる方

 

このような方たちにとって、現状を変えるヒントが得られるかもしれません。
なかでも、補助金を活用した中小企業の新規事業挑戦のノウハウは、地方行政に飛び込んだ著者ならではの視点です。

 

元々は日産自動車でキャリアを積まれた著者。
そこから、早期退職、中小企業診断士に合格・登録、福島県川内村役場に単身入職、地域振興や中小企業支援に奮闘。

 

その過程で、地方の中小企業経営者のコミュニティ不足を痛感。
現在は、『大航海経営塾』という経営者ネットワークの構築に邁進中。

 

簡単にまとめさせていただいた経歴からわかるように、著者は『行動力』の人です。
その点、なかなか”一歩”の決断が苦手な人にとっては刺激をもらえるストーリーだとおもいます。

 

しかしながら、「ノウハウを学びたい」という動機で読む本ではありません。
著者も書いていますが、それぞれに関するビジネス書や専門書を読んだ方が、詳しく分かりやすいです。

 

ではなく、学んだことをいかに行動に移すか。
行動する中で感じたことをいかに学ぶか、という姿勢を学ぶには有用な一冊です。

 

『想い』と『行動』が合致すると『人が集まってくる』。
これをよく表している一冊です。

 

◆等身大の地方奮闘記。

大航海経営術
市川聡 ゴマブックス 2023-4-24
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■【要約】15個の抜粋ポイント

今までの業務や社外活動で身につけてきた知識やスキルが普遍的なものであるかどうかを見極めたいという思いと、経営に関する知識を体系的に学んでおきたいという思いから、経営コンサルタントとして唯一の国家資格である中小企業診断士を取得する

 

予想をはるかに超えた惨状を知り、「セカンドキャリアで阪神(阪神・淡路大震災)の恩を福島(東日本大震災)で返したい」という思いを抱くようになりました。

 

行政は、その行政が管轄する地域に、公平なサービスを提供することが役割です。
そのため、特定の層をターゲットに施策を立案し実行することは不得手なのです。
「ひとり親世帯の移住支援策の立案と導入」は、川内村で、初めて、ターゲットを絞った移住施策でした。

 

交流人口から移住に繋がるまでの状態を、村への関心や関係性の強さに応じて、次のように分類したのです。
関心人口⇒交流人口⇒関係人口⇒移住・定住人口(週末移住・永住)

 

どんなこともすべて年度単位。
このタイミングを1日でも逸すると、さらに1年遅れます。
行政の仕事をやったからこそわかったことです。

 

3つの柱を学ぶことで社長と社員のベクトルを合わせ、実行力を向上させることができます。
「ビジョン・戦略策定」
「計画策定・実行管理」
「チームビルディング(組織作り)」

 

社員が社長の思考・感情・習慣など、目に見えないことを理解し、言語化し、自分の価値観として受け入れてこそ、経営は順調に回り出すものです。

 

(経営計画を)「作成したことがある」事業者の方が「作成したことがない」事業者に比べて売上高が増加傾向にある

 

効き脳(利き脳)をうまく利用し、それぞれに適した役割を持つことで、個性の発揮が十分にでき、チームをうまく回すことができるようになるのです。

 

チームマネジメントを誰かほかの社員がやってくれたら経営者も楽になります。
何でも1人で全部やらないといけない、と思うから苦しくて孤独を感じるんです。

 

人材育成には見せる姿が3つあります。
「前を歩く背中を見せる」
「隣で並んで学ぶ姿を見せる」
「後ろから親のように見守る姿を見せる」

 

経営者にとってロマンや冒険というキーワードはすごく大事で、それがないと経営者にはなれないと思っています。

 

「できないものはできないと、正直に生きればいいんだよ」

 

コンサルタント業は知識と知恵だけではなくて、自分での実体験は重要です。

 

多様性が求められる時代で、社員それぞれの個性も価値観も違います。
それを尊重しないと会社の経営が成り立ちません。
社長と社員の気持ちが大きく離れてしまって、それを整えることが重要な経営課題になっているともいえます。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2029-1】自分の価値観を言語化する

【2029-2】年単位、半年単位など、目標設定をする

【2029-3】自分の価値観と同じように相手の価値観を尊重する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】大航海経営術
【著者名】市川聡著者情報
出版社ゴマブックス
【出版日】2023/4/24
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日のリーダー力を磨きたいときに
キーワードリーダー組織改革社会
【頁 数】212ページ
【目 次】
第1章 プロフェッショナルマインドを作った確かなキャリアチェンジのステップ
第2章 社長の挑戦を応援する『経営者塾(大航海経営塾)』で会社の未来を創る
第3章 『経営者塾』受講生との対談
第4章 『経営者塾』受講生5名の体験談編

 

▼さっそくこの本を読む

大航海経営術
市川聡 ゴマブックス 2023-4-24
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市川聡さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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