【言葉に価値を置くうちは、心は乱れる!】
公認心理師・みきいちたろう氏が、『他人の言葉をスルーする技術』と題して、言葉に振り回されるメカニズムを解明しながら、身につけるべき”スルースキル”を指南する一冊。
■書籍の紹介文
心の中にずっと刺さっている言葉。
あなたには、なにかありますか?
本書は、他人やその言葉とどう向き合い、どう処理すれば、心は振り回されずに済むのか、心理メカニズムを紐解きながら実践的なテクニックを指南する一冊。
「言葉は大事である」。
この言葉は、親や教師の教えから書籍の教えまで、絶対的な価値を持ってわたし達に染みついています。
そこにあって、本書で著者が提唱すること。
それは、「言葉にはたいした価値がない。だからそんな言葉はスルーしていい」です。
まさに、真逆の主張。
この強烈な違和感が、本書への好奇心を湧きたててくれます。
たしかに、他人のいうことをすべて大事にしていたら、身が持ちません。
さらにいえば、人がいうことは、人によって違います。
それを、自分のためをおもって言ってくれたのだからと大事にしていたら・・・。
みぎにひだりに心は振り回されることになってしまいます。
こうならないためには、どうすればいいのか。
と考えると、著者のいう「スルーする」ことの存在感が増します。
しかし、他人のいうことを文字どおり「スルー」してしまったら・・・。
コミュニケーションは成り立ちませんよね。
「スルーする」けれど、コミュニケーションは成立させる。
ここを理解できたとき、他人に振り回されない”スルースキル”が身につくのだとおもいます。
安心してください。
本書を読み終わる頃には、この禅問答のような矛盾は解消され、”スルースキル”の姿を捉えることができます。
あとは、捉えた姿を逃さずに自分のものにするだけです。
くり返し本書に立ち戻りながら、他人に振り回されない「自分」を確立しましょう。
◆心に他人の言葉を留めない。
他人の言葉をスルーする技術
みきいちたろう フォレスト出版 2022-3-9
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■【要約】15個の抜粋ポイント
他人の言葉に振り回されるのは、あなたにとっての言葉の位置づけがおかしくなってしまっている。
それほどの価値はないにもかかわらず、神棚にあるかのように言葉の価値が高くなってしまっている。
不吉な言葉が実現するような神通力があると映ってしまっているのです。
そして、他人も実態以上に価値が膨れ上がった「言葉」を利用して、あなたを意識、無意識に振り回そうとするのです。
どうやら私たちが他人に振り回されなくなるために、さらにスルースキルを身につけるためには、その「前提」を捉え直してみる必要がありそうです。
疑いようもない前提に見える「他人の話を聞くことが大切」といったことについて、しがらみのないまなざしで、その実態を明らかにする必要があります。
言われた言葉が何十年経ってもスルーできないのは、発言者が「まともだ」という前提がそこにあることが大きな原因の1つと考えられます。
不全感を抱えていないように見える健康な人でも、公的領域が乱れると、容易に不安定になってしまいます。
とくに睡眠不足、栄養不足、運動不足の状態、あるいはストレス過多の状態になると心身の安心安全さは低下し、それによって公的な領域の力は下がります。
「不全感」とは過去からの未解消のストレス(≒トラウマ)ということです。
睡眠や栄養、運動不足、仕事や生活のストレスなど、現在のストレスに加えて過去からのストレスが加わると不安定になりやすい度合いは加速します。
もっともらしい「言葉」の裏には実は不全感が隠れていることを感じ取れなければなりません。
「言葉」には物質的なものを超える力はなく、メンタルトレーニングの目標とは、「言葉」を身体と技術の下位に置くためのものと言えるかもしれません。
言葉に振り回される、という現象の裏には、見捨てられ不安といった、もともとその人に内在する不安や恐れといったものが存在しています。
見捨てられ不安といった不安や恐れというのは、愛着不安(愛着障害)、トラウマ、といったものから生じます。
人間にとって一番つらいのは、なにももらえないことです。
なにももらえず空虚なくらいなら否定的な評価でもなにかしらの言葉をもらえれば、一時的な安定を得ることはできます。
こうした背景があるために他人の言葉を求めてしまい、言葉をスルーすることができなくなってしまうのです。
客観的であろうとすると、自分の中の基準が信頼できず、常に正しい基準が外部にあって、それに従わなければならないという考えに縛られてしまいます。
言葉に振り回されなくなる、スルーする技術(スルースキル)を身につけるとはなにかと言えば、人生の中でさまざまな原因によって奪われてしまった「自分の言葉」を取り戻すということです。
自分の価値観や職分から言葉を取捨選択することは当然のことです。
相手に呑み込まれずに、「私(自分)」というものを持っていれば自然となされる行為であるということです。
言葉はあなたが解釈し、あなたが価値を決めるものです。
もっと気楽に、もっと自由に言葉を扱ってよいのです。
そうしてこそ言葉には命が宿ります。
「自分の文脈」を意識することです。
日常での言葉のやり取りの構造を理解し、「自分の文脈」を意識しているだけでも変化していきます。
「自分の文脈」とは、あなた自身の価値観や知識、考え方のことです。
他人のデタラメな言葉でつくられた”自分”というものは、およそ本来の自分とは言えません。
「自分の文脈」を持つためには、こうした過去に自分が受けた言葉についても洗い出して取り除く必要があります。
具体的には、「私は○○だ」「自分は○○だ」という自分の中にある自分を規定する言葉をノートに書き出してみてください。
誰から言われた言葉かも明らかにします。
■【実践】3個の行動ポイント
【1825-1】大事にしている言葉を書き出し、改めて大事にすべきか考えてみる
【1825-2】心技体ではなく、体技心を意識する
【1825-3】自分を規定する言葉を限界まで書き出す
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】他人の言葉をスルーする技術
【著者名】みきいちたろう ・ 著者情報
【出版社】フォレスト出版
【出版日】2022/3/9
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】明日の人間関係を良くしたいときに
【キーワード】メンタル、心理学、自分事
【頁 数】250ページ
【目 次】
1 他人の言葉に振り回され、傷つく人たち
2 言葉の価値が重くのしかかる理由
3 言葉には本当はたいした価値はない
4 振り回されやすさのメカニズム
5 言葉はスルーしてはじめて命が宿る
6 もう他人の言葉に振り回されない!
この本が、あなたを変える!
他人の言葉をスルーする技術
みきいちたろう フォレスト出版 2022-3-9
Amazonで探す Kindleで探す 楽天で探す
みきいちたろうさん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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