【書評:1976冊目】アメリカの大学生が学んでいる本物の教養(斉藤淳)

【知識人と教養人は似て非なるもの】
J PREP斉藤塾代表・斉藤淳氏が、『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』と題して、教養は良質な思考技術を持つことが大前提だと語り、学びの技術と心得を指南する一冊。

■書籍の紹介文

教養。
あなたはどのように磨いていますか?

 

本書は、「良質な思考技術を持つこと」が教養を磨く大前提だと語りながら、単なる知識量に惑わされない、教養を磨くために必要な学びの技術と心得を指南する一冊。

 

知識があることよりもはるかに重要なこと。
それは、その知識を使って何を考えるか(そして他者と議論し、行動するか)である。

 

これを理解せずに、教養、教養といっている日本人があまりにも多い。
著者は、ここに大きな憂いを感じてこの本を書いています。

 

知らない言葉に出会っても、検索をかければ必要な”知識”は瞬時に得られます。
したがって、もの知りといわれたような知識だけをたくさん持つことは、価値を失いました。

 

そんな時代だからこそ、正しい教養人の道を歩んでほしい。
そのためにも、教養というものに対する心得を改めて、教養を磨くことにつながる学びの技術を身につけてほしいと説いていきます。

 

教養とは、目的も定めずに積み重ねるもの。
教養を身につける道程そのものが、教養となる。

 

エリートやできる人になるために、教養を身につけるのではない。
教養を積み重ねた結果、責任にある地位や役割につく。

 

難しい時代だからこそ、「考える力」の重要度が増しています。
「考える力」は、教養をどれだけ積み重ねたかに比例します。

 

教養とはこういうものだ、自分の捉え方がズレていないか確認のためにも。
腰を据えて向き合うべき一冊です。

 

◆教養は未来の選択肢を広げる。

アメリカの大学生が学んでいる本物の教養
斉藤淳 SBクリエイティブ 2023-1-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント

考えることを放棄せず、絶えず新たな知識や情報を学び、他者と議論したりして、どの選択肢をとるべきなのかを考えつづける。
1つの正解に安住せず、アップデートしていく。
ポパーの言葉を借りれば「反証」しながら、社会を漸進させる一端をみずから担っていく。
このように、正解を出す難しさに立ち向かうというのが「教養ある人の態度」であり、その知的体力を養うものこそ教養教育であると私は考えているのです。

 

自身の体験や実践を通じて、自分なりに世界の手触りを確かめながら、社会のあり方を考えたり、自分の生き方や社会との関わり方を確立したりしていくことが、真の教養人の態度といえるでしょう。

 

「わかる」とは、ある特定の分野について・・・
・自分の右に出る者はいないというくらい網羅的かつ深い知識がある
・まだ学びはじめではあるが、ある程度は自分の言葉で説明できる
・全般的にうろ覚えだが、体系づけて学んだ経験がある
・ちょっとかじった程度の「にわか知識」がある
教養人に求められるのは、まず、この「わかる」ということの性質をわかっていることだと思います。

 

自分の価値観や経験、あるいはそれらに基づいて考えたことをマメにメモする習慣をつけていきましょう。
何らかの形で、読んだこと、考えたことの痕跡を残しておくということです。

 

「何が正しいのか」を見抜くことではなく、「創造、普及、淘汰」という学問の営みを総体として理解したうえで、「確からしさ」を確かめようとする態度を保ち、評価を下せることが重要なのです。

 

リベラル・アーツの系譜に鑑みれば、教養の本質的な意味とは、つまるところ「民主的で自由な社会を構築、維持していくためには、どのような判断を下すべきか」を考え、行動する力をつけるもの、といえます。

 

本は、空間的および時間的隔たりを飛び越えて知性に触れることのできる、最良のツールです。
そして図書館は、こうした距離を飛び越えて知性と出会える、格好の場です。
ぜひ図書館に足繁く通い、気になった本はどんどん手に取って読んでみてください。

 

英語がわかるようになると、英語圏のみならず世界中の研究者、ジャーナリストの「オリジナルの議論」に触れられるようになるのです。
英語のほうが発信者の層が厚いので、それだけ多様な知識取得、情報収集が可能になるわけです。

 

いい加減に読むことを許容する、「自分にやさしい読書」を心がけましょう。

 

大人になったら、一番重要なのは、事実を踏まえて「自分はどう考えるか」です。

 

意見形成には、「俯瞰してみる」というプロセスが欠かせません。
事実関係を並べてみるのも、異なる複数の立場から物事を見てみるというのも、要は一度高いところから全体を見渡してみてから「では、自分はどう考えるか、どう見るか」と思考を深めていくということです。

 

知識や情報という前提条件があってしかるべきだからこそ、意見は、いつなんどきでも変わりうるものなのです。
なぜなら、新たな知識を得たり、情報を更新したりするのが人間の常だからです。

 

自分に内在する知的好奇心や学ぶ動機は、やはり軽視しないほうがいいのです。

 

自分が学ぶこと、考えたことを人と共有し、議論を重ねることで、人生の目的を叶えていく。
共に、よりよい社会を構築していく。
それでこそ学ぶ価値、考える価値があるというものでしょう。

 

学ぶ、考える、発信する。
周りの人たちと議論し、共に学び、身近なコミュニティでのルールづくりに関わる。
すべて一端を担っているということです。
「しょせん自分には何もできない」という諦めこそ、自分が大切にしたい価値観に反する人たちを利することになる、愚かな態度といっていいでしょう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1976-1】メモする癖をつける

【1976-2】巻末収録の推薦図書の本を読む

【1976-3】好奇心があるなら、積極的に学びにいく

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】アメリカの大学生が学んでいる本物の教養
【著者名】斉藤淳著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/1/6
オススメ度★★★★☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード教養読書術思考
【頁 数】216ページ
【目 次】
1章 深く学ぶ
2章 自分の頭で考える
3章 本を読む
4章 自分の意見をつくる
5章 人と共に学ぶ

 

▼さっそくこの本を読む

アメリカの大学生が学んでいる本物の教養
斉藤淳 SBクリエイティブ 2023-1-6
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斉藤淳さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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