【書評:1852冊目】60歳からのマンション学(日下部理絵)

【人も建物も老いる時代の住宅の考え方】
マンショントレンド評論家・日下部理絵氏が、『60歳からのマンション学』と題して、誰もが迎える老後、必要な住まい、8つの事例を通して”終の棲家”の考え方を考察する一冊。

■書籍の紹介文

いまの住まい。
安心して暮らせていますか?

 

本書は、住まいは人生の拠点であり幸せの象徴だと提起し、8つの事例を読みながら、年齢によって諦めることのない「終の棲家」の考え方を考察する一冊。

 

人生100年時代という言葉がすっかり定着した昨今。
生き方や働き方について、「多様性」「柔軟性」といったキーワードが盛んに唱えられています。

 

ただ、ここで大きな問題がでてきます。
変化する人生に合わせて、住まいをどうするか、ということです。

 

とくに、”60歳”というのは、人生最大の買い物のローン返済真っ只中という方が多い世代。
言い換えれば、変化する状況に合わせた「柔軟性」が低い状態になる方が多いということです。

 

まだまだ気力も体力も充実している。
住まいを購入したときは想像もできなかった、人生の可能性や選択肢が頭の中に浮かんでくる。

 

これらに比例して、夢と希望を乗せて購入した住まいに対して、「こうしたい」「ああしたい」という感情が出てきます。
けれども、ローンの返済や変化への年齢的な不安などから、新たな挑戦を躊躇してしまう・・・。

 

このジレンマに悩む人は多いとおもいます。
そんな方たちへの一助になればと書かれたのが本書。

 

最新のマンショントレンドを解説しながら、”60歳”からの住まいの考え方を提示していきます。
8つの事例を題材にしているので、頭でイメージを膨らませやすいように構成されています。

 

大切なことは2つ。
①自分で自分を無理に納得させて諦めないこと
②自分の無知を認めて必要な知識をしっかり学ぶこと

 

この2つを守って取り組めば、低くなった「柔軟性」を取り戻す道はきっと見つかります。
”60歳”からの人生後半戦に、もう一度夢と希望を乗せることが可能になるのです。

 

まずは、本書の8つの事例を通じて、自分の住まいをゆっくり見渡してみましょう。
そして、浮かんでくる思いを書き出してみてください。

 

そこから、すべてははじまります。
人も住まいも老いるものだけど、それは諦めることとは別の話です。

 

◆人生100年時代の「終の棲家」の考え方。

60歳からのマンション学
日下部理絵 講談社 2022-4-20
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■【要約】15個の抜粋ポイント

「当社としては、うちだけに依頼していただけると嬉しいのですが、専任で依頼するより、数社に『一般媒介契約』で出すほうがいいですよ」とのアドバイスもくれた。
具体的には、3社程度がいいそうだ。
あまりたくさん出すと、物件に何かあると思われたり、売り急ぎと思われるなど、足元を見られやすいのだそうだ。

 

「生活音(騒音)」「違法駐車・違法駐輪」「ペット飼育」は、「マンション3大トラブル」といわれている。

 

自宅マンションを売却したい時に便利なのは、「不動産一括査定サイト」の活用だ。

 

私の経験から言えることは、マンションは立地だけではなく管理も重要だ。
マンションなど住宅は、買うのも大変だが、売るのはもっと大変。
買い替えは買うと売るが同時にくるため、覚悟を決めて取りかかって欲しい。
幸せになるための買い替えが老後破産を招いたのでは洒落にもならない。

 

不動産広告の面積は、壁の厚みの中心線で測る、「壁芯」が多い。
マンションの登記簿面積は、壁の内側だけの面積、「内法」で壁の厚みを含まない。
壁芯と内法では5%近く違うこともある。

 

●リフォーム業者を比較する際のポイント
・希望するリフォームと同様の工事実績があるか
・予算や要望にあわせた提案があるか
・質問に対する回答が的確か
・担当者との相性は良いか
・デメリットも説明してくれるか
・保証、アフターサービスがきちんとしているか

 

リフォームは自分が住む部屋に施すのはいいが、他人が住む部屋に自己判断で安易なリフォームをするのは、お金も時間も無駄になってしまうだけでなく、リスクを背負う可能性があるのでやめておいたほうがいいという結論になる。

 

騒音トラブルは、厳しい言い方をすれば、誰もが被害者や加害者になりかねない。
騒音トラブルが一度もないマンションはかなりの少数派であろう。
(略)
早期発見、早期対処、日頃から近隣コミュニティがあることが、解決の糸口なのだ。

 

近年、高齢者世帯を中心とした住み替え、老後資金の確保、円滑な相続等を目的にして、リースバックを活用した不動産取引が徐々に増加傾向にある。

 

問題は、マンションの駐車場使用料を多くの管理組合が管理費会計や修繕積立金会計の収入源としていることだ。
そのため、駐車場に空きが生じた結果、収支バランスが崩れ、なかには大幅値上げを検討しなければいけないマンションもある。

 

●空き駐車場問題の解決策
①外部駐車場の利用者を呼び戻す
②駐車場使用料の改定とルールの見直し
③駐車場会計の新設
④平面式駐車場や機械式駐車場のスペースを有効活用
⑤外部貸し
⑥機械式駐車場の改修や撤去
⑦カーシェアリングの導入

 

タワマンでは、引っ越し費用も高額になりやすい。

 

私はタワマンすべてがダメとは思わないが、次の特徴があるタワマンはやめておいたほうが無難だ。
・細長いなど戸数が少ないタワマン
・デザイン性が高いなど歪な形状をしている
・戸数の割に維持費がかかるスパやプール、カラオケ施設などがある
・タワー式などの機械式駐車場があり、しかも空きが多い
・24時間有人管理でスタッフ数が多い
これらは金食いタワマンである。

 

マンション管理には「自主管理」と、管理会社への「管理委託」がある。
また管理会社にどの程度管理を任せるかによって、「一部委託」と「全部委託」に大別される。

 

管理組合の財政面の赤字や資金不足はもはや他人ごとではない。
そのため、なるべく早い時期から適切な修繕積立金を積み立て、不足分がある場合どのように捻出するか、しっかりと対策を取っておきたい。
マンションの懐具合は年齢を重ねた自分を苦しめる可能性がある、と覚えておくべきである。

 

■【実践】3個の行動ポイント

【1852-1】今の住まいに対する不満を書き出す

【1852-2】【1】で書いた不満が、どう解消すれば理想の住まいになるか書き出す

【1852-3】【2】で書いた理想を実現する方法をシミュレーションしてみる

■ひと言まとめ

※イラストは、イラストレーターの萩原まおさん作

■本日の書籍情報

【書籍名】60歳からのマンション学
【著者名】日下部理絵著者情報
出版社講談社
【出版日】2022/4/20
オススメ度★★★★☆
こんな時にお金と賢く付き合いたいときに
キーワード資産形成社会シニア世代
【頁 数】208ページ
【目 次】
事例1:一人暮らしになって分譲マンションから賃貸へ
事例2:夫婦二人になり、駅近マンションに買い替え
事例3:あわや負動産。バリアフリーマンションへの引っ越し
事例4:買い替えよりもフルリノベーションを選択
事例5:終の棲家として買ったはずの住居で思わぬトラブル
事例6:空き駐車場問題に理事長として奮闘
事例7:戸建てを売りタワマンを購入したものの…
事例8:大規模修繕のお金がない?!

 

この本で、あなたは変わる!

60歳からのマンション学
日下部理絵 講談社 2022-4-20
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日下部理絵さん、素敵な一冊をありがとうございます(^^)

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