【「誰かが」から「自分が」の時代】
エシカル・ジュエリーブランドHASUNA創業者・白木夏子氏が、『ファッションの仕事で世界を変える』と題して、”社会貢献”という価値観と仕事を繋ぐ”エシカル・ビジネス”の実践方法を指南する一冊。
もくじ
■書籍の紹介文
社会への貢献。
日々、どれくらい意識して生活していますか?
本書は、「エシカル」「サスティナビリティ」という価値観が本流になりつつある時代の流れを語りながら、その価値観と仕事を繋ぐ”エシカル・ビジネス”の実践法を指南する一冊。
ビジネスとは課題を解決することです。
いま、この課題の”置き場所”が変わりつつあるのかなと感じます。
これまでの置き場所は、「いかに欲求・欲望を満たすか」だったとおもいます。
もっとこれが欲しい等、もっと、もっと、もっとを満たすためにはどうするか?の状態です。
結果、人は蝕まれ、社会は荒み、自然は限界に達しつつあるのが現在の姿です。
これは、欲望以前の「生存」に関わる極めて深刻な根本的課題といえます。
こうなると、課題の置き場所を変えようとする潮流が必然的に起こります。
その潮流こそが、本書のテーマである”エシカル・ビジネス”です。
エシカルとは、人、社会、自然環境に配慮すること。
「サスティナブル」「SDGs」「ESG投資」などの関連する概念とともに、耳にする機会が増えてきたと感じているとおもいます。
「この商品のここが凄いから買ってください!」から、「この商品の社会貢献度に共感いただけたら賛同/応援(=購入)してください」へ。
この潮流の変化をど真ん中で感じながら、最前線を歩んできたのが著者です。
だからこそ生まれる等身大の”リアル”な言葉・空気を感じられる点が、本書最大の価値です。
時代の変遷から、起業のステップまで。
豊富な事例とともに、エシカル・ビジネスの”リアル”な息吹きを感じることができます。
「あなたの感じている違和感のなかにこそ、社会課題が潜んでいる」
著者のこの言葉が、エシカルを考えるハードルを下げてくれるようで、とても印象に残りました。
◆自分と社会は繋がっている。
ファッションの仕事で世界を変える
白木夏子 筑摩書房 2021-9-9
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■【要約】15個の抜粋ポイント
この世界は、いますぐ一人ひとりが動き出さなければ破滅してしまう。
桃井さんから発せられたこのひとことで、わたしは雷に打たれた感覚に陥りました。
インターンの仕事が休みの日に、ハノイ中心部にあるお気に入りの鞄屋さんを見ていた時のこと。
わたしが訪れていたのはビーズの刺繍がとても素敵なイパニマという鞄ブランドで、このブランドの創業者である香港人のクリスティーナがたまたま店舗に来てスタッフと楽しそうに会話をしている場面に遭遇しました。
(略)
このブランドのことを調べていくうちに、刺繍をしているのは手先の器用なベトナムの女性たちであることを知りました。
女性に雇用を生み出し、国際協力と銘打ってはいないながらも、皆で良いものをつくり上げているその姿に感動すら覚えました。
二〇一三年四月、バングラデシュの首都ダッカ郊外の八階建ての縫製工場「ラナ・プラザ」が崩壊しました。
犠牲になったのはこの縫製工場で働く人びと、その数は約一一三〇名、負傷者は二五〇〇名以上にものぼり、ファッション業界史上最悪の出来事としてニュースでも大々的に報道されました。
TONY’S(オランダのチョコレートブランド)のビジョンには、「世界中のチョコレートを一〇〇%奴隷を使わないチョコレートに」と明記されており、これを手にとった消費者は、まずカカオ豆の生産に奴隷が使われているの?と思い巡らせることになるうえに、そうしたチョコレートがまだこの世のなかに存在していることに衝撃を受けることになるかと思います。
またTONY’Sのチョコレートを購入することで、このアクションに協力することになるため、周囲の人からの共感と支持も増えることでしょう。
二〇一二年にファッション・デザイン業界最大級の合同展示会roomsが、画期的な取り組みをはじめました。
(略)
エシカルやサスティナビリティをテーマにしたブランドを集めたエシカルゾーンの展開が始まったのです。
エシカルゾーンは初回は数ブランドであったものの、ファッションやデザイン業界の感度の高い方々には非常に好評だったようで、その後もエシカルやサスティナビリティにかんする取り組みについての問い合わせや協業の依頼が後を絶たないそうです。
また、年々自然素材やオーガニック、社会課題の解決を目的としたエシカル・ブランド設立も増加しており、バイヤーやセレクトショップ、クリエイティブ業界での知名度はこの数年で革命的に大きく変化して行きました。
わたし自身の行動指針として、自分が手がける仕事やプロジェクトは、すべて「この世界をより良い状態にする」という理念があります。
HASUNAブランドが大きくなれば大きくなるほど、製品をつくればつくるほど、この世のなかが素晴らしい場所になったら良いと心から思っています。
皆さんは、何に違和感を覚えますか?
じつは、違和感を覚えるところに、社会課題が潜んでいることが多いのです。
何事も、立場が変わったとしても、無理をしない、相手に合わせず自分の軸を守る、というのが大切なのだなと思います。
自分の心地よさや人とのちょうどいい距離感が皆それぞれにあります。
それでもがんばりたいという欲求は止めませんが、だからといって心を壊してまで無理をする必要もないのです。
社会貢献を仕事にするにはさまざまな方法があります。
働いて多くの税金を納めたり、慈善団体に寄付をしたり、企業内でSDGs推進の部署で働いたり、エシカル・ファッションやHASUNAのようなエシカル・ジュエリーの会社で働くこと、NGOやNPO、国連等の国際機関の職員として働くことや、公務員として国のために働くことも社会貢献と言えるでしょう。
社会貢献につながる仕事は多岐にわたります。
●エシカル・ビジネスの起業ステップ
①どの社会課題を解決したいかを明確にする
②現状把握する
③マネタイズできる仕組みを考える
④事業計画書の作成
自分が諦めないで臨める分野の仕事と業務内容(感情面)、お金がまわせる仕組み(ビジネス面)の両方を組み合わせ、マネタイズを考えていくことがとても大切です。
事業計画ができたら自分で起業したことのある人にレビューをしてもらいましょう。
これから一〇年、二〇年先をどんな世界にしたいかをワクワクしながら考えてみてください。
■【実践】3個の行動ポイント
【1713-1】映画『ザ・トゥルー・コスト』を鑑賞する
【1713-2】日々の生活で違和感を感じたら書き留める
【1713-3】「自分が理想とする社会」を自由に書き出してみる
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】ファッションの仕事で世界を変える
【著者名】白木夏子 ・ 著者情報
【出版社】筑摩書房
【出版日】2021/9/9
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】社会貢献を考えるきっかけに
【キーワード】働き方、社会、生き方
【頁 数】208ページ
【目 次】
第1章 起業を志すまで
第2章 エシカル・ファッションの時代と世界の歴史
第3章 日本のエシカル・ムーブメント
第4章 インクルーシブな社会をつくる
第5章 内気な子どもがビジネスを興すまで
第6章 エシカル・ビジネスを起業したい君へ!ー基礎知識編
第7章 のぞいてみよう、こんな人のこんな起業!ー実例編
この本が、あなたを変える!
ファッションの仕事で世界を変える
白木夏子 筑摩書房 2021-9-9
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
白木夏子さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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