【書評:273冊目】武器としての交渉思考(瀧本哲史)

【現状を変えたければ、交渉力を磨け!】
京都大学准教授・瀧本哲史氏が、『武器としての交渉思考』と題して、物事を前に進めるには「交渉する力」が不可欠と提起し、力を手に入れるのに必要な思考法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

物事を進めるときに発生する「交渉」。
あなたは得意ですか?

 

本書は、『交渉とは、共通の目的のために具体的なアクションを起こしていく思考法である』と提起し、自分の人生を自ら決断できるようになる「交渉思考」を指南する一冊。

 

日本人は交渉が苦手といわれています。
相手を立てるあまり、自分の要求を犠牲にしてしまう傾向が強いのです。

 

交渉とは、協力です。
共通の目的のために、お互いがどう(協力して)行動していくかを決める場です。

 

勝った負けた、相手優先、有利不利といった類の話ではないのです。
お互いの考えを出し合い、協力して、新しい流れを生み出していかなければなりません。

 

自分ひとりの力では、世の中どうにもできません。
どんな場面でも、必ず「相手」が必要です。

 

この相手と自分、お互いの要求(利害)を出し合い、調整して前に進むための合意を目指す。
この一連の動きを支えるのが「交渉思考」です。

 

まさに、社会で生きていく力、そのものといえます。
だからこそ、ひとりでも多くの人に、できるだけ早く身につけてほしいと著者は熱く語っています。

 

不平や不満、こうすればいいのにというアイデア。
あなたの中には、たくさんの要求があるとおもいます。

 

それをぜひ、交渉思考を使って「相手」に投げかけてみてください。
諦めていたことに、新しい流れが生まれることでしょう。

 

◆これは読むべき一冊!

武器としての交渉思考
瀧本哲史 星海社 2012-6-26
売上ランキング(公開時):2,380
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■【要約】15個の抜粋ポイント

自分と似た人間、同質な人間ばかりと出会っていても、大きな”非連続的変化”(※)は生みだされない。
(※)それまでの常識では考えられないような飛躍的な変化のこと

 

交渉とは
「立場が異なり自由に意志決定できる二者が合意を目指してやり取りするコミュニケーション」

 

相手に交渉のテーブルについてもらうためには、「自分の立場を理解してもらう」ことより、「相手の立場を理解すること」のほうが大切です。
つまり、「僕が可哀想だからどうにかして!」ではなく、「あなたがこうすると得しますよね」という提案をするべきです。

 

バトナ(Best Alternative to a Negotiated Agreement)
目の前の交渉相手と合意する以外にいくつかの選択肢(Alternative)があったときに、「交渉相手に、あなたと合意しなくても別の良い選択肢があるので、それよりも良い条件でなければ合意しない」と宣言できる選択肢ということになります。

 

●バトナの考え方
・交渉では、まずは複数の選択肢を持つこと
・目の前の選択肢とバトナとを比較しながら、交渉を行っていく
・交渉は、相手のバトナと自分のバトナによって決まる
・バトナがないと、コモディティ人材になる
・つねに「相手側の選択肢、相手側のバトナはなんなのか?」と考える
・交渉が決裂したときに相手がどうなるのかを考える
・相手側のバトナを見極めるために「たくさん聞いて、たくさん提案する」
・バトナを用意しておくと、不合理な合意を避けることができる
・バトナを用意しておくと、心の中に余裕が生まれる
・交渉が始まったら、自分のバトナは変えられない。だから「準備8割」
・相手に自分のバトナを悟られない
・相手が自身のバトナを理解していないときは、こちらから提示して、誘導する
・相手に自身のバトナを誤解させることで、有利に交渉を進めることができる

 

ゾーパ(Zone of Possible Agreement):合意が可能な範囲

 

●ゾーパの考え方
・相手と自分のバトナが決まったら、自動的にゾーパが決まる
・一見ゾーパがないときでも、バトナを見直すことでゾーパが生まれる
・本当にゾーパがないときは、交渉するだけ無駄
・一方のビックウィンは、もう一方のスモールウィン

 

アンカリング:最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること(もしくは、認識がコントロールされてしまうこと)

 

●アンカリングの考え方
・交渉は、最初のアンカリングによって決まる
・最初に相手をアンカリングして、優位に交渉を進める
・相手から提案を受けたときは、それがアンカリングではないかと疑う
・アンカリングは、できるかぎり「高い目標」で行う
・アンカリングの3条件は、①高い目標②現実的③説明が可能

 

譲歩:交渉における譲歩とは、自分の条件の一部を諦める、あるいは、相手にとって得となる別の付加価値をつけることを言います。

 

●譲歩の考え方
・無条件の譲歩は絶対にしない
・「相手にとっては価値が高いが、自分にとっては価値が低い条件」を譲歩の対象にする
・いろいろな条件付き譲歩を提示することで、相手側の判断基準を知る
・「譲歩」をしたという事実自体が、相手を分析するための情報になる
・新たな譲歩を引き出したり、交渉の満足度を高めるために、譲歩は「もったいつける」

 

●交渉時にまずは考える2つのこと
①争点を洗い出す
②それぞれの重要度を決める

 

●交渉メンバーが共有すべき「3つの注意点」
①アウトプット
②ドレスコード
③NGワード

 

私は仕事でよくメンバーに「これはプロジェクトXになっているか?」と聞きます

 

私が本当にひとつだけ、これだけはみなさんに覚えておいてほしいということを明記するならば、それは「言葉こそが最大の武器である」ということになります。
(⇒ゆえに、言葉が磨くこと)

 

■【実践】3個の行動ポイント

【273-1】相手の「できない」を聞き出す

【273-2】相手が欲しいものと自分が欲しいものを常に意識する

【273-3】語彙力を磨く本を読む

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】武器としての交渉思考
【著者名】瀧本哲史
出版社星海社新書
【出版日】2012/6/26
オススメ度★★★★★
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード交渉術思考問題解決
【頁 数】336ページ
【目 次】
ガイダンス なぜ、いま「交渉」について学ぶ必要があるのか?
1時間目 大切なのは「ロマン」と「ソロバン」
2時間目 自分の立場ではなく、相手の「利害」に焦点を当てる
3時間目 「バトナ」は最強の武器
4時間目 「アンカリング」と「譲歩」を使いこなせ
5時間目 「非合理的な人間」とどう向き合うか?
6時間目 自分自身の「宿題」をやろう

 

この本が、あなたを変える!

武器としての交渉思考
瀧本哲史 星海社 2012-6-26
売上ランキング(公開時):2,380
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瀧本哲史さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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