【書評:2051冊目】発達障害の人にはこう見えている(吉濱ツトム)

【見え方が分かれば理解し合える】
発達障害カウンセラー・吉濱ツトム氏が、『発達障害の人にはこう見えている』と題して、発達障害の人と定型発達の人、2つの視点を対比させながら、相互理解へのヒントを指南する一冊。

■書籍の紹介文

「絡みづらい」「考えがわからない」。
そんなふうに感じてしまう人、周りにいませんか?

 

本書は、発達障害の人と定型発達の人の相互理解を目的に、双方の視点をシーン別にイラストで対比させながら、より良い人間関係構築へのヒントを指南する一冊。

 

ADHDやASDといった症状ともに使われる『発達障害』という言葉。
昨今、さまざまな場面で見聞きする機会が増えたように感じます。

 

”障害”という表現が用いられていることによって、身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。
そのような方にとって、発達障害とはどういうもので、どのような特徴があるのかを理解するのに役立つのが本書です。

 

発達障害の概要と、発達障害の人と定型発達(いわゆる一般の人)の人との世界の見え方の違い。
これらを、イラストベースでとても分かりやすく解説してくれています。

 

大切なのは、発達障害の人=こういう人だ!、と杓子定規に”割り切らない”ことだと感じます。
明確な診断には至らないが発達障害の傾向を持つ人から、専門家の支援なしに対処できない人まで、症状の強弱がとてもとても広いからです。

 

・興味あること(専門的なこと)の知識量がハンパない
・驚異的な集中力を発揮する
・常人離れした発想力を持つ

 

こうした、一見するとその能力欲しいと思うようなことも、発達障害による特性の中にはあります。
したがって、きちんとその人の特性を理解することによって、仕事で能力を存分に発揮してもらうことも可能なのです。

 

「分かり合えない」状態は、双方にとって悲しい状態であり不利益でしかありません。
双方が理解し合い「分かり合う」ことで、双方が思いも寄らなかったWIN-WINへの道が開かれていくのです。

 

このWIN-WINの道を歩み始めるためのヒントが詰まっています。
諦めずに、模索していきましょう。

 

◆視覚的でわかりやすい。

発達障害の人にはこう見えている
吉濱ツトム 秀和システム 2023-7-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント

(発達障害をイメージして浮かびやすい)言動や習慣はその人自身の性格ではなく、そもそも脳の機能に偏りがあるために生じる先天的なものなのです。

 

●発達障害の代表的な3つのタイプ
・ADHD(注意欠如・多動症)
・ASD(自閉症スペクトラム)
・LD(学習障害)

 

発達障害の要素は人によって強弱はあれど、多くの人が持っているものなのです。

 

ASDの人に対しては、回りくどいと思われそうな婉曲な表現や、持って回った感じのする言い方を避け、なるべくストレートでわかりやすい言葉のかけ方を心がけた方が、お互いにストレスなく、無用なトラブルを回避できます。

 

本人が言いたいことやストレスをため込んでいないか、よく注意して見ておくことも大切です。
場合によっては、特に仲のよい同僚や先輩などに、本心を聞き出す役割を担当してもらってもよいでしょう。

 

発達障害の人の忘れ物に対しては、「持ち物リスト」を作って玄関などに貼っておくように伝えるのが一番確実です。

 

他人の昔のミスを何度も蒸し返す場合は、「それはもう終わったこと」というのを丁寧に、かつきっぱりと説明することを繰り返します。

 

きれいに片づいた部屋を写真に撮っておき、散らかってきたときにはその写真の通りの部屋の状態に戻すようにしてもらうと、きれいな部屋をキープするのもより容易になるでしょう。

 

周囲の働きかけによって発達障害の人の共感力を養うというのは、非常に困難です。
このような場合もマニュアル化が有効だったりします。
相手の様子を見て、こんなときには悲しそうな表情をする・・・というのを、マニュアルとして覚えてもらうのです。

 

劣等感が強すぎてネガティブなトークばかりが炸裂する人に対しては、本人がダメだと思うところを挙げてもらい、そのことの何がダメなのか、どうしてダメなのかを改めて考えてもらいましょう。

 

あなたのパートナーが発達障害の場合に限らず、角を立てずに相手に物申すためには、「アサーション」が有効です。
アサーションは心理学のテクニックで、自分を主語にしながら、前向きで柔らかい表現で相手に主張を伝えるというものです。
「明日あなたがゴミを出してくれないと困る」→「明日はゴミ出しの日なんだけど、出しておいてもらえるとすごく助かるなあ」・・・という感じになります。

 

パートナーがこだわっている行動を貫けないことでキレてしまったとしても、無視しましょう。
相手は自分がキレることでこちらが対応してくれるのを無意識に期待しています。
そこで、それに徹底して応えないというのを続けることで、本人の誤った認知を正していくのです。

 

●ASDに向いている仕事
・しっかりとマニュアルがある
・単純作業を長い時間黙々とできる
・人でなく数字や機械を相手にする

 

●ADHDに向いている仕事
・人にはない新しい発想を持っている
・興味のあることには非常に詳しい
・常に動き回り、行動力がある

 

発達障害・定型発達、まずはお互いの理解こそがより良い関係作りの第一歩です。

■【実践】3個の行動ポイント

【2051-1】発達障害を単に「障害のある人」だと見切らない

【2051-2】相手の特性を理解しようとする姿勢を持ち続ける

【2051-3】相手への主張や提案は、自分を主語にして内容を伝える

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】発達障害の人にはこう見えている
【著者名】吉濱ツトム著者情報
出版社秀和システム
【出版日】2023/7/15
オススメ度★★★☆☆
こんな時に明日の人間関係を良くしたいときに
キーワード人間関係職場環境パートナー関係
【頁 数】192ページ
【目 次】
第1章 発達障害って何?
第2章 トラブルだらけの職場編
第3章 右往左往の日常生活編
第4章 ひとりよがりの恋愛・結婚編
第5章 咲ける場所の見つけ方

 

▼さっそくこの本を読む

発達障害の人にはこう見えている
吉濱ツトム 秀和システム 2023-7-15
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吉濱ツトムさん、素敵な一冊をありがとうございました!

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