【書評:2088冊目】敏感なHSPによる毒人取扱説明書(シャヒダ・アラビ)

【人を気にする前に自分を大切に】
自己愛性虐待の専門家/シャヒダ・アラビ氏が、『敏感なHSPによる毒人取扱説明書』と題して、自分に害を及ぼす人(毒人)から心を守り、揺るぎない自我を確立する方法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

ダメだと分かっているのに・・・。
人間関係において、やめられない悪癖はありますか?

 

本書は、共感力が強いなど他者に敏感なHSPの人ほど、他者から搾取しようとする毒のある人(毒人)に狙われやすい傾向にあると提起し、毒人から自分を守り、揺るぎない自我を確立する方法を解説する一冊。

 

『苦しみ、傷だらけになるまでしがみつかないといけない相手など存在しない』
『自分のことを大切にしてくれない相手と、まともな人間関係(パートナー関係)など築けない』

 

自分が第三者の立場でいられる場合、酷い関係性の人たちをみると冷静にこう思えます。
しかし、自分がいざ当事者になったと想像すると・・・、自信が揺らいでしまう方もいるとおもいます。

 

このとき一番の問題が、原因を相手ではなく自分に求めてしまうことです。
「相手の怒りは自分のせいかも」「自分がもっとしっかりすれば状況は変わるかも」と。

 

本書のテーマは「毒人」=自分の利益のために他者から搾取しようとする毒のある人です。
毒人は、この心理状態を巧みにつくり出し利用することで、自分の利益を最大化しようとしてきます。

 

繰り返しますが、自分の利益を最大化しようとしてきます。
あなたの共感や思いやりのことなど、微塵も気にしません。

 

そして、あなたが関係に疑問をもっても、巧みに打ち消して真実(搾取)に気づかせないように振る舞います。
そんな老獪な相手から、自分の心を守り、自分らしい生き方を確立する方法がまとめられています。

 

HSPの方だけでなく、苦手な人との付き合い方にも応用できる実践テクニックが収録されています。
ひとつ一つ理解することで、自分を壊されないための武器が増えていく感覚を味わえる構成になっています。

 

「相手を変えようとするほど、自分が苦しくなる」
多くの書籍を読んできた中で、大切な学びとしていることの1つにこれがあります。

 

自分がどうありたいか、自分がどう生きたいかが全てです。
今回、本書を読んで改めてこのことを深く実感しました。

 

こうありたい、こう生きたいというあなたを受け入れてくれる人とだけ人間関係を深めればいいのです。
あなたのことが本当に大切なら、あなたを犠牲にしてまで生きようとは思わないはずです。

 

悪人が仕掛けてくる罠は巧妙で老獪、もがくほどキツく深く絡まってきます。
断ち切る武器と断ち切れる勇気を養う一歩に、有用な一冊だと感じます。

 

◆内容の濃い一冊。

敏感なHSPによる毒人取扱説明書
シャヒダ・アラビ パンローリング 2023-12-18
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■【要約】15個の抜粋ポイント

共感性の高さや「救わなければ」という衝動は、何らかの活動に参加して困っている人を助けるという使命があれば強みとなるが、実際には破壊的な行動を続けるために同情を求める毒のある人に対して弱みとなる。
相手の痛みに気を取られているあいだに、相手からどんな扱いを受けているかが頭から抜け落ちるからである。
それどころか相手の受け入れがたい行動を正当化して、すぐに仲直りしてしまう。
他者を操ろうとする人は、この特性を当てにしてHSPにつけ込む。

 

ナルシシストと接する際に忘れてはならないのは、ナルシシストがHSPの痛みや悩みに共感することはなく、自分本位に考えるだろうということである。
彼らは自分自身の利益のためなら、他者の権利を平気で侵害する。

 

●毒のある人の5つのタイプ
①どこにでもいるような境界線を踏み越えてくる人(良性)
②お騒がせな人と目立ちたがり屋(良性)
③感情の吸血鬼(良性)
④ナルシシスト(悪性)
⑤ソシオパスとサイコパス(悪性)

 

どこにでもいるような毒のある人とのやりとりに限度を設けるために、頭文字が「CLEAR UP」となる次のステップを実践しよう。
C:背景を説明する(Context)
L:ルールを決める(Lay down the law)
E:境界線を引く(Exercise boundaries )
A:認める(Appreciation)
R:繰り返す(Repetition)
U:すり合わせて1つにする(Unity)
P:強さを見せる(Power posing)

 

毒のある人のコミュニケーションのパターンは、本人が自分から変えようとしないかぎり、変えることはできない。

 

自分の価値を自分で理解して、ほかの人からほめてもらう必要がないようにしよう。

 

ほんとうにあなたにふさわしいパートナーなら、競争して勝ち取る必要などない。
競争から全面的に手を引いて、比較を避け、あなたの存在のかけがえのなさを大切にしよう。

 

だれであろうと、あなたに無礼な扱いをしてきた人は、あなたの人生に加わる資格がない。
「接触しない」というルールは、どんな形であれ相手を自分の人生に呼び戻したいという誘惑にあらがうために効果的だ。

 

社会との関わりが大切であるのと同様に、ひとりで楽しむことも大切だ。
(略)
ひとりで過ごすことによって、あなたの人生に毒のある人がいない平和と喜びを味わうことに慣れていくことができる。

 

境界線とは何か、どうしたらそれを守れるかを思い出すための頭字語「BOUNDARIES」を挙げておく。
B:自分自身の価値を信じる
O:主体性をもつ
U:自分の核となる価値観を理解する
N:自分の譲れないことを示す
D:自分の妥協できないことを知る
A:謝罪をせずに主張する
R:異議を唱えられたら繰り返して強化する
I:安全に現実的に設定する
E:尊重されない場合はその場を離れる
S:自分を守りセルフケアを優先する

 

魅力的な善意の仮面と有害な行動とのあいだに大きな隔たりのある場合、相手は本人が主張するような人間ではないことを示す明白な判断材料となる。

 

会話が白熱したら、呼吸を整えるために5分間の休憩をとり、いつもの落ち着きに戻ってから、会話を続けるようにする。

 

体調を最良に保つために必要な栄養素が枯渇すると、私たちの心は毒のある人から受けた傷から回復することができない。
栄養たっぷりの健康的な食事をすることで、総体的な健康を支えよう。

 

処方箋がないかぎり、気分を変える目的で依存性のある物質を摂取してはいけない。
アルコールや過剰なカフェインは、感情に圧倒された状態からの回復を妨げ、さらなる問題を引き起こしかねない。

 

毎日、新鮮な空気を十分に吸って運動をすることで、エンドルフィンが放出され、気分が高揚し、極度のプレッシャーにさらされているときでもバランスのとれた心の状態を保つことができる。
そのため運動は、毒のある人と付き合いのあるときに理想的なストレス解消法となる。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2088-1】心(自分)が痛むような人間関係は断ち切ると誓う

【2088-2】感情的になったら間をとると誓う

【2088-3】気分が晴れる運動の習慣を、予定に組み込む

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】敏感なHSPによる毒人取扱説明書
【著者名】シャヒダ・アラビ
出版社パンローリング
【出版日】2023/12/18
オススメ度★★★★☆
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード人間関係自己対話パートナー関係
【頁 数】304ページ
【目 次】
第1章 まぜるな危険
第2章 良性と悪性
第3章 毒のある人との付き合い方
第4章 毒のある人からのリハビリ
第5章 境界線を引く
第6章 武器を備えよう
第7章 避難と回復

 

▼さっそくこの本を読む

敏感なHSPによる毒人取扱説明書
シャヒダ・アラビ パンローリング 2023-12-18
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シャヒダ・アラビさん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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