【書評:1859冊目】言葉のアップデート術(小竹海広)

【思考を変えると、言葉が変わる】
コピーライター・小竹海広氏が、『言葉のアップデート術』と題して、言いかえる前と後、2つの表現を対比しながら、相手も自分も前向きになれる24個の言いかえ”型”を指南する一冊。

■書籍の紹介文

ひとりの人間が、一生に話す言葉の数。
どれくらいになると思いますか?

 

本書は、あたらしい時代にはあたらしい言葉が必要だと提起し、いままで良しとされてきた表現を時代に合わせた形に変化させていく『言いかえ”型”』を指南する一冊。

 

おおよそ3億語。
ある研究をもとに算出すると、これくらいになるそうです。

 

想像された数より、かなり多いのではないでしょうか。
もちろん、性差や個人差などもありますし、正確なデータはありません。

 

「想像よりも多かったな」という感覚だけでつかんでいただければ幸いです。
つまり、わたし達は膨大な数の”言葉”とともに生きているのです。

 

その膨大な数の”言葉”の言い方を、少しずつ”言いかえて”いく。
人生に大きな影響を与えることは、想像に難くありません。

 

では、なぜ言葉を”言いかえる”必要があるのでしょうか。
それは、時代とともに言葉自体が変化していくからです。

 

時代や価値観、社会背景によって、言葉はどんどんと変わります
つい最近でも、ウクライナの首都の表現が「キエフ」→「キーウ」に改められましたよね。

 

この言葉の変化に対応して、自分が発する言葉をアップデートしていく
これを怠ってしまうと、相手も自分もモヤモヤした気持ちになり、言葉の使い方に悩み苦しむことになりかねません。

 

意図は違うのに、ちょっとした表現で誤解されてしまった。
真意は別のところにあるのに、言葉尻だけで誹謗中傷を受けた。

 

こうしたことがあたり前に起きてしまう時代を、わたし達は生きています。
ゆえに、著者がこの本で示す、言葉の”言いかえ「型」”、言葉をアップデートする術が大切になってきます。

 

言いかえ前と後、2つの表現を対比させながら、”言いかえる”とは何かを説いていきます。
なぜ言いかえが必要なのかも、心理面や時代背景を踏まえながら、丁寧に示しています。

 

大切なのは、『型』であって、『技』ではないということです。
したがって、機械的に言いかえるのではなく、なぜ変えるのか、その”考え””想い”の部分をしっかり学び取ることが重要です。

 

相手と自分、心が通い合わなければ、スッと伝わることはありません。
そのためにやれることは、自分の言葉を変えることです。

 

◆これは良書。

言葉のアップデート術
小竹海広 クロスメディア・パブリッシング 2022-5-20
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■【要約】15個の抜粋ポイント

デカい主語には要注意です。
「若者は〜」「○○世代は〜」「女/男って〜」「海外は〜」と言いたくなる気持ちも分かりますが、もう少し具体的な話をしたほうが理解も深まるのではないでしょうか。

 

「あなたはこうするべきだ」ではなく、「私ならこうする」と言いかえるだけで、視点はガラッと変わり、言葉を受け取る側の抱く印象も好転します。

 

「複数する選択肢のどちらを支持するか」ではなく、目的に合わせて真ん中に立脚する「中庸」の視点が有効な場面は少なくありません。

 

私は、野菜も、肉も、服も、家具も、スマホも、自分で作ったものは何一つありません。
それでも便利な暮らしができるのは、農家やエンジニア、配達業者の方々、あるいは命懸けで電波塔や海底ケーブルを整備してくれている方々のおかげなのです。
「誰かの存在」に思いを馳せて感謝してみると、明るい気持ちになることができます。

 

フェイクニュースから自分の身や友人、家族を守るために大切なこと。
それは、
①ニュースの情報源が公的なものかを確かめる
②複数のメディアを照らし合わせる
③ちょっとでも怪しいと思ったら拡散せず続報を待つ
最低限この3つです。

 

ロケット花火のように目立たなくていい。
紙飛行機のように低空飛行でいいのです。

 

●バイアス単語とバイアスフリー単語(抜粋)
(4)ママも嬉しいキッチン家電→便利なキッチン家電
(6)女性に嬉しい低カロリー→低カロリー
(8)女性らしく→自分らしく
(10)家事手伝うよ→家事やります
(13)処女作→第一作
(17)若いのに優秀→優秀
(20)ブラインドタッチ→タッチタイピング
(22)美白→色白
(24)ムダ毛→体毛
(27)レディース・アンド・ジェントルマン→ハロー・エブリワン
(28)ブラックリスト→ブロックリスト

 

平均値だけでなく中央値で考えることで、見える世界の解像度も、言葉の選び方も変わっていくはずです。

 

もともとは相手を思いやる意図で使われていた言い方でも、定型句として広まりすぎると逆にイヤミになることがあります。

 

いい愛称を開発できると、少ないタッチポイントでもお客さんとの絆を深めることができます。

 

ルールというのは一度設定をしてしまえば、「ルールを破った人」という一点だけで、相手を非難できる便利なマウンティングツールなのです。

 

無理にコントロールするよりも、コンテキストを共有したほうが、イノベーションは起こりやすい。

 

おだてる必要はありませんが、きちんと普段の相手の行動を観察し、良い点と悪い点の両方をフィードバックすることが大切です。
そして、「伸び代があると思うので聞いてくれますか」とポジティブに前置きすれば、心の扉は十分に開かれます。

 

価値観やスキルをこの先50年間アップデートしつづけて、若手の邪魔にならない自信もありませんが、「最近の若者は〜」とデカい主語は使いたくありません。

 

アイディエーションをして、自分の手を動かし続け、時には失敗し、でも立ち直り、また開発する。
そんな泥臭いプロセスを繰り返すことで、地道に未来を発明していければ、きっと明るい未来を切り拓いていけると、私は心の底から信じています。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1859-1】デカい主語を使わない

【1859-2】自分が使われて嫌な思いをする表現を、他人に使わない

【1859-3】素敵だなと感じた他人の言い回しは、積極的に自分も使う

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】言葉のアップデート術
【著者名】小竹海広著者情報
出版社クロスメディア・パブリッシング
【出版日】2022/5/20
オススメ度★★★★☆
こんな時に伝える力を身につけたいときに
キーワードことばのチカラ文章力話し方
【頁 数】271ページ
【目 次】
はじめに
1ノ型 デカい主語から、小さい主語へ。
2ノ型 二人称から、一人称へ。
3ノ型 ヒトの話から、コトの話へ。
4ノ型 二項対立から、中庸へ。
5ノ型 スペックから、ベネフィットへ。
6ノ型 相対評価から、絶対評価へ。
7ノ型 自己顕示から、自己開示へ。
8ノ型 感想から、感謝へ。
9ノ型 フェイクから、ファクトへ。
10ノ型 フィルターバブルから、オープンワールドへ。
11ノ型 つまみ食いから、感触へ。
12ノ型 ロケット花火から、紙飛行機へ。
13ノ型 バイアス単語から、バイアスフリー単語へ。
14ノ型 上書き保存から、別名で保存へ。
15ノ型 パクリ論争から、ジャンル醸成へ。
16ノ型 平均値から、中央値へ。
17ノ型 詰問から、質問へ。
18ノ型 バイトから、キャストへ。
19ノ型 しちゃダメから、してもいいへ。
20ノ型 コントロールから、コンテキストへ。
21ノ型 まちがい探しから、やりがい探しへ。
22ノ型 コンプレックスから、エンパワーメントへ。
23ノ型 逆張りから、理念へ。
24ノ型 ディスカッションから、アイディエーションへ。
おわりに

 

この本で、あなたは変わる!

言葉のアップデート術
小竹海広 クロスメディア・パブリッシング 2022-5-20
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小竹海広さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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  1. 2022年 6月 07日

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