【書評:1950冊目】今と未来がわかる色彩心理(南涼子)

【色を知ることで、心が見えてくる】
日本ユニバーサルカラー協会代表理事・南涼子氏が、『今と未来がわかる色彩心理』と題して、人と色の関わりの歴史を紐解きながら、仕事や生活に役立つ、色の活用方法を解説する一冊。

■書籍の紹介文

今もっとも落ち着く色。
あなたにとって、それは何色ですか?

 

本書は、人と色との関わりを考える「色彩心理」の知識や理論を紐解きながら、仕事や生活の質の向上に役立つ、色の活用方法を図解豊富に解説する一冊。

 

◎偏頭痛の人は、部屋に”白”が多すぎるのが原因かも。
◎”紫”に惹かれる人は、心身のバランスが崩れている危険なサインかも。
◎”緑”を求めてしまう人は、疲労が蓄積している休息のサインかも。

 

このように、人と色の関係性を日常生活に当てはめながら図解豊富に解説してくれます。
職場環境や自宅の住環境に活用できる知識が満載です。

 

あなたが好きな色、あなたが今欲している色。
そこにはどんな「心の投影」があるのかを知れて、メンタルヘルスケアにも活かせそうでとても勉強になります。

 

本文中にも出てきますが、読んでいてイメージが湧いたのが病院です。
最近、「病院がとてもカラフルになった」という印象をもったことはありませんか。

 

医師も看護師も、えんじやネイビーなど色のあるユニフォームが増えています。
ひと昔前の「白衣」というイメージは、だいぶ薄れているように感じます。

 

ほかにも、診察室のドア周りが青系の色に塗られていたり。
緑や黄色などの差し色が入った壁があったりと、色彩豊かな空間が広がっています。

 

これらの色は、なぜその色にしているのか。
色彩心理の知識によって理解することで、色の奥深さに興味を掻き立てられます。

 

さらに、なぜあの企業のロゴは青なのか、なぜあの飲食店のロゴは赤なのか。
街中で使われている色をネタに、ビジネス的な感性を磨くトレーニングにもつながっていきます。

 

また、日本は公式のサインは”黒”のペンを使うのに対して、アメリカは”青”のペンを使う。
こうした、色による文化の違いも知ることができ、教養を磨く一助にもなります。

 

人と色の関わりを知ることで、人の心が見えてくる。
心が見えてくるなら、色を活用することで、心を癒したり、勇気づけたり、明るくしたりもできる。

 

何気ない色の世界を、楽しく興味をもって学ぶ。
これによってもたらされる効果は、侮れないと感じる一冊です。

 

◆色を知る。

今と未来がわかる色彩心理
南涼子 ナツメ社 2022-12-14
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■【要約】15個の抜粋ポイント

さまざまな研究結果から、私たちを取り巻く色は、感情にはたらきかけて特定の気分を作り出し、生理的な影響を及ぼすことがわかってきています。

 

●色彩心理の2つの側面
(1)色が人の心にもたらす作用を探る
(2)色に対する反応から心を読み解く

 

私たちが色を見るためには、
①見る対象となる「物体」
②物体を見る「眼」
③物体を照らす「光源」
が必要となります。
これを「色を見るための三要素」といいます。

 

情報を伝える上で、色の機能は欠かせません。
目に入る複数の情報を素早く見分け、瞬時に理解を促すという点で、色は極めて有効であり、私たちにとって視覚的なわかりやすさをもたらします。

 

色はその国の文化を表していて、意味も国によって変わってきます。

 

人は見慣れた色に順応して、その色への感受性が高まることから、住んでいる地域によって色の好みも変わる傾向があります。

 

2015年のアメリカのロチェスター大学の研究では、人は悲しい気持ちになると、幸福感をもたらす神経伝達物質のドーパミンの分泌量が減少して、青と黄色の感度が低下する結果、色の認識が阻害されて、目にする世界が色褪せて見えることを明らかにしています。

 

赤は交感神経を優位にさせて、色の中では最も私たちの覚醒を促し、興奮させる色です。
赤に惹かれる時は、精神的にも肉体的にもバイタリティーに満ちあふれている状態といえます。

 

回復と再生を意味し、見るのに余分な力を必要としない緑色。
この色を好ましく感じる時は、睡眠不足、ストレスや肉体的な疲労を感じて、リラックスと休息を求めている可能性があります。

 

黒に好感を持つ時は、自己防衛的な心理がはたらいている可能性があります。
光を吸収してブロックする色であるため、心理的な「拒否感」や「拒絶」を表します。
他人の意見を受け入れたくない時、構ってほしくない時、周囲に惑わされず自分の信念や意思を貫き通したいという思いを強く持っている時に惹かれやすい色です。

 

食欲を湧かせる色は、一般的に赤や橙、茶色などの暖色系といわれています。
(略)
人類の色覚が発達したのは食べられるものを識別するためでもあったため、果実の色に多い暖色系の食べ物の色は、私たちの食欲を無条件に掻き立てるのです。

 

色の薄い淡色野菜は、身体の免疫システムを活性化させる傾向があります。
これに対して濃く鮮やかな色の野菜、果物は、紫外線を防ぎ、活性酸素を除去する「抗酸化作用」と「ビタミン」を多く含んでいます。

 

ストレスを解消したい時は赤を身につけよう。
オレンジ色や濃いピンクなど赤に近い色も溜まったストレスを外に発散できる。

 

色の持つはたらきを、目的別に住空間へ活かしたり、不特定多数の人が利用するスペースやサインに用いたり、景観を整えるために建物の外観などに利用したりする考えや手法を「色彩計画」といいます。

 

●業務内容によって取り入れたい色
<青>
・クリエイティブな作業に
・独創性、アイディアが必要な業務に
・緻密さ、冷静さが求められる時に
<赤>
・注意力が必要な作業に
・ミスを避けたい時に
・集中して短期で結論を出す会議に
・実用的、現実的な考えが求められる業務に
<緑>
・疲れやすい作業に
・長時間の集中力が必要な業務に
・リフレッシュが必要な時に
・目に負担がかかる作業に
<黄・オレンジ>
・チームワークを必要とする業務に
・コミュニケーション重視の時に
・率直な意見を交わす会議に

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1950-1】部屋は、白だらけの空間にしない

【1950-2】寝具周りには、青や淡い黄色を意識する

【1950-3】デスク周りに「緑」を増やす

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】今と未来がわかる色彩心理
【著者名】南涼子著者情報
出版社ナツメ社
【出版日】2022/12/14
オススメ度★★★☆☆
こんな時に心の平穏や導きがほしいときに
キーワード教養心理学自己対話
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 色彩心理とは何か考えよう
第2章 色の基礎知識を学ぼう
第3章 国や文化で異なる色のイメージ
第4章 色のイメージと心理的効果
第5章 色の使われ方とその効果 食・衣編
第6章 色の使われ方とその効果 住・生活編

 

この本で、あなたは変わる!

今と未来がわかる色彩心理
南涼子 ナツメ社 2022-12-14
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南涼子さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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