【書評:1714冊目】会って、話すこと。(田中泰延)

【テクニックを捨てることで会話は上達する!】
コピーライター・田中泰延氏が、『会って、話すこと。』と題して、コロナを経験した今だからこそ「会って、話す」を問い直しながら、本質的な会話術を伝授する一冊。

■書籍の紹介文

人と会って、話すこと。
あなたにとって、どんな意義がありますか?

 

本書は、「人と会って話す」という”当たり前”を奪われる経験をしたコロナの今だからこそ、そもそも人間にとって会話とはなんなのか、会話の本質について語る一冊。

 

「自分のことはしゃべらない。」
「相手のことも聞き出さない。」

 

本来、会話とはここからはじまるものだ。
もし、このように言われたらあなたはどのようにおもいますか?

 

会話にならないじゃん、なに言ってるのかわからない、・・・。
ほとんどの人が、否定、というか困惑を浮かべるでしょう(わたしも「?」が浮かびました)。

 

ただ、安心してください。
なぜなら、そういう人にこそ響く内容の本だからです。

 

今の時代、書店にいけば無数に”会話術”の本が溢れています。
それだけ、人は会話を上達させる”テクニック”を求めて彷徨っているわけです。

 

しかし、この本を読み進めていくにつれ、ハッ!とさせられます。
「そもそも会話ってなんなの?」と考えた経験がほとんどなかったことに。

 

当たり前すぎてというもっともらしい逃げ口実が、すぐに浮かぶ自分もイヤになります。
本質を考えずにテクニックばかり求める、まさに逆ピラミッドをせっせと築いていたわけです。

 

土台が定まらないから、築けば築くほどグラグラと不安定になる。
不安定になるから、余計に不安に襲われて、さらならテクニックを積み上げる。

 

こいつはなんと滑稽なことを繰り返しているんだろう(笑)。
読み進めるうちに、そう自分を見つめているもう一人の自分の姿を感じることができます。

 

はっきり言って、中年のおじさんのしょうもない話(会話)が続く本です。
「なんだこの本?」とイラッとして閉じたくなるかもしれません。

 

でも、ぜひ最後まで閉じずにおじさんの話を聞いてください。
「しょうもない」の先にこそ、「会話とは?」「会って話すとは?」という原点(土台)があり、それに手が届きそうな感覚が得られるからです。

 

あとは、自分自身で「しょうもない」話をしていくだけです。
経験を積むにつれ、「会って、話すこと」でどんどんと人生の景色が変わっていくでしょう。

 

◆強烈な経験をした今こそ、原点回帰!

会って、話すこと。
田中泰延 ダイヤモンド社 2021-9-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント

・わたしの話を聞いてもらわなければならない
・あなたの話を聞かなければならない
最初に、その2つの考えを捨てたら楽になる。
そしてそれこそ、わたしが会話において、ずっと意識してきたことなのだ。

 

ちょっとした「知っていること」を言えばいいのだ。
相手を感心させようとか、知識をひけらかそうというのではない。
それに応じて相手がもし、さらに「知っていること」を重ねれば、そこから話は転がっていく。
何か知ってることを話そう。

 

相手と、自分の、「間に発生」したことをたのしむ。
前ではない、上を向いて話そう。
あさっての方向に話を持っていこう。
そうすることで、あなたは対人関係の息苦しさや、話の続かない気まずさから少しだけ楽になれるはずだ。

 

「ツッコミ」は不要なのである。
じつは、「ツッコミ」は漫才や落語などの【舞台演芸上の職務】であって、現実の会話にはまったく必要がない。
(略)
「ボケ」には「ボケ」を重ねる、会話の楽しさはこれに尽きる。

 

ツッコミの正体は「マウンティング」なのである。

 

審査員になってはいけない。
依頼されてもないのに他人を裁いてはいけない。
あなたが他人に対してすべきは、さらにおもしろくするように話をつなぐか、できそうにないなら「ただ笑う」、それだけでよいのだ。

 

会話にオチはいらない。
理想の会話とは、ボケにボケが重なって、もはや何について語っているかわからなくなる状態であり、会話の参加者全員が「今、なんの話をしてたんだっけ?」という状態になることである。

 

日常会話でもSNSでも、大事なのは、「今これを言うべきか、言わざるべきか」に関して4秒間、考えることだ。
「言わなくてもいい」と判断して言わなければ、災厄は降りかかってこない。
会話術は沈黙術でもある。
ちなみに4秒間に根拠はない。

 

発言することは、勢いよくドアを開ける行為なのだ。
あなたは会話するとき、想像力を働かせなくてはならない。

 

エトスなき会話は虚しい。
もし、あなたがだれかになにかを伝えようとするなら、世界をどう捉え、世界とどう向き合うか、つまり哲学を持たなければならない。

 

あなた自身が機嫌よくしていれば、あなたにとっての世界は機嫌がよいのだ。
あなたができる最も身近な社会貢献とは、よい言葉とよい笑顔である。

 

「ちょっと話があるんだけど」でも「会議室に来なさい」でも「一瞬いい?」でもいいが、相手が応じてくれたら「忙しいところありがとう」と、まず謝意を述べる。

 

人は、人と会いたい。
人間は、対面したときに生じる「自分と相手の間に生まれる何か」を感じたいのである。

 

別々に生まれたという冷徹で険しい真実を確認し合うからこそ、人間は初めて「他者」と出会い、共感し、連帯できる可能性を見出すのではないか。
その時はじめて、向かい合っていた視線は同じ彼方を見ることができる。
人間は会話によって風景を発見するのだ。
これこそが会話がたどりつく約束の地なのではないか。
その瞬間、人間は人間に本当の敬意を抱くことができる、わたしはそう思う。

 

他人と話す前に、「自分と話せ」ということだ。
まず、自分自身が自分と楽しく会話できなければ、他者と会話することはできない。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1714-1】「今これを言うべきか、言わざるべきか」を発言の前に考える

【1714-2】相手が会話に応じてくれたら、まずは御礼をいう

【1714-3】自分と楽しく会話できるように訓練する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】会って、話すこと。
【著者名】田中泰延著者情報
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2021/9/15
オススメ度★★★★★
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード人間関係話し方自己対話
【頁 数】272ページ
【目 次】
序章 なぜ「書く本」の次に「話す本」をつくったのか?
第1章 なにを話すか
第2章 どう話すか(とっかかり編)
第3章 どう話すか(めくるめく編)
第4章 だれと話すか
第5章 なぜわたしたちは、会って話をするのか?

 

この本が、あなたを変える!

会って、話すこと。
田中泰延 ダイヤモンド社 2021-9-15
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田中泰延さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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