【書評:2100冊目】心療内科医が教える本当の休み方(鈴木裕介)

【必要なのは「休み」ではなく「安全な休み」だった!】
心療内科医・鈴木裕介氏が、『心療内科医が教える本当の休み方』と題して、現代人の「休む」に対する誤解を解きながら、本当に心と体を回復させる方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

ストレスを抱えたとき・・・。
あなたは、どのような方法で心身を回復させていますか?

 

本書は、予定のない日や時間を「休み」と認識するのはやめようと提起し、わたし達が本当に必要としている、心と体を回復させる方法=「安全な休み方」を指南する一冊。

 

予定も入れずにしっかりと休んだはずなのに、なんで休み明けの朝からこんなに疲れているんだろう・・・。
疲れているはずのに、休みたいはずのに、うまく寝れない・・・。

 

このような憂鬱とした状況、あなたも一度(何度も?)は経験があるでしょう。
なかには、「ここまで疲れが取れないのは病気かもしれない」と思い悩む人もいらっしゃるかもしれません。

 

そんなわたし達に向けて、著者はいいます。
『「きちんと休む」というのは、非常に高度な技術なのだ』と。

 

予定が入っていない日や時間が「休みの時間」ではない。
時々の自分の状態をきちんと理解し、状態に応じた手順や方法で心と体を回復させることで、はじめて「休み」といえるのだと説きます。

 

そして、そのような休み方を「安全な休み方」と著者は呼びます。
本書では、「安全な休み方」を実践するうえで必要な知識と行動がまとめ上げられています。

 

わたし達は、様々かつ複雑なストレスに晒されながら生きています。
しかも、晒されるストレスの量も、もはや対処しきれん!と叫びたくなるほど増えています。

 

結果、見て見ぬフリをしたり、関わることを避けたりなど、自分を守るための殻を厚くする行動が強くなる。
はたまた、過剰な反応行動をとってしまい人間関係が険悪になる、など良くない傾向の行動の増加につながってしまっています。

 

この状態が続くと、どこかで限界がきてしまいます。
うつ病など、一般的な社会活動をいとなむことも困難な苦しい状況になりかねません。

 

そのような人をたくさん診てきた著者だからこそ、「安全な休み方」をぜひ身につけてほしいと強く語りかけてくれます。
苦しく困難な状況に陥る前に、自分で自分を助けてあげられる人になってほしいという想いがヒシヒシと伝わってきます。

 

自分を守る最後の砦は自分自身です。
本当に心と体を回復させる「安全な休み方」という”技術”、ぜひ習得しましょう!

 

◆話題になるのが納得の良書。

心療内科医が教える本当の休み方
鈴木裕介 アスコム 2023-8-31
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■【要約】15個の抜粋ポイント

人がうまく「休む」ためには、大きく3つのプロセスがあると考えています。
①休みが必要な状態だと自覚すること
②休むことができる環境を確保すること
③自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること

 

何かもやっとしたものを感じたら、いちいちそれに気づいてあげて、記録しておくことをおすすめします。

 

「動けない」ということは、「動きたくない」という身体のニーズがあるということなのですから、「動くべきではない」のです。

 

「本当の休みをとる」とはどういうことなのか。
結論からいうと、私は、
「自らの『身体のニーズ』を把握し、それに応えることで自分自身とのつながりを取り戻し、心身が安全・安心を感じられる状態にすること」
だと考えています。

 

交感神経と副交感神経の健全なゆらぎが失われ、身体が交感神経側に入ったまま戻ってこられなくなったことこそが、現代人のストレス、慢性的な疲れの主な原因である。
よって、ストレスや疲れを取るには、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせるような休み方をする必要がある。

 

まずは一日に5分、10分でも、一週間に1日であっても、「心身が安らげている感覚」を感じられるような時間を手にしていただきたいと、私は考えています。

 

「目指すべき方向性が見えなくなっている」「闘うことの意義が失われている(闘ってもムダ)」という社会全体の変化が、ただ静かにあきらめる、無気力になる、引きこもるという個人レベルでのストレス反応の変化に深く関わっているのではないか、と思うのです。

 

「引きこもる」「シャットダウンする」という身体的な欲求が必要となったときには、むしろそれに積極的に従っていくことで、徐々に活動性を取り戻し、健全な「ゆらぎ」を取り戻すことができやすくなります。

 

●「炎のモード」から抜け出す方法(スローダウン系のコーピング)
・ゆっくりした呼吸をする
・ラベンダーなどの鎮静系のアロマを利用する
・ハーブティーや漢方薬などを利用する
・心を落ち着かせるような、静かな曲を聴く
・温かい湯船につかる
・部屋を暗くする

 

●「氷のモード」から抜け出す方法(アッパー系のコーピング)
・早めの呼吸をする
・レモングラスなど覚醒系のアロマオイルを利用する
・運動や体操など、身体を動かして心拍数を高める
・サウナや水風呂などで、身体に温度刺激を与える
・エキサイトするようなゲームをしたり音楽を聴いたりする
・太陽の光を浴びる

 

●緊張をゆるめるエクササイズ
(1)頭の後ろで両手を組む
(2)目だけを動かして右を見る(30秒〜60秒)
(3)目を中央に戻し、まっすぐ前を見る
(4)目だけを動かして左を見る(30秒〜60秒)

 

●BASIC Ph:6つのチャンネル
・B=Belief(信念・価値)
・A=Affect(感情・情動)
・S=Social(社会的)
・I=Imagination(想像力)
・C=Cognition(認知)
・Ph=Physiology(身体)

 

疲れたとき、ストレスを抱えたとき、困難な状況に直面したとき、危機的な状況に陥ったとき、いつもどのような行動をとっているかを考えることは、自分が優先させているチャンネルを知る手掛かりになるかもしれません。

 

どんなに停滞しているように見えていても、小さな変化は確実に積み重なっているのです。

 

遊び心は人間が人間らしく生きるための知恵だと思います。
どんなときでも忘れずに、大事に携えておきたいものです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2100-1】「緊張をゆるめるエクササイズ」を習慣にする

【2100-2】「今日は何の気分?(昼食は何の気分?など)」と身体に聴くことを意識して行う

【2100-3】童心にかえる時間を習慣的につくる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】心療内科医が教える本当の休み方
【著者名】鈴木裕介著者情報
出版社アスコム
【出版日】2023/8/31
オススメ度★★★★☆
こんな時に心の平穏や導きがほしいときに
キーワードメンタル自己対話人間関係
【頁 数】288ページ
【目 次】
PART1 疲れたけれど休めない人へ
PART2 あなたの心と身体を癒やすカギは「自然なゆらぎ」と「自律神経」にある
PART3 人は「安全」と「安心」を感じると、癒やされ、回復していく
PART4 自分の身体のニーズを知り、適切な回復行動をとろう
PART5 新しい自分が見つかる「BASIC Ph」の話
最終章 「身体と調和する」

 

▼さっそくこの本を読む

心療内科医が教える本当の休み方
鈴木裕介 アスコム 2023-8-31
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鈴木裕介さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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