【合理性を追求し、3つの資本を最大化せよ!】
作家・橘玲氏が、『シンプルで合理的な人生設計』と題して、「合理性」を軸に”幸福”を考察しながら、幸せに生きるための人生の土台を合理的に設計する方法を指南する一冊。
■書籍の紹介文
物事を合理的に考え、合理的に行動する。
それは、あなたにとって得意なことですか?
本書は、幸福の土台となる「3つの資本」を『合理性』を軸に考察しながら、自由で幸せな人生を手に入れるための”合理的な”方法を指南する一冊。
◎金融資本
◎人的資本
◎社会資本
これが、著者が前著『幸福の「資本」論』で定義した、幸福の土台となる3つの資本(キャピタル)です。
(紹介記事は、【書評:1014冊目】幸福の「資本」論(橘玲))
ざっくり言うと、3つの資本が充実するほど「幸福」、反対が「不幸」です。
漠然と考えるしかない幸福について、客観的に考えられる点で有用だなと個人的に感じている考え方です。
本書では、『合理性』を軸に3つの資本をさらに深掘りしていきます。
合理性とは、「投入した資源(リソース)に対してより多くの利益(リターン)を得ること」ということです。
なぜ、著者は『合理性』を軸にしたのでしょうか。
それは、人生に投じることができる資本は”有限”だからです。
簡単な例だと、どんなに金融資本(お金)を投じても、1日は24時間より増えません。
さらに、睡眠時間、食事、運動・・・も差し引くと、1日に投じることができる時間資本は多くても8時間くらいです。
つまり、なににどれだけ資本を投入するか”選択”する必要があります。
ゆえに、そこに合理的な戦略が生まれる余地があるわけです。
ではどうすれば、自分にとって資本を最大化し、自分らしい幸せな人生を実現していけるのか。
その設計方法を明らかにしていくのが本書です。
ただ、『合理性』をいくら追求しても、わたし達は人間であり機械でありません。
人それぞれに、折り合いのつくポイントは異なります。
したがって、理論や方法を学び、自分で”設計図”を書けるようになる必要があります。
”設計図”がスラスラ書けるようになるにつれて、生きやすくなっていくでしょう。
◆前著もあわせて。
シンプルで合理的な人生設計
橘玲 ダイヤモンド社 2023-3-8
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
■【要約】15個の抜粋ポイント
『わたしたちの人生は、ありとあらゆるトレードオフから構成されている』
この原則は、本書の最後まで一貫している。
解決できる問題は、すでに解決されてしまっている。
だとしたら残された問題は、なんらかの制約があるために単純な解決が不可能なもの、すなわちトレードオフだけだ。
『選択をする必要が少なければ少ないほど、人生はよりゆたかになる』
選択のコスト(処理コストと機会費用)が減ればリターンはその分だけ増えるのだから、これは当たり前の話でもある。
そのリターン(資源)をより重要な選択に投じることで、社会的・経済的に成功し、人生はよりゆたかになる。
逆に、いつも選択に追われていると、人生の幸福度は大きく下がってしまうだろう。
『よい選択とは、コスパとリスパを最適化すること』なのだ。
ジェフ・ベゾスはなぜ、毎日8時間寝ることを最優先しているのだろうか。
それは、睡眠こそがもっとも効果の高い成功法則だからだ。
アメリカ国立がん研究所が65万人の10年間のデータを調べたところ、毎日25分間の散歩に相当する運動をするひと(肥満者を除く)は、運動不足のひとより4年ちかく長生きすることがわかった。
毎日10分のウォーキングでさえ、寿命に2年の差が見られた。
脳はとにかく楽をして、いろいろなことを素早く判断するように進化した。
こうした「資源(リソース)制約」から、進化的合理性には次のような特徴があることがわかる。
①目の前の利益を最大化する
②すべてを単純な因果論で判断しようとする
③客観的な事実はさほど重要ではない
ヒトはすべての生き物のなかでも、ハチやアリなどの社会性昆虫と並んでもっとも社会化された動物だ。
わたしたちの人生は、共同体に埋め込まれているともいえる。
この「社会制約」から、先ほどの3つに加えて、脳は次のような特徴を備えるよう進化したにちがいない。
④周囲に同調する
⑤共同体のなかで評判を獲得しようとする
⑥共同体に所属する者には共感する
⑦共同体に所属しない者を排除する
バリー・シュワルツは、選択肢が多すぎる場面で完璧な答えを探す「マキシマイザー(利益最大化人間)」は、「もっといい選択ができたのではないか」といつも後悔することになるという。
一方、あらゆるリスクを回避しようとする「ミニマイザー(リスク最小化人間)」は、ひたすら現状にしがみつくしかなくなってしまう。
そう考えれば、完璧な選択を目指すのではなく、適度なリスクをとり、トライ・アンド・エラーで一歩ずつ成功へと近づいていく「サティスファイサー(満足化人間)」の戦略が、幸福な人生を実現できる可能性が高いのではないか。
【幸福とは、自分の人生を「よい物語」として(自分や他人に)語れること】
【不幸とは、人生という「物語」が破綻してしまったこと】
自分の人生を魅力的な物語にするためには、どうすればいいだろうか。
この問いを出発点に、金融資本、人的資本、社会資本の土台をどのように合理的に設計するかを考えていこう。
【資産形成=(収入ー支出)+(資産×運用利回り)】
足し算と引き算と掛け算だけでできた、小学生でもわかりそうな方程式だが、驚くべきことに、世界中のひとびとを虜にしてきた「お金持ちになりたい」という夢が、このたった1行に凝縮している。
この方程式から、お金持ちになるには、次の3つの方法しかないことがわかる。
①収入を増やす
②支出を減らす
③運用利回りを上げる
自尊心をもてるのは大きな人的資本(高い専門性)があるからで、それによって対立する相手の意見を尊重する余裕が生まれる。
心理的安全性も同じで、それは上司や同僚の言葉遣いによって与えられるものではなく、相手の言葉に「脅威状態」で反応しない大きな人的資本が「安全性」をもたらすのだ。
「あなたが選ぶ友だちはつねに、そのときの状況下でもっとも自分と共通点の多い相手」だというのが、友だち関係の大原則になる。
ダンバーはこれを次の7つの基準に分類している。
・言語(または方言)が同じ
・同じ場所で育った
・同じ教育を受け、同じ経験をしている
・趣味や関心事が同じ
・世界観が同じ(道徳観、宗教観、政治観)
・ユーモアのセンスが同じ
・音楽の趣味が同じ
もっとも親しい5人の友だち(サポート・クリーク)なら共通項は6つか7つあるはずだが、ただの遊び友だちなら1つか2つだ。
●成功の「普遍の法則」
第一法則:パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できないときには、ネットワークが成功を促す
第二法則:パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない
第三法則:過去の成功×適応度=将来の成功
第四法則:チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのは一人だけ
第五法則:不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる
「幸せになろうとするほど、幸せから遠ざかる」という事態が生じている。
だとすれば、目指すべきは「幸福(ポジティブな感情)」を増やすことではなく、より合理的・効率的に「幸福の土台」をつくることになるのではないだろうか。
■【実践】3個の行動ポイント
【1990-1】7〜8時間の睡眠時間を差し引いて1日を予定する
【1990-2】毎日25分程度の散歩を習慣にする
【1990-3】人的資本(高い専門性)の最大化を意識して行動する
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】シンプルで合理的な人生設計
【著者名】橘玲 ・ 著者情報
【出版社】ダイヤモンド社
【出版日】2023/3/8
【オススメ度】★★★★☆
【こんな時に】生き方に迷ったときに
【キーワード】生き方、稼ぐ力、成功法則
【頁 数】336ページ
【目 次】
プロローグ 成功するためには、人生の土台を合理的に設計せよ
Part1 【理論編】合理性の基礎知識
1 コスパ・タイパ・リスパ
2 睡眠と散歩は最強の自己啓発
3 進化論的合理性と論理的合理性
4 成功に至る意思決定
Part2 【実践編】合理的に人生を設計するための戦略
5 3つの資本と8つのパターン
6 金融資本の成功法則
7 人的資本の成功法則
8 社会資本の成功法則
エピローグ シンプルで合理的な「成功のライフスタイル」
▼さっそくこの本を読む
シンプルで合理的な人生設計
橘玲 ダイヤモンド社 2023-3-8
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
橘玲さん、素敵な一冊をありがとうございました!
※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。