【書評:2074冊目】イスラムと仲よくなれる本(森田ルクレール優子)

【イメージだけで勝手な判断をしないために】
イスラム教のシンプルライフを広める専門家・森田ルクレール優子氏が、『イスラムと仲よくなれる本』と題して、知ることを主眼に、イスラムの文化や風習を優しく解説する一冊。

■書籍の紹介文

イスラム教(および、イスラム教徒)。
あなたはどんな印象を持っていますか?

 

本書は、仲よくなるために『お互いを知ること』が何より大切だと語りながら、学びたいけどキッカケがない、そのような人に向けて、イスラムの文化や風習を優しく解説する一冊。

 

イスラム教と聞くと、過激派やテロの映像が浮かんでしまう・・・。
悲しいことですが、そのような人が多いのが現実だとおもいます。

 

もちろん、「あんな残酷な行為をするのは、ごくごく一部の愚か者だ」と頭では理解しています。
ですが、あまりにも強烈な映像によって、イスラムの人たちを知らず知らずのうちに”身構えてしまう”意識が形成されているように感じます。

 

しかし、これはとても危険なことですよね。
自分の経験(体験)からくる判断ではなく、勝手に形作られたイメージに自らの判断が左右されることになるからです。

 

このことの危険性は、戦争や弾圧など多くの歴史が証明しています。
昨今社会問題になっている、ネット上の誹謗中傷なども同じことでしょう。

 

この危険性を排除するには、『知ろうとする姿勢/学ぼうとする姿勢』を捨てないことです。
「どんな教えを信じているんだろう?」「どんな考えを大切にしているんだろう?」と知ろうとすることを大切にするのです。

 

知ることができれば、理解することができます。
自分の価値観と同じ部分もあれば、異なる部分もあると整理することができます。

 

これは、宗教に限った話ではなく、人間関係を築くときに当たり前に行っていることと同じです。
「なんだか怖そうだから避けておこう」では、明るい未来はいつまでも来ません。

 

今、世界の人口の1/4はイスラム教徒です。
日本においてもある程度の規模以上の都市なら、頭にヒジャブを巻いている人を見かけるのも、あたりまえの日常風景といった感すらあります。

 

だからこそ、知る(学ぶ)のに良い機会だといえます。
「身近になったイスラムの人たち」と「ニュースで見る残酷な一面」のギャップに違和感を覚える人も増えているのではないでしょうか。

 

ぜひ本書を活用して、イスラム教とイスラム教徒の等身大の姿を知ってみてください。
ごく一般的な日本人女性がイスラム教徒となり、見て学び知ったイスラムの日常世界を、わかりやすく楽しく解説してくれています。

 

知りもせず、なんだか怖いからちょっと・・・。
この本を読んで、まずはそこから脱出しましょう!

 

◆読むほどに興味が湧いてくる。

イスラムと仲よくなれる本
森田ルクレール優子 秀和システム 2023-11-10
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■【要約】15個の抜粋ポイント

イスラムでは、女性にかぎらず、男性も肌を必要以上に見せることはありません。
男性は、女性に比べたら見せないところが少なくなるだけです。
体はアッラーから自分にあたえられたギフトなので、大切にするのです。

 

ムスリマ(女性のイスラム教徒)からしたら、髪を出すのは裸を見せるのに近い感覚です。

 

●イスラムと日本の道徳的共通点
(1)時間を守る
(2)清潔さを保つ
(3)相手に合わせて伝える
(4)礼儀正しく振る舞う
(5)中道を生きる

 

「ハラール」は、アラビア語で「神様アッラーが許していること」という意味です。

 

着物、浴衣、お祭りなど、日本の文化にかなり興味を持っているというムスリムは本当に多く、みんな日本が大好きです。

 

●ラマダン(断食の期間)が持つ代表的な10個の意味
(1)貧困者の気持ちになれ、助け合い精神がえられる
(2)家族が一体になれ、家族愛が増す
(3)久しぶりに友人に会える
(4)一体感が生まれる
(5)食のありがたみがわかる
(6)世界中のお金が回る
(7)心のデトックスができる
(8)体を休められる
(9)信仰心がチャージできる
(10)簡単に自分を変えられる

 

イスラムでは「人から見てどうなのか」ではなく「アッラーから見てどうなのか」を基準に考えています。
ですから、そもそも「あの人がしているから平気だ」という考えではないのです。

 

イスラムでいう自由とは「選択ができる」ということです。
じつはイスラムでは「宗教に強制があってはならない」とされています。
強制があってはならないので「自分で決めて、自分でおこなう」のです。
イスラムでは、1400年以上前から「○○をしなさい!」と強制的に言っておこなわせても、人間は続かないということを教えてきたのです。
ですから、神様アッラーを信じていながら、お酒を飲む人もいますし、お祈りをしない人もいるのです。

 

アッラー(の教えは)「あなたがよりよい人生を送りたいなら、こうしたほうがいいよ」というアドバイスです。
「実行する」か「実行しない」かは自分次第。

 

お祈りがアッラーのことを思い出すための時間になります。
いわば、悪い考えからよい考えにもどす、「考える時間」をつくってくれるのです。

 

イスラムでは、ほかの宗教とちがって、悪いことを人に打ち明けて、許しを請う必要はありません。
心の中でアッラーにお願いすればいいのです。

 

「目上の人には敬意を持ち、目下の人にはやさしく接する」
これはムスリムの務めでもありますが、ムスリム以外にも大事なことでしょう。

 

イスラムを始めた人は預言者ムハンマドですが、神様はアッラーです。
ムハンマドは「最後の預言者」です。
預言者とは神様と人間を仲介する人ですが、その最後ということは、それまでさまざまな宗教があった中での最後という意味です。
最後の宗教ということは、同時に最新の宗教ということ、つまりイスラムは最後にアップデートされた最新の宗教でもあるのです。
人間がつくった新興宗教は別ですが、イスラムが最後なのですから、この先、新しい宗教も預言者も絶対に出てきません。

 

クルアーン(コーラン)とは、イスラム教の聖典です。
ちなみに聖典とは、アッラーが「人間はこうしたほうが幸せに生きられるよ」と教えてくれた「人生のガイドブック」になります。
じつはクルアーンは、ムスリムだけではなく、世界中の人々に送られたものです。
(略)
全人類が共通して使える人生のガイドブックなのです。

 

スンニ派のスンニとは「預言者のスンナ(おこないや言っていたこと)にしたがう人々」という意味を指すのですが、スンニ派は「指導者でもすべてアッラーの前では同じ人間である」というスタンスです。
つまりスンニ派とシーア派の最大のちがいはイマーム(宗教指導者)のスタンスのちがいなのです。
スンニ派は、指導者であろうと信徒です。
そして、信徒はアッラーの前では同じ人間で、平等であるという考えなのです。
ですからスンニ派は、たとえ預言者であっても、それを神のように神格化することはありません。
もちろん「すばらしい人間である」と、尊敬や模範の対象にはしていますが、神格化はないのです。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2074-1】クルアーン(コーラン)を読んでみる

【2074-2】物事の背景を知ろうとする姿勢を持つ

【2074-3】自らの価値観・正義感だけで勝手に判断を下さない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】イスラムと仲よくなれる本
【著者名】森田ルクレール優子著者情報
出版社秀和システム
【出版日】2023/11/10
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード宗教社会人間関係
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 イスラムの子と、どうやれば仲よくなれるの?
第2章 イスラムの子と楽しく遊べるコツって?
第3章 もっと深く知りたいイスラムの秘密
第4章 イスラムの大誤解、パパとママに教えてあげよう
第5章 イスラムでは何を祈っているの?
第6章 イスラムって「そもそも」どんな宗教なの?

 

▼さっそくこの本を読む

イスラムと仲よくなれる本
森田ルクレール優子 秀和システム 2023-11-10
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森田ルクレール優子さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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