【書評:2068冊目】フォノ・サピエンス誕生(チェ・ジェブン)

【日本の停滞の原因の一端がわかる】
工学博士/チェ・ジェブン氏が、『フォノ・サピエンス誕生』と題して、スマートフォンの誕生が人類に何をもたらしたのかを考察しながら、新時代への変化に適応する秘訣を指南する一冊。

■書籍の紹介文

スマートフォンを手にする前と後。
あなたの中にどんな変化が起こりましたか?

 

本書は、スマートフォンの出現は人類を新たな文明の時代へと導いていくと考察しながら、根本から起きている変化に適応し、生き延びていくための秘訣を指南する一冊。

 

今の日本社会に欠けている視点だな。
著者の指摘や主張を読んでいるうちに、このような感情を持ちました。

 

たとえるなら、恐竜の時代から人間の時代への変化。
スマートフォンの出現は、これくらいのインパクトがあることなのだと理解し受け入れているか。

 

根本から世界が変わったのだから、秩序も思考もゼロから書き換えないと、恐竜が滅んだようにあなたも生き延びられないぞ!
そう大声で諭されているような熱量を感じる一冊です。

 

フォノ・サピエンスとは、ホモ・サピエンスをもじった”知恵のある電話を使う人間”。
すなわち、スマートフォンがなくては生きていけないという新たな人類文明のことを指す言葉です。

 

”失われた30年”などと、年数だけが虚しく伸びている日本の長期停滞。
根拠のない楽観論と後手後手の場当たり的な対処をくり返していますよね。

 

高度成長期に代表される過去の栄光の延長線上で、さまざまな議論がされています。
そうではなく、新しい文明がはじまった、新しい人類への進化がはじまった、と捉えるべきだという著者の主張を、真剣に聞き考える必要があるように感じます。

 

スマートフォン出現の前と後で、なにが変わったのか。
今まで世の中をリードしてきた権力の重心が、どこからどこへ移動していくのか。

 

こうしたことを、あらゆる層で徹底的に分析し理解する。
その土台があってはじめて、新しい時代を生き延びる戦略を考えることができるのです。

 

苦しくなるほど、どうしても視野が狭くなるものです。
一度冷静になって、著者のような大きな視野で世の中の”変化”を考えてみてください。

 

◆抗うか?適応するか?

フォノ・サピエンス誕生
チェ・ジェブン 文響社 2022-4-8
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■【要約】15個の抜粋ポイント

イギリスの経済週刊誌『エコノミスト』が「知恵のある人間」という意味のホモ・サピエンスをもじってフォノ・サピエンス(知恵のある電話を使う人間/スマートフォンがなくては生きていけない新人類の文明)と呼んだことに由来する。

 

スマートフォンが生み出した最大の変化は、人類の思考を変えたことだ。

 

社会の基準が変化するに従い、多くの副作用が現れる可能性がある。
しかし明らかなのは、新しい人類が新しい社会や新しい道徳の規準、新しい常識を要求しているという事実だ。
この変化になじみのない世代には大変な時代の到来だが、適応しなくてはならない現実でもある。

 

人類はスマートフォンの誕生とともに新しい文明の時代を開いた。
いまやその時代に向けて前進するべきだ。
私たちがつくりあげた文明も素晴らしかったが、新しい世代は新しい文明を選択している。

 

資本のメッセージは明らかだ。
フォノ・サピエンス消費文明を追いかける企業に投資しようというものだ。
これが各企業が肝に銘ずべき、最も需要な戦略樹立の方向である。

 

デジタル文明において、自分の利益のために消費者の利益を無視する企業は、自然と淘汰される。
権力が消費者の手に移動したためだ。

 

人類にとって中毒は避けられない運命だ。

 

結局、あらゆる消費はデジタル・プラットフォームへと移動する。
これはフォノ・サピエンス文明の宿命だ。
だからデジタル・プラットフォームを前提としたビジネスモデルを正確に理解する必要があるのだ。
技術的要素のみならず、ビジネス・プロセスまで正確に知っておかないといけない。

 

アマゾンはデジタル・プラットフォーム、ビッグデータ、そしてAIという3大コンボを最もうまく結合して成功した企業だ。

 

データとは、すなわち顧客の心を意味する。

 

会社の人材を選ぶ段階から、積極的に新しい文明の基準を適用していこう。

 

顧客が生産するデータがどんな意味を持ち、何を求めているのか、どんな層をあきらめて、どんな層を確保すべきか、さらには一人の顧客が時によってなぜ違う反応を示すのかも理解できる、そんな人材が必要な時代なのである。

 

忘れてはならないことは、人間は生物学的存在だという点だ。
人とのつながりなしに、どんな新しいプロセスもつくることはできない。

 

SNSは自分の考えや日常を共有する場所だ。
ユーチューブであれフェイスブックであれ、人々と分かち合いたい気持ちが発端だ。
それに対してひどい非難のコメントをつけるような人とは、いっそのこと関係を切ってしまう方がいい。
そこに時間を浪費するのは全く無駄だ。

 

スマートフォンの副作用が頭に浮かぶたびに、それに匹敵するだけの革新性とは何かを考えるべきだ。
そうすれば、あなたの常識の基準がデジタル文明へと移り変わっていくことだろう。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2068-1】「なぜ人気なのか?」を自分なりに考えながら、人気SNSチャンネル(Youtube、TikTokなど)を閲覧するクセをつける

【2068-2】他人の考えや言動には細心の配慮をする

【2068-3】人とのつながりを大切にする

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】フォノ・サピエンス誕生
【著者名】チェ・ジェブン
出版社文響社
【出版日】2022/4/8
オススメ度★★★☆☆
こんな時に教養を伸ばしたいときに
キーワード社会思考生き方
【頁 数】312ページ
【目 次】
第1章 フォノ・サピエンス、新人類の誕生
第2章 新しい文明、「熱狂」へと向かう
第3章 オンデマンドがビジネスを転換する
第4章 これまでにない人類の登場

 

▼さっそくこの本を読む

フォノ・サピエンス誕生
チェ・ジェブン 文響社 2022-4-8
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チェ・ジェブンさん、素敵な一冊をありがとうございました!

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