【書評:2005冊目】誰も知らないジブリアニメの世界(岡田斗司夫)

【結局、ジブリアニメとは何を伝えたいのか】
評論家・岡田斗司夫氏が、『誰も知らないジブリアニメの世界』と題して、ジブリアニメの各作品を批評しながら、宮崎駿氏が作品に込めた想いやメッセージを徹底解説する一冊。

■書籍の紹介文

ジブリアニメ。
どの作品が印象に残っていますか?

 

本書は、ジブリアニメ長編10作品を振り返りながら、各作品はなぜその時作られたのか、宮崎駿氏はどんな想いを込めて何を伝えたかったのかを徹底解説する一冊。

 

宮崎駿。
名前を知らない日本人はいないと言えるほどの国民的アニメ監督です。

 

一度観れば、強烈な印象を残す圧倒的に美しい描写。
その裏には、いったいどんな哲学やメッセージが隠されているのか。

 

宮崎駿氏に関する豊富な資料やオタキングの通称を持つ著者のアニメ知識。
この2つを切り口に、迫っていく内容になっています。

 

より深く、作品の世界に想いを馳せたい。
そんな欲求を持つ人にとって、おもしろいガイド役となることでしょう。

 

◎憧れの存在を尊敬のままとせず、あえて否定し、乗り越えていく
◎深く相手の心に刻むには、暗喩(メタファー)にこだわる
◎不平不満は、仕事を通じて批判し、仕事を通じて乗り越えていく

 

このように、働き方や生き方に通ずる”哲学”も随所に受け取ることができます。
”創造性”が一層求められるこれからの時代、ヒントになる教えが見つかるとおもいます。

 

また各作品を順に観てみたくなる。
なかなかに、おもしろい一冊です。

 

◆宮崎駿の変化と進化の記録。

誰も知らないジブリアニメの世界
岡田斗司夫 SBクリエイティブ 2023-4-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント

地球の環境は、人間が生きるには厳しい。
それでも、人間はただ生きるしかない。

 

映画監督というのは「よくできたストーリー」を作るのではなく、「いかにおもしろく見せるのか」に力を入れるべき仕事です。

 

大人向けに楽しめるというのは、つまりメタファー(暗喩)がわかりやすく提示されているということです。

 

自立するというのは、認めたくない本心の自分も、自分として受け入れるということです。
認めたくない自分を分身に責任転嫁せず、同じ自分として扱える。
それが大人になる、ということをあらわしています。

 

宮崎駿はサン=テグジュペリ以外にも、たくさんの飛行機ものを読み漁っています。

 

一流のクリエイターは、自分が好きなもの、尊敬しているものを、ただ好きなだけ、尊敬するだけでは終わらせないのです。
むしろ自分に影響を与えた作品を否定し、乗り越えていくのです。

 

社会の混沌のなかで、生きる道を見つけるのが難しい現代。
何が良くて、何が悪くて、何が強くて、何が弱いのかもわからない。
『七人の侍』から40年、時代に合わせてアップデートされた時代劇として、『もののけ姫』は作られています。

 

同時代に生きている人間は、何も言えない。
ではどうするか。
作品を通じて批判し、作品を通じて乗り越えるのです。

 

宮崎駿は金儲けや興行的成功に一切の興味を持たない人間です。
そんな宮崎駿からすれば、商業的観点を重視する鈴木敏夫が、だんだんと悪役のように見えてきたというのは自然な流れでしょう。

 

『千と千尋』は、宮崎駿が描いた「感謝」の物語なのかもしれません。
スタジオジブリを登場させ、人によって人が生かされるところも描いた。
自分のわがままなものづくりは、観客やスタジオの仲間によって成立しているのだ。
そんな気持ちの表明が、どこかに込められているのかもしれません。

 

水は宮崎駿が表現を磨いてきた十八番なのです。

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

宮崎駿は天才的なアニメーターです。
人がうまく絵のなかで動かせないものを、手描きで生き生きと動かしてみせる才能を持っています。

 

「何を話しているんだろう?」と、観客に想像してほしいということです。

 

宮崎アニメに出てくる父は、物語や主人公を導く存在ではありません。
世界を動かすのは、女性であり母親です。

 

アーティストになった宮崎駿のすごみは、物語や設定は支離滅裂にもかかわらず、それでも観終わった際になんとなく納得させられる、アニメーターとしての卓越した力量です。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【2005-1】メタファーを効果的に使った伝え方を意識する

【2005-2】仕事の不満は、仕事で解消する心構えを持つ

【2005-3】「自分の十八番」と認知されるスキルを磨く

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】誰も知らないジブリアニメの世界
【著者名】岡田斗司夫著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/4/6
オススメ度★★★☆☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード発想力伝える教養
【頁 数】232ページ
【目 次】
はじめに 宮崎駿は何を描いてきたのか
第1章 宮崎駿の鋭すぎる技術論
第2章 SFアニメはどうあるべきか?
第3章 手塚治虫の光と影
第4章 「才能」とはどういうものか?
第5章 飛行機オタクの大暴走
第6章 始まりは、1954年
第7章 スタジオジブリと銀河鉄道
第8章 戦争は続くよどこまでも
第9章 グランマンマーレの正体
第10章 「堀越二郎=宮崎駿」は本当か?
終章 進化する宮崎駿

 

▼さっそくこの本を読む

誰も知らないジブリアニメの世界
岡田斗司夫 SBクリエイティブ 2023-4-6
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岡田斗司夫さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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