【書評:398冊目】「自分」の壁(養老孟司)

【自分探しは、無意味である。】
東京大学名誉教授・養老孟司氏が、『「自分」の壁』と題して、自分の頭の中にある「壁」を超えることで、新しい思考の次元が見えてくると提起し、自分の殻を破ることを考察する一冊。

■書籍の紹介文

自分はなんのために存在しているのだろう?
こんなことを考えたことはありませんか。

 

本書は、自分の殻を破るためには、自分の頭の中にある「壁」を超えることだと提起し、どうすれば「壁」を超えていけるかを考察する一冊。

 

自分探しはまったくの無駄。
本物の自分よりも、本物の自信を身につけることが何よりも重要である。

 

これが、著者のメッセージです。
昨今の”自分探しのブーム”に一石を投じる内容です。

 

「自分とは地図の中の矢印である」
「自分以外の存在を意識せよ」
「仕事とは厄介な状況ごと背負うこと」

 

このように、著者一流の研ぎ澄まされた言葉が随所に散りばめられています。
言葉を受け止めて考えていくことで、徐々に自分の殻にひびが入っていきます。

 

自分探しは、答えを外に求め続けることになります。
それでは、いつまでも自分は見つかりません。

 

なぜなら、自分は自分の中にあるからです。
これに気づくことこそ、「本物の自信」につながるのです。

 

◆自分の殻を破れ!

「自分」の壁
養老孟司 新潮社 2014-6-13
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■【要約】13個の抜粋ポイント

個性は放っておいても誰にでもあります。
だから、この世の中で生きていくうえで大切なのは、「人といかに違うか」ではなくて、人と同じところを探すこと。

 

自分が世界と一体化するということは、周りに敵や異物が一切ないということ。
(中略)
だから至福の状態になる。

 

人間の脳、つまり意識は、「ここからここまでが自分だ」という自己の範囲を決めています。
その範囲内のものは「えこひいき」する。
ところが、それがいったん外に出ると、それまでの「えこひいき」分はなくなり、マイナスに転じてしまう。
だから「ツバは汚い」と感じるようになるのです。
もうお前は「自分」ではない、だから「えこひいき」はできない、ということ。

 

「自分」とは地図の中の現在位置の矢印程度

 

「個性を伸ばせ」「自己を確立せよ」といった教育は、若い人に無理を要求してきただけなのではないでしょうか。
身の丈に合わないことを強いているのですから、結果が良くなるはずもありません。
それよりは世間と折り合うことの大切さを教えたほうが、はるかにましではないでしょうか。

 

「経済が成り立たない」で思考停止してはいけない。

 

エネルギーについて真面目に考えるつもりならば、人にはどのくらいエネルギーが必要か、という根本の問題から考えないといけません。

 

かつて日本人には「誕生日」がありませんでした。

 

政治を見るときに大事なのは、人の能力をどう使っているかという点

 

日本人同士がお互いに信頼していた時代には、不信から生じるコストが低かった

 

日本が国際化することは、日本人がもっとウソつきになるということ

 

「そんなに言うならやってみな」近頃はこういう言い方をあまり聞かなくなりました

 

親孝行は、子どもに対して「お前はお前だけのものじゃないよ」ということを実は教えていた。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【398-1】人との共通点を探す意識を持つ

【398-2】「共生」の意識をもつ

【398-3】「自分探しの先に何がある?」で思いつくことを書き出す

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】「自分」の壁
【著者名】養老孟司
出版社新潮社
【出版日】2014/6/13
オススメ度★★★★☆
こんな時に自分を見つめ直したいときに
キーワード自己対話考える最高の自分
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 「自分」は矢印に過ぎない
第2章 ほんとうの自分は最後に残る
第3章 私の体は私だけのものではない
第4章 エネルギー問題は自分自身の問題
第5章 日本のシステムは生きている
第6章 絆には良し悪しがある
第7章 政治は現実を動かさない
第8章 「自分」以外の存在を意識する
第9章 あふれる情報に左右されないために
第10章 自信は「自分」で育てるもの

 

この本が、あなたを変える!

「自分」の壁
養老孟司 新潮社 2014-6-13
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養老孟司さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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