【書評:2069冊目】突然「失礼クリエイター」と呼ばれて(西出ひろ子)

【心があってこそ、型が意味をもつ】
マナーコンサルタント・西出ひろ子氏が、『突然「失礼クリエイター」と呼ばれて』と題して、マナー講師側が炎上する現状を憂いながら、マナーを通じて大切にしてほしいことを語る一冊。

■書籍の紹介文

「鬱陶しいな」「嫌味だな」。
マナーに対してこうした感情を抱くこと、ありませんか?

 

本書は、マナーを教える側が炎上騒動に遭う現状を憂いながら、改めてマナーとは何かを考え、マナーを通じて大切にしてほしいことを語りかける一冊

 

『マナーは「型」ではない、マナーは「心」である』
著者がマナーを通じて大切にしてほしいことを一文にまとめると、こうなると感じ取りました。

 

どんなに「型」が美しくても、そこに「心」がなければ、相手は「鬱陶しい」「嫌味」という”不快感(炎上の種)”を持つようになる。
これを理解していない場面で、炎上(誹謗中傷、正義の押しつけ)は発生します。

 

「心」を込めるには、相手を思いやる姿勢が欠かせません。
どうすれば喜んでくれるか、どうすれば気持ちよく過ごしてくれるか、を考えて行動するわけです。

 

その姿勢が相手に届くことで、「この人は私を大切に扱ってくれる人だ」と感じてくれる。
この「心」のやり取りこそが、マナーの本質であることを理解してほしいと著者は力説します。

 

さらに、もう一つ理解すべき大切なこととして、『マナーは時と場合によって変わる』ということをあげます。
具体的には、TPPPOに応じて変わるものだと認識しておくべきだと説きます。
T:Time(時)
P:Place(場所)
P:Person(人・相手)
P:Position(立場)
O:Occasion(場合)

 

わたし達は、これらを適宜選択しなければなりません。
こう聞くと、この場面ではどの選択が”正解”ですか?、という考え方に陥りがちです。

 

著者は、ここにくり返し警鐘を鳴らします。
「マナーにはこれだ!という正解はないこと」、あるのは、「相手の立場に立って思いやりの心を表現すること」だと強調します。

 

「型」は便利です。
目に見える”形”ですので、教える方も教えられる側の習熟度を測りやすいのは事実です。

 

ですが、その土台に「心」を込めることを説かないとどうなるのか。
アンドロイドが接遇しているのと、なんら変わらないことにならないでしょうか。

 

マナーは、人間関係をより良くするためのもの。
人と人の間でしか存在しえないのです。

 

マナーに不快感を感じるということは、「心」が置き去りにされている可能性が高いです。
マナー講師が自戒の念を込めて書いた本書を使って、マナーについて今一度考えてみてください。

 

◆そこに、心はありますか?

突然「失礼クリエイター」と呼ばれて
西出ひろ子 きなこ出版 2023-10-17
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■【要約】15個の抜粋ポイント

いまだにSNSでマナー講師の発言が炎上するのは、そうした日ごろのマナー講師に対する不信感や反発の積み重ねの結果ではないでしょうか。
ですからSNSの批判はごもっとも、というのが私の正直な感想です。
世間の皆さんが「マナー講師こそマナーを見直せ」と言っているようにも聞こえます。

 

マナーとは何でしょうか。
まず相手を思いやる気持ちであり、相手の立場に立って考えることです。
そのうえでとる行動は、相手によってはどれも正解になり得るし、正解は一つではないといえます。
ところがマナー講師のなかにもマナーを型として教えている人があまりに多いのが現実です。
マナー講師こそマナーを理解できていないと私が指摘するのは、そういう意味です。

 

もし明らかにマナーの型を知らない人と同席した場合でも、よほどのことがない限り、人前でそれを正したり、不快に思ったりしないことが、じつは真のマナーなのです。

 

マナーは、相手もそれを知っていないと成立しない。

 

円滑な人間関係を構築するためのマナー。
それを伝える人たちは、心美しい人であってほしいと願うばかりです。

 

型で覚えたことは、少しでも状況が異なるとどうすればいいのかわからず、臨機応変な応対ができない人材になってしまうのです。

 

相手のニーズやウォンツを提供するのが本来のマナーです。
だからこそ、ビジネスにマナーは必須であり、ビジネスマナー研修があるわけです。

 

マナー本は、マナーの本来の意味である、「思いやりの心」と「型」と「なぜそうするのか」という理由のトライアングル、三方の情報が必要であると考えています。

 

マナー講師は、そのマナーがメディアのおもしろネタやトリビアで消費されてしまわないよう、細心の注意を払う必要があります。

 

人の人生を狂わすようなことを発信はしないこと。
世の中は謝れば解決することばかりではありません。
あとで詫びても、亡くなった人は戻ってきません。

 

難しい局面も、あまり深刻にならず、自然体で対処していくことをおすすめします。

 

すべてのコミュニケーションは相手の立場に立って行われることで、たがいのプラスが生まれる。

 

マナーはかしこまった席でのみ必要なのではなく、家族、家庭にこそ必要なのだと心底思います。

 

人それぞれにさまざまな考えかたがあるというのがマナーの基本姿勢です。
自分が思っているマナーに反している人がいたときに、攻撃したり指摘したりするのは、相手とまったく同じことをしているのに等しいこと。
マナーは人に押しつけるものではありません。

 

マナーは、その人の生き様、生きかたが浮き彫りになります。
(略)
画一的な規範をつくって、それをみんなで守るという時代は終わったのです。
これからは何が自分にとって大切なのか、そこをしっかりと自分自身で見つめて、自分にふさわしいマナーを選ぶ時代が到来しました。
つまり、マナーを身につけるには、自分の価値観を確立する必要があります。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2069-1】言動や発信の際は「相手の立場に立てているか?」と常に自問する

【2069-2】自分がされて不快なことは他人に対して絶対にしない

【2069-3】自分の正義を他人に押しつけない

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】突然「失礼クリエイター」と呼ばれて
【著者名】西出ひろ子著者情報
出版社きなこ出版
【出版日】2023/10/17
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード人間関係マインド信用残高
【頁 数】232ページ
【目 次】
第1章 令和の今、マナー業界に何が起こっているのか
第2章 炎上したトンデモマナーを振り返る
第3章 生存競争が激しいマナー業界
第4章 企業がマナー講師に期待する姿
第5章 メディアが演出するマナー講師の虚像
第6章 マナーなき暴挙が横行した社会現象
第7章 私がマナー講師を生涯の仕事に選んだ理由
第8章 マナーはだれのためのものなのか・・・本当のマナーとは

 

▼さっそくこの本を読む

突然「失礼クリエイター」と呼ばれて
西出ひろ子 きなこ出版 2023-10-17
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西出ひろ子さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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