【書評:1973冊目】ひとこと化(坂本和加)

【だから、人は言葉に動かされる。】
文案家(コピーライター)・坂本和加氏が、『ひとこと化』と題して、「同じじゃないって、いいよね」をキーワードに、”短く・深く・刺さる言葉”を生み出す方法を指南する一冊。

■書籍の紹介文

自分の言いたいこと。
うまく言葉にできていますか?

 

本書は、「ひとつ」に絞ると「伝わる言葉」が浮かび上がってくると提起し、「同じじゃないって、いいよね」をキーワードに、『ひとこと』に凝縮する方法を指南する一冊。

 

人は、よく魅せようとするほど、いろいろな脚色をしようとします。
考えすぎて、ゴチャゴチャした印象のファッションになってしまうのが良い例です。

 

言葉も同じだと、著者はいいます。
うまく伝えないと!と考えすぎると、結果的にまったく伝わらない残念な表現になってしまうと指摘します。

 

では、どうすれば「伝わる表現」になるのか。
言葉のプロである著者の答えは、『言いたいことは”ひとつ”でいい』です。

 

伝えたいことを深く見つめていけば、大事な「ひとつ」は必ず浮かび上がってくる。
だからこそ、「ひとつ」が浮かび上がるまで、自分と向き合いなさいと説きます。

 

読んでいてとても印象に残った言葉。
それが『同じじゃないって、いいよね』という、本書の軸にもなっている言葉です。

 

同じじゃないということは、つまり、ちがうということ。
違いはほしいけど、人と違うことは怖い、という方も多いでしょう。

 

ゆえに、言葉を考えるときも、知らず知らずのうちに”迎合”したような言葉選びになってしまうことがあるとおもいます。
そんなモヤモヤした状態を、スッと軽くしてくれる。

 

『同じじゃないって、いいよね』には、そんな力を感じます。
と同時に、自分もこのような”ひとこと”を生み出してみたい、とググッと学び姿勢に力が入ります。

 

その瞬間の、自分の心の結晶。
そんな「ひとこと」を生み出す方法を、ぜひ掴んでください。

 

◆凛とした一冊。

ひとこと化
坂本和加 ダイヤモンド社 2023-2-15
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「一番言いたいこと」を、相手に深く伝わる短い言葉にする。
そのために最初に取りかかるのは、自分と相手の「共通項」を探すことです。
何か売りたい、宣伝したいものがある場合、その売りたいものと生活者(世の中)の間で「共通していること=同じこと」を探していきます。
この共通項がないと、自分ごとにしてもらえず、「私には関係ない話だな」とあっさりスルーされてしまいます。

 

●自分にキャッチコピーをつけよう
(1)自分のいいところを探そう
(2)写真に言葉をつけてみよう
(3)どこで誰に使って、どう思われたいかを逆算しよう
(4)伝えることは「ひとつ」にしよう
(5)たくさん書いてみよう
(6)どんどん見せて、さらに磨いてみよう

 

「同じじゃないって、いいよね」目線です。
他とはちがう部分を積極的に探していきます。
同じじゃない。
これだけを切り出せば、ネガティブにもなります。
大切なのは、「いいよね」のほうです。

 

書き留めたくなっても、「深く」「刺さる」ひとことを求めるなら、書かないでおく。
書きたい気持ちも、伝えるエネルギーに変えられるからです。

 

どうやって自分ごと化するかは、「自分だったら目線」をどれだけ持てるかです。

 

●ひとこと化の5つのステップ
(1)課題をしっかりと見つめる、つかむ
(2)どうなりたいかを考える
(3)世の中にとっても、プラスになるかどうかを考える
(4)自分(または事業)と世の中(伝えたい相手)との共通項を探す
(5)言葉にして、自分や世の中に響くかどうかを想像する

 

「本質がわかるようになりたいなあ」というのは、まさに自分磨きのようでもあります。
自分のレベルアップです。
「ゴールの設定」「未来でどうなりたいか、というポジティブなイメージ」。
それに向けて、まずはハシゴを掛けていく=行動すること。
「自分はできるようになる」と決めてしまうのも手です。

 

言葉化におすすめの簡単なトレーニングは「こころ日記をつける」ことです。
書くのは今日あったことではなく、あなたの感情です。
その日、「ムカついた」「うれしかった」なら、「なぜ」を伝達するように書く。

 

ひとこと化をスムーズにするのは、以下の3つのルールです。
(1)うまく書こうとしない
(2)たくさん書かなくていい。A4ヨコにワンワード
(3)出たのは気になる言葉、それを楽しむ

 

「言い換え」と言うと簡単に思われるかもしれませんが、対象がよりポジティブに伝わるような「いい言い換え」です。
ゴールは「それにより新しい印象で伝わったか」「効いているか」です。
これは考え始めるときりがありませんが、誰も見たことのない表現はまだまだあります。
それが表現の楽しいところです。

 

●言葉を磨く5つの検証ステップ
(1)問題を解決しそうか
(2)一番言いたいことを伝えているか
(3)言葉に強さがあるか
(4)言い得ているか。「そのもの」らしいか
(5)相手も自分も納得感はあるか

 

ネットの世界で「言葉を発信する」なら、なおさら自分という人間をちゃんとわかっていないとまずいのではないかということです。
まずは伝えたいことをわかっていないと、伝えようがありません。
「自分の何を伝えたらいいのかわからない」「自分というものがよくわからない、取り柄もない」となげく前に、好きなこと、趣味嗜好でもいいので、自分らしさをひとことにしておくといいでしょう。

 

「ありがとう」「うれしい」「助かるよ」「いいね!」「おいしいね」。
ささいなひとことでも、言葉にするから、相手に伝わります。

 

あなたの行動や言動次第で自分をブランド化できる。
だからこそ、自分は何が好きで何を軸に生きているのか、棚卸ししておきましょう。

 

「ちがう」は、ありのままです。
誰かに合わせるといった不自由さもなく、ちがうということは、十分に胸を張って誰もが前向きでいられる理由になり得ます。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1973-1】相手の発言に、「それって〜ということですよね」とポジティブに返していく

【1973-2】自分らしさを「ひとこと」で表現できるようにする

【1973-3】自分のいいところを書き出す

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】ひとこと化
【著者名】坂本和加著者情報
出版社ダイヤモンド社
【出版日】2023/2/15
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワード文章力伝える思考
【頁 数】224ページ
【目 次】
第1章 「一番言いたいこと」を見つけよう
第2章 ひとこと化の思考法
第3章 ひとこと化の表現法
第4章 「伝わる言葉」に共通するもの

 

▼さっそくこの本を読む

ひとこと化
坂本和加 ダイヤモンド社 2023-2-15
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坂本和加さん、素敵な一冊をありがとうございました!

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