【書評:1507冊目】上級国民/下級国民(橘玲)

【令和の不愉快な事実】
作家・橘玲氏が、『上級国民/下級国民』と題して、国内外で社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動と提起し、急速に進行する分断の正体を考察する一冊。

■書籍の紹介文

あおり運転など、昨今の特徴的なニュース。
日本の社会がおかしくなっていると感じませんか?

 

本書は、上級国民と下級国民の分断は、個人の努力が無意味なほどの”冷酷な自然法則”によるものだと提起し、急速に進行する”分断の正体”を考察する一冊。

 

平成の30年間に、日本社会で起きた「不愉快な事実」をデータとともに明らかにします。
そのうえで、令和の日本がどのような社会になっていくのかを考察していきます。

 

テクノロジーやグローバル化の進歩によって、世界は”総体としては”ゆたかになり、人々は”全体としては”幸福になった。
しかし、引き換えに、先進国のマジョリティが「上級国民/下級国民」へと分断された。

 

この大きな潮流のなかで、トランプ大統領の選出・イギリスのEU離脱・欧米各地のデモは起きているのです。
つまり、大きな潮流に先進国のマジョリティが動揺して、下級国民が上級国民に抗議行動に出ているのです。

 

ワイドショーネタとしての安っぽい上級国民/下級国民論とはまったく異なる内容。
進化論や文化人類学など、あらゆる側面から『分断の正体』に迫っていく重厚なつくりです(新書とは思えないほど!)。

 

わたし達がどのような社会を生きており、どのような潮流のなかにいて、これからどこへ向かうのか。
この予測ができれば、時代を生き延び、幸福な人生を手に入れる方法が見つけられるかもしれません。

 

個人で変えられない潮流に逆らっても展望はひらけない。
変わらない潮流のなかでどう生きるのかを考えるのに、とても有用な一冊です。

 

◆令和の時代は、天国か?地獄か?

上級国民/下級国民
橘玲 小学館 2019-8-1
売上ランキング(公開時):51
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■【要約】15個の抜粋ポイント

平成の30年間をひと言でまとめるなら、「日本がどんどん貧乏くさくなった」です。

 

日本経済が低迷をつづけた30年のあいだに、グローバル化の恩恵を受けて、中国・インドを筆頭に新興国が国民のゆたかさを大きく伸ばしました。
訪日観光客が増えて喜んでいますが、これはアジアの庶民にとって日本が「安く手軽に旅行できる国」になったからです。
すべての日本人が、まずはこの「不愉快な事実(ファクト)」を直視すべきです。

 

日本のサラリーマンが世界(主要先進国)でいちばん仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界でいちばん長時間労働しており、それにもかかわらず世界でいちばん労働生産性が低いということになります。
これがかつての経済大国・日本の「真の姿」です。

 

平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための30年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための20年になる以外にありません。

 

この持久戦に耐え抜けば「下級国民」があふれるより貧乏くさい社会が待っており、失敗すれば日本人の多くが難民化する「国家破産」の世界がやってくる。
これが、私たちが生きることになる令和の日本なのでしょう。

 

教育の本質は「上級/下級」に社会を分断する「格差拡大装置」であることを、福沢諭吉は正しく理解していたのです。

 

大きな金融資本を持っている富裕層や、大きな人的資本から高い報酬を得ているエリート・ビジネスパーソンは、金融資本や人的資本を持たないひとたちに比べて幸福度が高いでしょう。
そのように考えれば、大きなエロス資本を持つ若い女性が、エロス資本を持たない(あるいはほんのすこししかない)若い男性に比べて幸福度が高くても不思議はありません。

 

男が「階級」を過剰に気にするのは、それが「モテ」に直結するからです。
あらゆる調査が明らかにしているように、女がモテる最大の要素は「若さ」で、男の場合は「カネと権力」すなわち共同体内での地位です。

 

50歳時点でいちども結婚したことのないひとの割合が生涯(50歳時)未婚率ですが、これも男性23.4%に対して14.1%(2015年)とかなりの差があります。
(略)
男女の数がほぼ同数だとするならば、答えはひとつしかありません。
一部の男が複数の女性と結婚しているのです。
(略)
先進国で増えているのは、結婚と離婚を繰り返す「事実上の一夫多妻」です。

 

1960年代以降の「後期近代」の中核に位置する価値観は「自分の人生を自由に選択する」、すなわち「自己実現」です。
そしてこれが「平等」と結びつきます。
なぜそのようになるかはとてもシンプルで、「他者の自由を認めなければ自分の自由もない」からです。
これが「自由な社会」の根本原理です。

 

ますます複雑になる社会のなかで、ひとびとは人間関係に疲れてしまい、プライベートなときくらいは「ひとり」になりたいと思います。
その結果、先進国の都市部を中心に「ソロ化」が急速に進んでいくのです。

 

テクノロジー爆発によってとてつもなくゆたかな「知識社会」が到来すると、ひとびとは共同体のくびきから逃れ、一人ひとりの自由な意思によって自己実現を目指すようになります。
これが「リベラル化」です。
「進化」したテクノロジーは、国境を越えたヒト、モノ、カネの移動を可能にします。
これは「グローバル化」と呼ばれます。
このように、「知識社会化」「リベラル化」「グローバル化」は三位一体の現象です。

 

アメリカの低学歴層の白人の死亡率が高い主な原因はドラッグ、アルコール、自殺で、これは「絶望死(deaths of despair)」と呼ばれています。
彼ら/彼女たちはアメリカの「見捨てられたひとびと」であり、トランプはそれを「発見」して熱狂的な支持者に変えたことで、世界でもっとも強大な権力を手にしたのです。

 

アイデンティティ(共同体への帰属意識)は、「俺たち」と「奴ら」を弁別する指標でもあります。
それに最適なのは、「自分は最初から持っていて、相手がそれを手に入れることがぜったいに不可能なもの」でしょう。

 

知能の生得的なちがいは現代社会における最大のタブーで、これまでずっと「言ってはいけない」とされてきましたが、世界じゅうでポピュリズムが台頭するに及んでいよいよこの問題から目を背けることができなくなりました。
トランプ現象にせよ、イギリスのブレグジットにせよ、ポピュリズムとは「下級国民による知識社会への抵抗運動」だからです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1507-1】生涯学習を継続する

【1507-2】先鋭的な動きの裏に「何があるのか?」に目を向ける

【1507-3】自分を諦めない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】上級国民/下級国民
【著者名】橘玲
出版社小学館
【出版日】2019/8/1
オススメ度★★★★★
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード社会グローバル教養
【頁 数】238ページ
【目 次】
1 「下級国民」の誕生
2 「モテ」と「非モテ」の分断
3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断
エピローグ 知識社会の終わり

 

この本が、あなたを変える!

上級国民/下級国民
橘玲 小学館 2019-8-1
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橘玲さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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