【書評:1833冊目】アメリカの高校生が学んでいる経済の教室(デーヴィッド・A・メイヤー)

【学問は世の中の見え方の解像度をあげる!】
米国の教育コンサルタント/デーヴィッド・A・メイヤー氏が、『アメリカの高校生が学んでいる経済の教室』と題して、身につけるべき一生モノの経済の基本を指南する一冊。

■書籍の紹介文

経済ニュースで流れる専門用語。
その意味をきちんと理解できていますか?

 

本書は、世界の覇権を握る超大国アメリカ、その高校教育の現場で実践されている、お金の流れと世の中の仕組みといった一生モノの経済の基本を指南する一冊。

 

世の中には無数の”学問”が存在します。
その中でも、経済学ほど、わたし達の生活に影響を与える学問はないのではないでしょうか。

 

仕事で得る”給与”、売買を決める”価格”、などなど・・・。
経済学なくして、わたし達の社会は説明ができません。

 

ところが、そんなにも生活に密接している経済学に対するわたし達の理解度。
残念ながら充分とはいえません。

 

もちろん、重箱の隅を突くような専門家になれというわけではありません。
ですが、世の中のお金の流れや仕組み、経済の問題はなぜ起こっているのかを、なんとなくでも理解できる”眼”を持つ必要はあります。

 

こう聞くと、「バカにするな!なんとなくは理解できている!」とおもわれるかもしれません。
そんな人にこそ、本書を読んでいただきたいです。

 

アメリカでは、”高校生”レベルで「ここまで」のレベルに達しています。
失われた30年などと言っているうちに、アメリカの覇権がより盤石になった理由の一旦をみているように感じます。

 

学問を身につけると、その分野を見る目の”解像度”があがります。
”解像度”があがると、変化に気づきやすく、いち早く対応できるようになります。

 

要するに、教育水準によって、その社会全体が”解像度”高く進んでいくことができます。
これはそのまま国力に直結します。

 

経済成長でもっとも大切な要素は「人的資本」です。
つまり、わたし達ひとり一人が投資対象に値するレベルにならなければ、日本の成長もないのです。

 

経済成長がなければ、豊かさへの選択肢は狭まります。
お金で幸せは買えないがお金があることで幸せの選択肢は多くなる、の論理とまったく同じです。

 

まずは、経済の基礎を本書から。
きちんとした土台を築かなければ、立派な家は建ちません。

 

◆社会を見る目の”解像度”を上げろ!

アメリカの高校生が学んでいる経済の教室
デーヴィッド・A・メイヤー SBクリエイティブ 2022-2-2
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■【要約】15個の抜粋ポイント

経済学とは、個人、組織、社会が、希少性をどう扱うかを研究する学問だ。
希少性を前にした人間はとても興味深い行動をとる。

 

自発的で自由な取引は双方の利益になる。
つまり、「富」を創造するということだ。
そして富とは、自分が所有するすべてのものの価値の合計を意味する。
それ以上でも、それ以下でもない。
この考え方は大切なので、よく覚えておいてもらいたい。

 

どんな見た目をしていようとも、お金の機能は決まっている。
それは「交換の手段」、「価値の保存」、そして「価値の尺度」の3つだ。

 

お金が最高の力を発揮するには、次のような特徴を備えている必要がある。
「携帯性」、「耐久性」、「分割可能性」、「安定性」、そして「一般受容性」だ。

 

需要と供給が一致すると、とても興味深いことが起こる。
それは「価格」の誕生だ。

 

競争の美点の1つは、消費者に届ける価格が下がることだ。
しかし生産者にとっては、この美点が逆に呪いになってしまう。
価格が下がると、たいてい利益も減少するからだ。
競争か、それとも協力かという選択肢を与えられたら、利益の最大化を目指す企業は協力を選ぶことのほうが多いだろう。

 

債券市場は投資家が政府や企業にお金を貸す場所だが、株式市場は、投資家が「株式」を購入するという形で企業の所有権の一部を手に入れることができる場所だ。

 

金融機関がお金を貸し渋ったり、家計や企業が将来の不安でお金を使わなくなったり、政府が財政支出を拒んだりすると、経済が止まってしまう恐れがある。
実体経済の流れは、あらゆる面で収入と支出という循環に敏感に反応しているのだ。

 

反GDP派によると、森林破壊、気候変動、公害といった環境問題は、GDP偏重という近視眼的な態度の当然の結果だ。
一方でGDPを擁護する人たちは、実質GDPが成長して豊かになったからこそ、人々が環境のことを心配する余裕ができたのだと主張する。
たしかに現在のところ、実質GDPが高い国ほど環境問題に敏感であり、実際に環境を保護するための活動を行っている。

 

経済学者のアーサー・オーカンによると、公式の失業率が自然失業率を1%上回るごとに、実際の実質GDPと潜在的な実質GDPの間に2%の開きができるという(潜在的なGDPとは、今ある生産要素を最大限に使ったと仮定した産出量のこと)。

 

インフレは低所得の人ほど打撃を受けるとされている。
低所得の人は、高所得の人に比べ、資産の中で現金の占める割合が高い。
高所得の人も当然ながら現金は持っているが、資産の多くを他の金融資産や実物資産の形で持っている。
インフレになると現金の価値が下がるので、資産をほぼ現金で持っている低所得者が大きな打撃を受けることになるのだ。
高所得の人は、たとえ現金の価値が下がっても、インフレで現金以外の保有資産が値上がりすれば、現金での損を埋め合わせることができる。

 

経済の供給サイドを無視していると、経済政策が偏り、最終的に政府には「総需要を増やす」と「総需要を減らす」という2つの選択肢しか残らなくなってしまう。
総供給の役割も理解していれば、経済目標を達成するための道具を増やすことができるのだ。

 

金融政策の目標は、物価の安定、完全雇用、そして経済成長を促進することだ。

 

経済成長でもっとも大切な要素は「人的資本」だ。
人的資本とは、人間が持つ教育、スキル、能力を資本とみなして投資の対象とする考え方だ。
人的資本への投資が大きい国は、同じような条件で人的資本への投資が少ない国に比べ、経済成長が大きくなる傾向がある。

 

環境と経済は、お互いに相容れないわけではない。
環境の目標も、経済の目標も、どちらも達成することができる。
どちらか一方だけが犠牲になる必要はない。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1833-1】経済指標を記録する

【1833-2】気になる経済ニュースを記録する

【1833-3】記録した情報の背景を経済学に照らして深掘りする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】アメリカの高校生が学んでいる経済の教室
【著者名】デーヴィッド・A・メイヤー
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2022/2/2
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード教養社会ビジネス理論
【頁 数】416ページ
【目 次】
第1章 なぜ、経済学を学ぶのか
第2章 取引の基本
第3章 経済システムの基本
第4章 お金の流れと社会の基本
第5章 銀行の基本
第6章 需要と供給の基本
第7章 市場の基本
第8章 不完全競争市場の基本
第9章 政府と市場の基本
第10章 金融市場の基本
第11章 外国為替と国際収支の基本
第12章 経済活動の基本
第13章 国内総生産(GDP)の基本
第14章 失業の基本
第15章 インフレーションの基本
第16章 マクロ経済学の基本
第17章 金融政策の基本
第18章 経済成長の基本
第19章 環境と経済の基本

 

この本が、あなたを変える!

アメリカの高校生が学んでいる経済の教室
デーヴィッド・A・メイヤー SBクリエイティブ 2022-2-2
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デーヴィッド・A・メイヤーさん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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  1. 2022年 4月 12日

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