【書評:1810冊目】伝わる仕組み(藤井貴彦)

【伝える準備×伝える仕組み=相手に伝わる】
日本テレビアナウンサー・藤井貴彦氏が、『伝わる仕組み』と題して、自分の真意をどう伝えるかを考え続けてたどり着いた、相手の反応が変わる51のルールを指南する一冊。

■書籍の紹介文

思いどおりに伝えるのは大変だな。
こう感じるような経験をしたことありませんか?

 

本書は、「伝える」ことと長年向き合ってきた著者が大切にする『伝わる仕組み』のなかから、実用性の高い51のルールを指南する一冊。

 

口は災いの元。
このようなことわざがあるように、わたし達は言葉を発すると問題に直面することになります。

 

真意は別のところにあったとしても、相手を傷つけ、自分もそれ以上に傷つく。
永遠に尽きることがないようにおもえるほど、コミュニケーションの悩みはつぎつぎと湧き上がってきます。

 

そんな世界に在りながら、「伝える」ことと日々向き合い続ける仕事をしている。
それが、アナウンサーである著者です。

 

長時間の生放送、目まぐるしく変わる状況、ミスの許されない緊張感、言葉を出し続ける持久力。
発する言葉は衆人監視、一瞬にしてさまざまな反応(誹謗中傷含め)が大きなうねりとなって返ってくる恐怖感・・・。

 

すこし想像するだけでも、胃が痛くなってくる環境での仕事。
そのなかで、著者は「言葉が響く」「心に届く」アナウンサーと称され”信頼”される存在です。

 

悪意ある言動や誹謗中傷が蔓延する現代社会。
賛否渦巻く話題を扱うことが多いニュース番組のアナウンサーは、格好の標的になりそうなものです。

 

にも関わらず、”信頼”される裏側にはどんなプロの仕事があるのか。
それを明らかにしたのが本書です。

 

著者が築き上げてきた『伝わる仕組み』。
この仕組みを紐解きながら、コミュニケーションで起こる問題への解決のヒントを提示していきます。

 

仕組みやルールですので、だれでも真似できる実用性の高い方法ばかりです。
いま抱えている一番大きな悩みの解決に役立ちそうなルールから、どんどん真似ていきましょう。

 

◎言葉を試着する
◎説明する内容の「ショートムービー」を脳内作成する
◎伝える量はいつも腹八分

 

標語のように頭に残りやすいフレーズが随所に出てくるので、脳内に定着させやすいのも使い勝手の良さを感じます。
そのため、51個という数の多さはほとんど気にならず読み進められます。

 

著者のルールを試して、気づいたことを大切に自分オリジナルの『伝わる仕組み』を構築する。
構築が進むごとに、コミュニケーションが楽になっていくことでしょう。

 

◆だから、伝わる。

伝わる仕組み
藤井貴彦 新潮社 2022-2-16
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■【要約】15個の抜粋ポイント

何かを伝える時に私が実践しているのは「言葉を試着する」ということです。
もし、誰かからその言葉を言われたらどんな思いになるか、自分にあてがってみるのです。

 

大切なのは、「聞いてほしい」という思いを表すことです。

 

相手の答えやすい質問から順番にしていくと相手の体温が上がってきます。
その途中で、趣味が同じだったり、共通の友人がいたりした場合には、その瞬間から「体温」がすっと上がって何の心配もなくなります。

 

自分のための緊張を減らすことが、緊張と向き合う上で大切なのです。

 

「説明が苦手」という皆さんに試してほしいことがあります。
それは自分の説明するものの「ショートムービー」を脳内で作成してから言葉にするということです。
その映像に「導かれて」言葉が出てくるようになります。

 

相手の立場で、スピード調整できるかどうか。
それが伝わる仕組みの根幹です。

 

職場でのコミュニケーションや後輩へのアドバイスにおいて「ルール作り」は、とても大切です。
例えば私は、番組に新しく加入してきた後輩に対してこんな風に伝えています。
「これから厳しいアドバイスをするかもしれないけれど、一緒に仕事ができる時間はそれほど長くない。あなたの成長のために言えることは言うので、このやり方が苦手だったら遠慮なく言ってほしい」

 

また、ちょっとした「ゴール作り」をしておくことも効果があります。
(上記)エピソードの「一緒に仕事ができる時間は長くない」と伝えた部分です。
厳しいアドバイスは永遠に続くわけではないから聞いてくれというわけです。

 

どんなにおいしい食事でも、食べ過ぎてしまっては良さが半減します。
みなさんが誰かにメッセージを伝える時も同様で、相手の腹八分を意識すると伝わりやすいと感じています。

 

お願いというとメリットのある、なしで判断されがちですが、時間と経験の貸し借りから信頼やリスペクトを育むこともできます。

 

何かを説明する時に、私がまず手を付けるのは「伝えたいことの箇条書き」です。
伝えたいことを思いつくままに書き出して、その優先順位をつけます。
そしてその優先順位の「高いものから順番に」伝えていきます。

 

司会とは「会を司る」「会をコントロールする」という意味ですが、ここに沈黙回避の答えが隠れています。
サッカーで言えば誰かにパスを出すだけでいいのです。
例えば、こう聞いてみてください。
「これ、田中さんはどう思いますか?」
無理やりシュートを打とうとする必要はありません。
ずっとパスを出していればいいのです。

 

会話が始まる前に今日の本題を確認し、「今日は、これを目的にしていますので皆さんご協力ください」と伝えるのです。
(略)
「脱線から戻りましょう」と言いやすい環境を整えておくこと、これが大切です。

 

他人がカチンと来ている姿は滑稽に見えます。
自分自身がそうならないように、ご自身に合わせたマイルール(注:著者は「カチンときたら、感謝する」)を作ってみてはいかがでしょうか。

 

冷静すぎてもだめ、熱すぎてもだめ。
冷静と情熱の少し情熱寄りにいることが、気持ちの伝わる仕組みなのではないかと思っています。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1810-1】何かを伝えるときは、事前に「言葉を試着する」確認をする

【1810-2】何かを伝えるときは、まずは「伝えたいことの箇条書き」をする

【1810-3】実践と本書を参考に、自分なりの「伝わるルールブック」をつくる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】伝わる仕組み
【著者名】藤井貴彦著者情報
出版社新潮社
【出版日】2022/2/16
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード話し方伝える苦手克服
【頁 数】192ページ
【目 次】
1部 コミュニケーションに必要な、優しさとタフさ
2部 誰かを大切にすることで、自分を磨く
3部 あなたの弱点に隠れている、大きな可能性

 

この本が、あなたを変える!

伝わる仕組み
藤井貴彦 新潮社 2022-2-16
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藤井貴彦さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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