【書評:1959冊目】シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか(中島聡)

【Webはこれからどこに向かっていくのか】
ソフトウェアエンジニア・中島聡氏が、『シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか』と題して、Web3の実情を明かしながら、未来の可能性を解説する一冊。

■書籍の紹介文

Web3。
あなたはどの程度知っていますか?

 

本書は、Web3の業界で現在起きていることを明らかにしながら、図解と事例を交えつつ、Web3のこれからの可能性を解説する一冊。

 

次から次へと新しい”技術”や”言葉”が出てきて追いつかない。
そんな印象をお持ちの方が多いとおもいます。

 

そんな方に向けて、Web3とはそもそも何なのか。
今、現場はどのような動きをしているのかから、順を追って噛み砕いて解説していきます。

 

本編でも言及していますが、Web3の現状は金銭欲が猛威をふるっています。
ゆえに、お金を引き出すための甘い言葉が並べられた情報も少なくありません。

 

その点、玉石混淆の情報に惑わされず、正しくWeb3を捉えるのに最適な書籍だと感じます。
PC黎明期からコンピュータ業界に携わり続ける著者だからこその言葉は、表面的ではなく、本質をきちんと捉えています。

 

まだまだ、社会全体のシステムを変えるほどの力はWeb3にありません。
しかし、その日に向けて、着々と力を蓄え始めているのも事実です。

 

問題発生→問題解決、このサイクルをくり返しながらWeb3は最適な形に進化していきます。
もちろん、まったく違うWeb4のようなものに置き換わる可能性もあります。

 

ですが、その家庭で得た知識や技術、経験はすべて財産になるはずです。
だから、「よく分からない」と遠ざけるのではなく、自分で体験、経験していくことが大切です。

 

まずは、現状を把握するからはじめていきましょう。
はやく触れるほど、自分の進化も速まります。

 

◆役に立つ一冊。

シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか
中島聡 SBクリエイティブ 2023-1-6
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■【要約】15個の抜粋ポイント

Web3とは、暗号資産・イーサリアムの共同創設者の一人であるギャヴィン・ウッドが提唱したアイデアで、「ブロックチェーン技術に基づく、分散型のオンラインエコシステム」のことを指します。

 

ブロックチェーン上に存在するWeb3には、中央に支配的な企業や国家が入ることはなく、ユーザーがブロックチェーン上で所有するコンテンツは誰にも取り上げられることはありません。

 

●Web3を知るための4つのキーワード
・ブロックチェーン:取引を永続的に公開して記録する仕組み
・スマートコントラクト:ブロックチェーン上で動くプログラム。通常のブロックチェーンが「記録」するだけなのに対し、「処理」を永続的に行なえる
・NFT:スマートコントラクトにより発行される、トークンの一種
・DAO:スマートコントラクトを組み合わせてできた、究極的に人がいなくても動く組織

 

これまでに特性を持った仕組みであるだけに、Web3を使えばどんなことが実現できるのか、本当のところ完全にわかっている人はいません。

 

Web3業界を大きく分けると、「プラットフォームレイヤー(インフラレイヤー)」に位置するビジネスと、「アプリケーションレイヤー」に位置するビジネスの2階層に分けることができます。

 

参加者を信頼しなくても成立するブロックチェーンの技術は、こうした国際間の送金を行なう上で非常に理に適っています。

 

イノベーションか法律か、という議論はあるのでしょうが、優先させるべきは消費者の保護です。

 

Web3には可能性もありますが、業界そのものが未成熟、かつ暗号資産というお金を扱うこともあって、詐欺まがいの行為が横行しています。

 

誰にでも情報にアクセスできる透明性と、管理者がいなくても動き続ける永続性、そしてスマートコントラクトの自動処理による厳密性。
これらの特徴をすべて兼ね備えた仕組みは、今のところWeb3以外には存在しません。
そう考えていくと、Web3が本質的な意味で最もその力を発揮するのは、国や自治体がかかわる公的な分野であると私は考えています。

 

DAOの面白いところは、通常のプログラミングと違って、単に動くものを作ればよいだけでなく、適切なインセンティブ設計により数多くの人々の行動を促さなければならない点にあります。

 

私が提案したいのは、DAOから「Organization」(組織)を排除し、スマートコントラクトによりすべてを非中央集権化・自動化するということ。
名付けて、”Decentralized Autonomous Ecosystem”(DAE:非中央集権型自律システム)です。

 

極論すれば、Web1.0とWeb2.0は性欲によって駆動されていたともいえるものなのです。
(略)
今のWeb3業界を駆動しているのは、金銭欲といいきってもいいでしょう。

 

ソフトウェアエンジニアにとって、Web3は見逃せないチャンスです。
まず、ものすごくベタな話にはなりますが、Web3のソフトウェアエンジニアは高額報酬を稼ぐことができます。

 

関心をもったことには、できるだけ早く一次情報に触れ、実際に試してみるという、私の行動が、実を結んだこともあります。

 

Web3による恩恵とは、エンジニアやアーティストの作ったものが消費者に直接届けられる、ピンハネのない世界です。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1959-1】暗号資産取引所に口座を開設し、暗号資産を買ってみる

【1959-2】NFTマーケットを閲覧してみる

【1959-3】Web3に関連するプログラミングを学習する

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか
【著者名】中島聡著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/1/6
オススメ度★★★☆☆
こんな時にソーシャルメディアに悩んだときに
キーワードサイエンス働き方グローバル
【頁 数】320ページ
【目 次】
第1章 Web3とは何か
第2章 Web3業界の現状
第3章 冬の時代の向こうにあるWeb3の未来
第4章 Web3の未来に向けて私たちが考えるべきこと

 

▼さっそくこの本を読む

シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか
中島聡 SBクリエイティブ 2023-1-6
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中島聡さん、素敵な一冊をありがとうございました!

※当記事の無断転載・無断使用は固くお断りいたします。

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