【書評:1978冊目】認知バイアスの教科書(西剛志)

【うまくいかないのは脳の認知がズレている証拠?】
脳科学者・西剛志氏が、『認知バイアスの教科書』と題して、認知バイアスを味方につければ人生は生きやすくなると提起し、認知バイアスの仕組みを簡潔に解説する一冊。

■書籍の紹介文

最近うまくいっていないな・・・。
そのように一番感じることはなんですか?

 

本書は、日常生活で起こる勘違いやミスは「認知バイアス」が原因だと提起し、味方につけると人生に大きな効果をもたらす「認知バイアス」の仕組みを解説する一冊。

 

認知バイアスとは、モノゴトをとらえるときの脳のクセ(傾向)のこと。
人間が、生物として生き延びるための過程で獲得した能力です。

 

なぜ、そのような能力を獲得したのか。
それは、モノゴトを認識するスピードが速くなり、危機回避など生き延びるのに有利だからです。

 

しかし、そんな進化の過程で獲得した「認知バイアス」が、勘違いやミスという問題を起こすこともあるというのです。
必要だと獲得した能力が自分自身を苦しめてしまうのですから、なんとも皮肉な話ですよね。

 

そんなことが起きてしまう理由は、無意識のうちに脳内でクセが出てしまうからです。
クセを認識できていれば対処は容易ですが、自覚のないままクセづいてしまうので、”ズレ”が生じてしまうのです。

 

この”ズレ”が、勘違いやミスを引き起こしてしまいます。
ゆえに、「認知バイアス」はとても厄介なのです。

 

そこで、役立てたいのが本書。
「認知バイアス」のメカニズムを、脳科学の視点からわかりやすく解説してくれる書籍です。

 

・バイアスにはどれくらいの種類があるのか
・各々のバイアスは、わたし達にどんな影響をもたらすのか
・バイアスをどうすれば味方につけることができるのか

 

こうした点を中心に、「認知バイアス」を味方につける方法を解説していきます。
さきほど述べたように、クセが働いていることを認識できれば、人生に生かしていくことができます。

 

ちょっとした行き違いから仲違いしてしまった・・・。
よくないと分かっているのに中々やめられない習慣・・・。
対策したはずなのに、同じようなミスをくり返してしまう・・・。

 

こうした裏には、かならず「認知バイアス」による”ズレ”が存在しています。
ぜひ、本書でその正体を理解し、味方につけていきしょう。

 

黒に覆われていたオセロの盤面が、気持ちよく白一色にひっくり返っていく。
味方につけると、それほど「認知バイアス」は強力なのです。

 

◆スラスラと学べる一冊。

認知バイアスの教科書
西剛志 SBクリエイティブ 2023-1-31
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■【要約】15個の抜粋ポイント

●5大バイアス
(1)注目バイアス
(2)プライミング効果
(3)比較バイアス
(4)現在バイアス
(5)作話

 

「5大バイアス」は、生存に直結している「脳の性質」と言えるもので、わたしたちの誰もが影響を受けている重要な認知バイアスです。

 

「相手の真意(言葉の地図/マップ)」を確認することで、相手の本当の考え方や気もちが理解できて、ネガティブだった印象が変わることがあります。
すると、「確証バイアス」でつくり上げられたその人のイメージが崩れて、相手の印象が変わってしまうのです。

 

間に人が挟まれば挟まるほど、メッセージは変化します。
これは1人ひとりの認知バイアスが異なるため。
決して記憶力不足ではありません。
だからこそ、文章にして残す習慣を大切にしておきましょう。

 

不思議なもので、どちらかを選ぶと(どちらを選んだとしても)仕事へのやる気がアップします。
なぜなら、わたしたちは自己決定することで、ドーパミンが分泌されるからです。
その結果、選択した行動へのやる気を高めてくれます。
つまり、「心理的リアクタンス」対策としては、自分で選択肢をつくって選ぶこと。
これからとり組むことに自分なりの目的を見いだすことが役立ちます。

 

うまくいく人たちがよくやっている習慣があります。
それが「必ず一度はやってみる」という習慣です。

 

はじめての店、はじめての場所に行き、食べたことのないメニュー、やったことない体験にチャレンジする。
そんなプライベートでの初体験が、ビジネスでの「現状維持バイアス」の働きをやわらげることにもつながっていきます。

 

創造的な会議を行ないたいのなら、ファシリテーターとオブザーバーを参加させながら、主体的に発表する側の参加人数を絞り、プレゼン形式をとり入れてみてください。
すると、いいアイデアの出る会議が実現する可能性が高まります。

 

人は、イメージしないことは、行動できないものです。
だから、まずはリハーサルしておく。
スポーツのイメージトレーニングと同じように大事な習慣です。

 

・1日、時間を置いて再検討してみる
・利害関係のない信頼できる人に意見を聞いてみる
・オフィスを離れ、自然のある場所に身を置き、是か非かを考えてみる
このように時間を置いたり、見方を増やしたり、物理的に場所を変えたりすると、「もしかしたらうまくいくかも・・・」という間違った確信を修正するきっかけになったりするのです。

 

「そんなことは自分には起こらない」ではなく、「起きたときにはどうするか」の視点で考え、起こりうるリスク、そのときにできることを事前に書き出しておきましょう。

 

ダイエットを成功させる最初のステップは、体重計に乗る習慣をつけることです。
毎日、体重計に乗って数値をチェックする習慣がつけば、毎日の食事や運動が体重に与えている影響がよくわかります。

 

より活動的に行動することで代謝を上げ、たくさんの知らないことに触れていく。
注意を向ける努力をすれば、世界は知らないことであふれています。
その1つひとつ、あなたの好奇心を刺激する出来事にチャレンジしていくと、子どものころのような時間感覚が戻ってくるかもしれません。

 

日々の小さなことを通して成長していくこと。
わたしたちの幸せを支えている「成長バイアス」は、わたしたちが幸せな人生を実現するために不可欠な認知バイアスなのです。

 

本書の最後にどうしても伝えたい認知バイアスがあります。
それは「わたしにはバイアスがない」という認知バイアス。
これを専門用語で「バイアスの盲点(Bias blind spot)」と言います。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1978-1】やったことのない新しい体験・行動を意識してやる

【1978-2】将来の自分が今の自分にアドバイスするとしたらなんと伝えるかを考える

【1978-3】朝、散歩する習慣をつくる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】認知バイアスの教科書
【著者名】西剛志著者情報
出版社SBクリエイティブ
【出版日】2023/1/31
オススメ度★★★☆☆
こんな時に考える力を身につけたいときに
キーワードメンタル脳科学思考
【頁 数】344ページ
【目 次】
1時限目 5大バイアス
2時限目 人間関係にまつわる認知バイアス
3時限目 感情にまつわる認知バイアス
4時限目 仕事にまつわる認知バイアス
5時限目 お金にまつわる認知バイアス
6時限目 健康にまつわる認知バイアス
7時限目 社会現象にまつわる認知バイアス

 

▼さっそくこの本を読む

認知バイアスの教科書
西剛志 SBクリエイティブ 2023-1-31
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西剛志さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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