【書評:2053冊目】不安に克つ思考(クーリエ・ジャポン編)

【不安なときほどたくさん話を聞こう】
ウェブメディア「クーリエ・ジャポン」編集のもと、『不安に克つ思考』と題して、混迷を深める社会を前にした私たちの不安を取り除くべく、19人の賢人による処方箋を提示する一冊。

■書籍の紹介文

大きな不安に苛まれたとき。
あなたは、どのように乗り越えていますか?

 

本書は、激変する世界情勢に追い討ちをかけるコロナ禍により不安を一層大きくしたわたし達に向けて、世界を代表する19人の賢人による処方箋を提示する一冊。

 

不安を大きく感じると、萎縮し、殻に閉じこもりたくなる。
このような感覚に襲われたことが、あなたにもきっとあるでしょう。

 

そんな不安に押しつぶされそうなときほど、勇気を出してたくさんの人の話を聞いてみる。
このことの大切さを痛切に感じる本です。

 

さまざまな人の話を聞くことで、総じて一致している主張もあれば、人によりバラバラな主張もあることに気づきます。
それによって、漠然とした不安への対処方法が見えてきます。

 

「この部分は共通しているから、信じて動いて大丈夫だろう」
「この部分は主張がバラバラだから、暗に信じず自分で判断が必要だな」

 

たくさんの話を聞くなかで、こうした「考える行動」が勝手に起きはじめます。
すると、あんなにビクビクしていた不安が、「これなら対処できるかも」と思えるくらい小さくなっていくはずです。

 

コロナという未曾有の危機。
格差拡大や二極化など激変する社会。

 

得体の知れない恐怖に”不安”は増すばかりです・・・。
その不安に打ち克つためにも、世界の知性をリードする19人の賢人の話を聞いてみてください。

 

話を聞いて「とりあえずこうしていこうかな」。
そんなキッカケが見つかるだけでも、少しは生きやすくなるのではないでしょうか。

 

◆思考が刺激される一冊。

不安に克つ思考
クーリエ・ジャポン編 講談社 2021-9-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント

信念を持って「世の中は変えられる」「こんな世界のままでいいわけがない」と考えることが、前よりもかっこいいものになってきているのです。

 

どん底の悲しみや激しい怒りは、希望と相容れないわけではない。
なぜなら、人間は複雑な生物で、希望は万事良好というほど楽観的ではないのだから。
先行き不透明な状況のなか、衝突が起きるけれど、そのいくつかに勝つ可能性があるという希望はある。

 

気候変動に対する緩和策や適応策で最も重要なことの一つは、単純にあらゆる方面で無駄を減らすことです。
私が好んで例に挙げるのはアメリカ人の平均的な住宅の大きさです。
1950年は90平方メートルほどだったのが、いまは230平方メートルほどです。
家族の人数自体はその間、減っているんですけれどもね。
まったく使わない部屋がいくつかある家に暮らしているのです。
そんな家の建設や原材料に必要なエネルギー変換を考えてみてください。
そんな大きな家を温めたり、冷やしたりしているのです。
無駄が多すぎです。

 

未来の世代も含めた世代間での交渉が必要です。
今日、若者たちは高齢者の保護という重荷を背負い、犠牲を払っているーーーそれは実際、英雄的とも言えます。
彼らはそれに同意しているのです。
その「代わりとして」、高齢世代は資本力や選挙での影響力を通して、若者たちに住みやすい社会を用意する義務があります。
コロナ禍の後には、経済的・社会的な改革が起こるでしょう。
若者たちが背負っている負債は、取り除かなければなりません。
彼らの犠牲は報われなくてはなりませんし、彼らは長期的なかたちで解放されなくてはならないのです。

 

民主主義国において政治の対立軸が階級であれば話し合いの余地があり、政治的な打開策を見つけることもできます。
一方、民主主義国の政治の対立軸がアイデンティティーだと、ある陣営が別の陣営を打ちのめすことしか出口がありません。

 

手仕事を美化しすぎてはいけませんが、知的労働に対しても同じことが言えます。
その利点を誇張しすぎてはいけません。
私たちの社会が手仕事へのある種のノスタルジーに浸っているなら、それでは何にもなりません。
手仕事は、集中と謙虚さを要求し、血肉となります。
それはまったく正常な世界との結びつきなのです。

 

立ち向かうべきときには立ち向かい、協調できる分野では協調する。

 

欧州の問題は、誰に電話をかければいいのかわからないところです。
とはいえ、イギリスがEUを離脱したので混乱が解消したところもあります。
イギリスがいなくなったので、フランスとドイツは、以前よりもアメリカから独立した役割を果たせるようになっています。

 

歴史や政策を変えるには、危機があるだけでは不十分です。
歴史を変えるのは、考え抜かれたアイデアと、それを活かせる特定の状況の組み合わせです。
危機だけでは充分ではありません。
状況を変えるうえでより重要なのは、知的作業と政治であり、希望を持てる理由はある、と私は思っています。

 

ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)が気づいたのは、人間の経験が、次の”手つかずの森林資源”だということでした。
これからの時代は、私たちの私生活が「天然資源」であり、それを行動学的なデータとして市場で売れると見ぬいたのです。
個人のデータや行動がオンライン上で一部始終、追跡されることになったのは、これが理由です。

 

イノベーションとは、巨大な集団の努力によって生み出されるものであることを歴史は教えています。
カリフォルニアに住む、若い白人男性の小さな集団だけが生み出すものではありません。
もし世界の大きな問題を解決したければ、私たちはこのことを理解して、現状に抵抗すべきです。

 

物語が現実を作るのであって、その逆ではありません。

 

仕事をするには境界が重要だ。

 

人生でずっとこれだけをやっていたい、というものではなく、やるのを許可されたものなのです。
だからね、自分がほんとうにやりたいときにやって、そうでないときはやらないんです。

 

私たちはみんな、何か大きなものの一部であり、どこかでつながっている。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2053-1】あらゆる場面で、無駄を減らす意識で行動する

【2053-2】立ち向かうところは立ち向かい、協調するところは協調する

【2053-3】オン/オフの境界を意識して、仕事環境を整える

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】不安に克つ思考
【著者名】クーリエ・ジャポン
出版社講談社
【出版日】2021/9/15
オススメ度★★★★☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード社会思考グローバル
【頁 数】256ページ
【目 次】
序章 時代精神の転換
第1章 コロナ禍と人間
第2章 分断と新秩序
第3章 資本主義の諸問題
第4章 コロナ禍の中で働くということ
第5章 文化という希望

 

▼さっそくこの本を読む

不安に克つ思考
クーリエ・ジャポン編 講談社 2021-9-15
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クーリエ・ジャポンさん、素敵な一冊をありがとうございました!

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