【なぜ、人は「意思決定」が苦手なのか?】
防衛大学校准教授・佐藤耕紀氏が、『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』と題して、正しい選択を重ねるために役立つ、「意思決定」の知識を解説する一冊。
■書籍の紹介文
決断をすること。
あなたは得意ですか?
本書は、「意思決定」とはそもそも人間にとってどういう行為なのかを明かしながら、正しい選択を重ねるために役立つ、「意思決定」の知識を解説する一冊。
人生は決断の連続です。
過去の決断の結果が、いまの自分を形づくっています。
であるならば、わたし達は決断がうまいはずです。
得意!とまではいえなくても、何事も練習すればするほど、ある程度は上達するからです。
それにも関わらず、「意思決定」の言葉を前にすると・・・。
身構えてしまったり、拒絶反応が出てしまったりと、ネガティブな感情に苛まれてしまいます。
なぜなのでしょうか?
ここを紐解いていくのが、本書です。
「意思決定」に関する学術的な知識を、端的にまとめ上げています。
「なぜ、プーチンはウクライナに侵攻したのか?」など、身近な具体例を用いているので取り組みやすく構成されています。
なにをもって、”正しい決断”といえるのか。
なにを選択したら、”正しい”といえるのか。
”正しい”と判断したことは、本当に正しいのか。
「意思決定」のメカニズムを学ぶことで、多くの発見が得られます。
これからの「意思決定」の質を向上させるためにも、ひとつ一つの項目をより深く学びたいという気にさせてくれます。
複雑化し変化の激しい現代社会。
ますます、目の前の「決断」が重要になっていきます。
主体的に自分らしい”選択”を、いつまでもするために。
少しずつ知識を増して、選択のキレ味を増していきましょう。
◆賢い選択を積み上げる人生を。
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」
佐藤耕紀 同文舘出版 2022-10-21
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■【要約】15個の抜粋ポイント
「客観的には同じものが、まわりの状況(文脈)によって違って感じられる」ことを「文脈効果(context effect)」といいます。
私たちの脳内にあるのは「客観的な事実」ではなく、「主観的なイメージ」です。
「意思決定」は、「イメージ」にもとづいてなされます。
イメージが「現実」とずれると、誤った決定をまねきます。
人々のイメージを変えれば、判断や行動を変えることもできます。
私たちの脳は、必ずしも「現代先進国の環境で、社会的に望ましい行動をする」ようにはできていないのです。
変化や改革では、現状から改善される部分(利得)もあれば、悪くなる部分(損失)もあります。
私たちは、利得よりも損失を大きく感じる「損失回避」のために、悪い面ばかりが気になって、なかなか変化に踏み切れず、ずるずると現状を続けがちです。
そういう心理を「現状維持バイアス」といいます。
意思決定には、「正確さ」と「スピード」の「トレード・オフ」があります。
どんなに正確な判断でも、遅すぎれば意味がないということもあります。
最初によい(悪い)印象の言葉があると、その先入観に引きずられて、あとから出てくる言葉もよく(悪く)解釈されます。
お寿司屋さんではよく「松」「竹」「梅」や「特上」「上」「並」のように、3種類のメニューがあります。
お店は、多くのお客が「竹」や「上」を選ぶことを知っているので、真ん中の商品の利幅を大きくしておくこともあります。
4種類以上のメニューがあるときは、「下から2番目」の価格がよく売れるといわれます。
私たちは、ものごとの確率を「想起容易性」(思い出しやすさ)で判断します。
経験回数の多いことは記憶によく残り、思い出しやすくなります。
(略)
そうした経験回数にもとづく確率判断は、野生の世界ではうまく機能するはずです。
ところが現代社会には報道というものがあり、実際には経験していないことを、映像や音声で擬似体験します。
「選択的な報告」というのは、期待どおりの結果が出たときだけ発表して、逆の結果や、はっきりしない結果のときは発表しないということです。
これを「公表バイアス」(出版バイアス)といいます。
資源が無限にあるのなら、選択やトレード・オフの問題は起こりません。
資源を好きなだけつかって、やりたいことを全部やればよいでしょう。
ところが現実には、あらゆる資源にはかぎりがあります。
経済学ではこれを資源の「希少性」といいます。
希少な資源を節約しながら、重要なことを優先してやらなければならないのです。
「費用対効果の大きな選択肢を優先する」のが意思決定の基本でしょう。
費用よりも効果が大きな活動は、すべてやればよいと思うかもしれません。
しかし、ふつうは予算(カネ)や人材(ヒト)、時間といった資源にかぎりがあるので、やりたいことを全部はできません。
だから、優先順位が大切になるのです。
ものごとのつながり(波及効果)を考えることで、さまざまな現象のメカニズムを解き明かすことができます。
私たちは毎日忙しく、さまざまなことに気をとられます。
クーポンのことをしっかり覚えていて、忘れずにつかうのは、価格に敏感な人だけでしょう。
価格を気にしない人は、クーポンのことを忘れてしまいます。
こうして、お店は「価格差別(人によって値段を変えるような効果をもつ戦略)」を実現するのです。
意思決定ではリアル・タイムの「知覚」とともに、それまでに学習した知識や記憶もつかわれます。
判断力をみがくには、勉強や情報収集も大切なのです。
自分と同じ意見を求めることで、「自分の声が反響して戻ってくる」ように、思いが増幅し、先鋭化するのです。
そうした現象は「サイバー・カスケード」とも呼ばれます。
多くの人たちがそうなっていくと、社会の分断は加速するのかもしれません。
■【実践】3個の行動ポイント
【1936-1】意思決定をする際、「正確さ」と「速さ」のどちらが重要かを考える
【1936-2】実際に経験したことからくる判断を大切にする
【1936-3】自分で体験する機会を増やす
■ひと言まとめ
※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作
■本日の書籍情報
【書籍名】今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」
【著者名】佐藤耕紀 ・ 著者情報
【出版社】同文館出版
【出版日】2022/10/21
【オススメ度】★★★☆☆
【こんな時に】考える力を身につけたいときに
【キーワード】思考、決断、問題解決
【頁 数】216ページ
【目 次】
第1章 ようこそ「意思決定」の世界へ
第2章 「神」と動物のはざまで
第3章 動物の本能に根ざす「思考の錯覚」
第4章 正確さより、スピードを優先する
第5章 比較に惑わされる
第6章 「想起」「連想」「記憶」にかかわる錯覚
第7章 「計算」「確率」「統計」にかかわる錯覚
第8章 費用対効果で考える
第9章 波及効果を考えよう
第10章 これからの時代の「意思決定のヒント」
この本で、あなたは変わる!
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」
佐藤耕紀 同文舘出版 2022-10-21
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佐藤耕紀さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)
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