【書評:1966冊目】デザイン思考2.0(松本勝)

【閉塞感を「どうありたいか」で突き抜けろ!】
VISITS Technologie社CEO・松本勝氏が、『デザイン思考2.0』と題して、自由自在の創造力やアイデア力につながる「デザイン思考」を指南する一冊。

■書籍の紹介文

閉塞感を打破するアイデアがほしい・・・。
そのような願望をお持ちではありませんか?

 

本書は、閉塞感を打破する革新的なアイデアは「人間の心の動きから考える」ことが重要だと提起し、考える土台となる「デザイン思考」という思考法を指南する一冊。

 

もはや、思いつく限りの”市場”はできあがってしまった。
だから、今ある”市場”のなかで生き残りを図っていくしかないのだ。

 

言い換えるなら、ブルーオーシャンなんてもはやない。
既存のレッドオーシャンのなかで生き残りを模索するしかないのだ。

 

このような諦めにも似た気持ち。
これが、社会全体の閉塞感につながっているのかもしれません。

 

しかし、諦める必要はないと著者は説きます。
そして、「人の心の動きから考える」ことで、閉塞感を打破するアイデアは必ず生み出せると提起します。

 

”市場”は、多くの人がサービス・商品を利用することで出来上がります。
では、人はどんなときにサービス・商品を利用しよう(購入しよう)と(行動)するのでしょうか。

 

そうです。
人は自分の心が動かされたとき、動いた心にしたがって、購入という行動を起こすのです。

 

こう考えると、「新しい”市場”はもうない」などと諦める必要はないことがわかります。
発想が無限に広がる”人の心”へのアプローチ法を変えるだけで、あなたの中からまだまだアイデアは出せるというわけです。

 

そこで著者が薦めるのが、「デザイン思考」というアプローチ方法です。
「人の心の動きから考える」思考法である「デザイン思考」こそ、”今”を打ち破る大きな武器になると力説します。

 

●デザイン思考の5ステップ
(1)共感=相手の立場に「なりきる」
(2)問題定義=インサイト(本音)を発見する
(3)創造=問題解決のアイデアを出す
(4)プロトタイプ=イメージ、認識を共有できるものを作る
(5)テスト=フィードバックを受ける

 

各ステップごとに、考え方から磨き方までをシンプルに解説していきます。
実際のヒット商品を分析することで、デザイン思考の有用性や汎用性を体感的に理解できるように構成されています。

 

読み進めるうちに、自分の頭の中にデザイン思考の『型』のようなものができ上がる感覚を覚えます。
そのため、アイデアや発想は苦手だけど仕事上必要という方に特にオススメだとおもいます。

 

目の前の課題解決に『型』を武器に立ち向かっていく。
これをくり返すことで、「デザイン思考」の力はどんどん伸びていくでしょう。

 

ビジネスは「決断」の連続であり、人生は「選択」の連続です。
そのとき、立ち止まって停滞しないための武器(デザイン思考)を持ちましょう!

 

◆学び甲斐のある一冊。

デザイン思考2.0
松本勝 小学館 2023-2-1
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■【要約】15個の抜粋ポイント

イノベーションは技術の分野だけに留まりません。
正しくは「新結合」、すなわち「これまで組み合わせたことのなかった要素同士を組み合わせることで、新たな価値を創造すること」を指します。

 

デザイン思考とは何か。
「デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的行動を指す言葉である」とされることもありますが、この説明だけで本質をすぐに理解するのは難しいのではないでしょうか。
もう少しわかりやすい言葉で表すと、「デザイナーの問題解決のアプローチをビジネスに転用した思考法」と言うことができます。

 

●デザイン思考の5ステップ
(1)共感=相手の立場に「なりきる」
(2)問題定義=インサイト(本音)を発見する
(3)創造=問題解決のアイデアを出す
(4)プロトタイプ=イメージ、認識を共有できるものを作る
(5)テスト=フィードバックを受ける

 

・「問題」:理想の状態と現状とのギャップ
・「課題」:ギャップを埋めるために取り組むべき事柄
・「ニーズ」:「人間の生活上必要な充足感が奪われている状態」において、理想と現実とのギャップを埋めたいという「欲求」

 

イノベーションを起こす新たなソリューション創出には、次のパターンが存在することがわかります。
①顕在ニーズ×既存シーズ
②顕在ニーズ×新規シーズ
③潜在ニーズ×既存シーズ
④潜在ニーズ×新規シーズ
ここで言うシーズには技術だけでなく、ノウハウや仕組みなど、世の中に存在するあらゆる「価値ある要素」が含まれ、その中で「発明」と言われるものは新規シーズかつ技術的要素を含んでいるものを指します。

 

顧客ニーズを発見するためには、顧客に「共感」し、彼らの立場になった時の「心の動き」にフォーカスする必要があります。
特に、潜在ニーズを発見しようとした場合には、顧客自身も自分のニーズを言語化できないので、彼らの行動を入念に観察したり、インタビューを繰り返すことで、「顧客が本当に求めているもの(=潜在ニーズ)」を見つけ出さなければなりません。
デザイン思考のステップが「共感」から始まるのはこのためです。

 

同時に発生する2つ以上の「人々が無意識に諦めていた願望」を見つけ出し、それらの願望を同時に満たすサービスを作ることによって、人々の心を掴み、サービスをヒットさせることが可能となります。

 

「〜だから〜(仕方ない)」を「〜なのに〜(感動)」に変えることができるサービスを創れないか、考えてみるのが良いでしょう。
もし、それが実現できれば、世の中でオンリーワンの魅力的なサービスをユーザーに届けることができます。

 

意識的にバイアスを取り除く方法をご紹介します。
まず、自分が当たり前だと思っている『無意識の前提条件』を書き出します。
例えば、自動車に関して言えば「タイヤは4つ付いている」「前に進む」といった前提条件です。
次に、これを『〜ではなくても良い』という形に変換します。
「タイヤは4つでなくても良い」「前に進まなくても良い」ということになります。
そして、「タイヤが付いていない自動車はどんな自動車だろう?」「タイヤが1個の自動車はどんな自動車だろう?」「後ろに進む自動車はどんな自動車だろう?」「横に進む自動車はどんな自動車だろう?」と順に想像を巡らせ、これまでとは全く異なる「新たな前提条件」のもとで「新たな自動車」について考えます。

 

まず良いアイデアであるためには、想定しているニーズが市場に存在していることが最低限必要となります。
したがって、「想定しているニーズに対して(人々が)共感できる」という「ニーズへの共感度」が必須条件です。

 

ニーズについて第三者に説明する際には、必ず「時」、「場所」、「シーン」に関する情報とセットで語るようにしましょう。

 

ニーズの質の方がソリューションの質よりも重要です。

 

デザイン思考はよく「CanではなくWillで考える思考」とも言われます。
これは、Can(できること)で物事を考えるのではなく、Will(どうありたいか)という理想の状態からのバックキャスト(逆算思考)で物事を考えるデザイン思考の特徴を表した言葉です。

 

本源的欲求は人間であれば誰でももっています。
あなたが刺激される欲求は、他の人も同様に刺激され、あなたと同じような気持ちになる可能性が高いと言えます。
まずは自分の日常の気持ちの変化、それを誘発するサービスの要素を言語化するというトレーニングを行ってみましょう。
きっと「人の気持ちの動かし方」のパターンが見えてくるはずです。

 

人の気持ちの動かし方がわかってきたら、次は「答え合わせ」で検証を行っていきます。
(略)
「最近話題の〜(サービス名)は、〜というところが良いよね。使っていて〜の気持ちにならない?」と話を振ってみます。
そこで、「そう?私はそう思わないけど」という反応なら、あなたの仮説は間違っている可能性が高くなります。
逆に、「そうそう。〜だよね。私もそう思う」という反応が得られたなら、精度が高まっている証拠です。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1966-1】「〜だから〜(仕方ない)」と諦めていることを書き出し、「〜なのに〜(感動)」に変えることができないか考える

【1966-2】アイデアを考えるときは、自分が当たり前と思う『無意識の前提条件』をまず書き出す

【1966-3】欲求を刺激されたと感じたら、刺激を誘発するサービスの要素を言語化する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】デザイン思考2.0
【著者名】松本勝著者情報
出版社小学館
【出版日】2023/2/1
オススメ度★★★★☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワード思考発想力問題解決
【頁 数】208ページ
【目 次】
第一章 誰でもできる「イノベーション」
第二章 始まりは「ニーズ」に
第三章 目指すは究極の「いいとこ取り」
第四章 「新たな価値」を創造する
第五章 人生に活きる「デザイン思考」

 

▼さっそくこの本を読む

デザイン思考2.0
松本勝 小学館 2023-2-1
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松本勝さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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